政治とカネをめぐる不祥事に止まる気配がない。就任したばかりの遠藤農相と坂本外務政務官が3日に辞任した。遠藤農相は自身が組合長を務めていた置賜農業共済組合が補助金を不正受給したことによるものだ。補助金はブドウ農家に払われたものだ。それならブドウの蔓に絡め取られて安倍内閣崩壊?と書くべきだが何故豚に蹴られて崩壊?という題をつけたのか?
それは英語で補助金をエサにした金権政治をPork barrelつまり「豚肉のたる」というので、金権政治で倒れる内閣という意味で豚に蹴られて崩壊とした次第だ。ちなみにPorkには豚肉の他、エサになる「助成金」という意味や警察という意味がある。日本では警察を犬に例えるが米語では豚が警察・・・なんとなくニュアンスは似ているが。
いずれにせよ金権政治の温床は農林水産部門と国土交通部門に集中するので、安倍内閣で立て続けに農林大臣が辞めたり自殺したりすることは、金権政治に対する監視の網の目を細かくすると当然の帰結であろう。
ファイナンシャルタイムズは「安倍内閣が後数ヶ月以上生き延びることはできないだろうという予測が政治アナリストの中で再び始まったと書いているが、政治アナリストならずとも早期辞職は当然と考えるのが普通だ。遠藤農相に関わる不正受給金額は精々1百万円程度。金額が小さければ良いというものではないが、平時であれば見逃されたかもしれない。しかし連続する不祥事件にイライラして国民が「いい加減にしろ!」と声高に叫んだので辞任となったのだろう。農水省の名声は地に落ちて、昨年の東大卒業生は一人も同省へ入らなかったそうだ。
もっとも金権政治は日本に固有のものではない。米国でも多い様だ。もし違いがあるとすると、市民の監視の目の違いだろう。Pork barrelという言葉でをグーグル検索を行うと、Pig Bookというホームページにであった。サブタイトルは「国の浪費に反対する市民」「納税者による米国一の監視者」とある。つまり市民が税金の浪費を監督しているホームページである。すでに述べたように豚には助成金の意味がある。
このページによると「豚」と呼ばれる無駄な助成金には次の7つの基準の内最低1つ、大方は2つを満たすものをさしている。
- 議会のたった一人の議員により要求されたもの
- 特別に認可されたものでないこと
- 競争原理により与えられたものでないこと
- 大統領により要求されたものでないこと
- 大統領により求められた予算や前年度予算を大幅に上回るもの
- 議会の公聴会の対象でないもの
- 一地方や特定者の利益に貢献するもの
因みにこのホームページによると近年では、2005年の無駄な税金支出が多く13,997件金額にして273億ドル、円貨換算約3兆1千億円だ。遠藤前農相の事件などかすんでしまう金額である。しかし安倍内閣はその小さな豚に蹴られて崩壊寸前だ。
遠藤農相への不満や怒りを感情的なレベルに留めるだけでなく、補助金という巨大な税金の無駄遣いに眼を向ける必要がある。日本でも税金の無駄使いを監視するPig BookのようなHPがあれば私も参加したいと思っている。