9月7日金曜日に米国で発表された雇用統計、特に非農業部門雇用者数が4,000人のマイナスと市場の予測(プラス11万人)を大幅に下回る弱い数字だったために、米国景気の後退感が明らかになった。このためダウ平均は約250ポイント約1.87%の下落し、ドルも対円で113円代半ばまで下落している。
この様な時海外旅行を控えている会社の女性社員などからよく質問されることが「ドル円為替はまだまだ円高に向かいますか?」ということである。前にもブログで書いたような気がするが、それが100%分かれば巨万の富を作っている。ただし根拠の乏しい円安神話が崩れた今、伝統的な為替理論つまり購買力平価説の示すところを見ておく必要もあるだろう。購買力平価のパロディ版としてエコノミスト誌が毎年発表しているビックマック指数というものがある。これは世界の主要国のビックマックの価格を比較して、理論的な通貨価値を計算するものである。
7月5日にエコノミスト誌が発表したところでは、ビッグマック1ケは米国では3.41ドル、日本では280円だ。280円を3.41ドルで割ると82.1円、つまりビックマックを使った購買力平価は1ドル82.1円ということになる。
実際の為替は購買力平価だけで決まる訳ではないが、市場が混乱する時はファンダメンタルな要素に目が向く。米国のFFレートの切り下げは必至と見られていて、関心事は切り下げ幅に移ってきた。0.25%切り下げの予想が多いが、0.5%切り下げられる可能性もある。これは円高要因だ。
しかし米国の景気停滞は日本の輸出(直接および三角貿易をあわせて)の減少と景気減速につながる。為替レートは100円台後半が中心レンジになると考えて良いかもしれない。