金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

社名と実権

2007年09月04日 | 社会・経済

『合併や経営統合では両者の社名を並べて使うことが多いが、社名が後ろに来た方が実権を握ることが多い』と書くと私の個人的感想か?といぶかる向きも多いかもしれないが、これは伊勢丹と三越の経営統合に関する日経ビジネスの記事に出てくる言葉だ。

文章はこの後『統合で誕生する持ち株会社「三越伊勢丹ホールディングス」の社名の意味を三越は間もなく知ることになる』と続く。

ところで社名が後ろに来た方が実権を握ることが多いというのは、事実なのだろうか?と思い東証一部銘柄の名前をパラパラと引き抜いてみた。

「日東富士製粉」「大日本住友製薬」・・・この辺りの会社については沿革を良く知らないので企業HPを見てみたが、合併比率等は出ておらず実権がどこにあるのか不明。「日本電産コパル」これは日本電産Gだから社名の前に実権ありだろう。「三菱UFJフィナンシャルグループ」・・・社名の前の方に実権がありそうだ。「三井住友ファイナンシャルグループ」・・・表面上は拮抗ですかねぇ。

と見てくると日経ビジネスの意見も必ずしも実証的なものではないかもしれない。二つの会社の名前を並べる場合は合併比率だけではなく、語呂や一般受けの問題も入るだろう。

日経ビジネスの意見には「実権を取るのだから、社名の順番位譲って相手側の顔を立てる」のではないか?という演繹的な判断が入っているのではないだろうか?

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豚に蹴られて安倍内閣崩壊か?

2007年09月04日 | 国際・政治

政治とカネをめぐる不祥事に止まる気配がない。就任したばかりの遠藤農相と坂本外務政務官が3日に辞任した。遠藤農相は自身が組合長を務めていた置賜農業共済組合が補助金を不正受給したことによるものだ。補助金はブドウ農家に払われたものだ。それならブドウの蔓に絡め取られて安倍内閣崩壊?と書くべきだが何故豚に蹴られて崩壊?という題をつけたのか?

それは英語で補助金をエサにした金権政治Pork barrelつまり「豚肉のたる」というので、金権政治で倒れる内閣という意味で豚に蹴られて崩壊とした次第だ。ちなみにPorkには豚肉の他、エサになる「助成金」という意味や警察という意味がある。日本では警察を犬に例えるが米語では豚が警察・・・なんとなくニュアンスは似ているが。

いずれにせよ金権政治の温床は農林水産部門と国土交通部門に集中するので、安倍内閣で立て続けに農林大臣が辞めたり自殺したりすることは、金権政治に対する監視の網の目を細かくすると当然の帰結であろう。

ファイナンシャルタイムズは「安倍内閣が後数ヶ月以上生き延びることはできないだろうという予測が政治アナリストの中で再び始まったと書いているが、政治アナリストならずとも早期辞職は当然と考えるのが普通だ。遠藤農相に関わる不正受給金額は精々1百万円程度。金額が小さければ良いというものではないが、平時であれば見逃されたかもしれない。しかし連続する不祥事件にイライラして国民が「いい加減にしろ!」と声高に叫んだので辞任となったのだろう。農水省の名声は地に落ちて、昨年の東大卒業生は一人も同省へ入らなかったそうだ。

もっとも金権政治は日本に固有のものではない。米国でも多い様だ。もし違いがあるとすると、市民の監視の目の違いだろう。Pork barrelという言葉でをグーグル検索を行うと、Pig Bookというホームページにであった。サブタイトルは「国の浪費に反対する市民」「納税者による米国一の監視者」とある。つまり市民が税金の浪費を監督しているホームページである。すでに述べたように豚には助成金の意味がある。

このページによると「豚」と呼ばれる無駄な助成金には次の7つの基準の内最低1つ、大方は2つを満たすものをさしている。

  • 議会のたった一人の議員により要求されたもの
  • 特別に認可されたものでないこと
  • 競争原理により与えられたものでないこと
  • 大統領により要求されたものでないこと
  • 大統領により求められた予算や前年度予算を大幅に上回るもの
  • 議会の公聴会の対象でないもの
  • 一地方や特定者の利益に貢献するもの

因みにこのホームページによると近年では、2005年の無駄な税金支出が多く13,997件金額にして273億ドル、円貨換算約3兆1千億円だ。遠藤前農相の事件などかすんでしまう金額である。しかし安倍内閣はその小さな豚に蹴られて崩壊寸前だ。

遠藤農相への不満や怒りを感情的なレベルに留めるだけでなく、補助金という巨大な税金の無駄遣いに眼を向ける必要がある。日本でも税金の無駄使いを監視するPig BookのようなHPがあれば私も参加したいと思っている。

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米中仮想空間戦争

2007年09月04日 | 国際・政治

ファイナンシャルタイムズ(FT)によると、6月に中国人民解放軍が米国国防省(ペンタゴン)のコンピュータシステムに侵入した、これは最も成功したサイバーアタックだと美国国防省が言っている。ある米国高官は国防省はサイバー(仮想現実空間)攻撃の正確な発信元をつきとめたと言っている。

これに対し中国政府はコメントを控えている。

ドイツのメルケル首相は温家宝首相に中国がドイツ政府のコンピュータシステムに侵入していると述べた。

中国外務省のJiang Yu報道官は「我々はハッカー行為を禁じる明確な法律や規制を持っている」「ハッキングは世界的な問題であり、中国はしばしばその犠牲になっている」と述べた。

中国の人民解放軍は日常米国の軍事システムを調査し、ペンタゴンは中国のコンピュータネットワークをスキャン(詳細に調べる)していると広く想像されている。しかし米国高官は6月のサイバー攻撃は新しいレベルの懸念を起こすと言った。それは中国が極めて重要な時に米国の軍事コンピュータシステムを妨げることが出来うる能力を示したからである。

もっとも米国のある高官によると、ハッカーの中には人民解放軍の名前を名乗ってペンタゴンに侵入するケースも過去にあったということだから、話はややこしい。

しかし戦争のバイブル「孫子」は「用間編」で爵録百金を愛(おし)みて敵の情を知らざるものは不仁のいたりなりと喝破し、2500年も前から諜報活動の重要性を説いている。よって人民解放軍がペンタゴンをハッキングしていることは当然と考えてよいだろう。

気になるのは日本の自衛隊である。現場レベルで機密情報が漏洩したというニュースは時々目にするが、コンピュータシステムの防御は大丈夫だろうか?

現在の戦争は極めてコンピュータ依存型であり、もしコンピュータシステムがハッカーにより誤作動でもすると大変なことになる。防衛省内部のゴタゴタに目を奪われて、重要なことを見落としてはいけない。

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