福田康夫氏が自民党の新総裁に選ばれたので、連休後半の新聞・テレビは関連ニュースが多かった。選挙の結果は投票前から分かっていたので、大半のニュースは聞き流していたが、外国人がどう見ているか?関心があったのでFTの記事を読んでみた。ワイフは「外人がどう見るかより国民のためになる政治をすることが大切でしょ」と言う。それはその通りなのだが、日本の株式市場は外国人投資家に牽引されているので、福田政権が改革路線を進めるかどうかについて外国勢がどう見ているか?ということはやはり大事なのである。さてFTのポイントは次のとおり。
- 福田氏は先週「自分は貧乏くじを引いている」とインタビューで述べている。
貧乏くじを引くはDraw the short straw短い藁を引くという訳だ。
- もし自民党が過去5年にわたる経済成長が最終的には選挙民の生活水準を改善するという希望を提供すことが出来なければ、次の総選挙(2009年には必ず行われる)で、政権の座から転落することになると幾人かの政治アナリストは述べている。
- 第二次世界大戦以降最長の切れ間のない景気回復を享受しているにもかかわらず、多くの日本人はまだその恩恵を感じていない。幾つかの市町村では失業率は全国平均に比べて高止まりしている。三位一体改革の結果、夕張市に続いて幾つかの地方自治体は破産の懸念が出ている。
- これらのことで自民党は1993年に一時政権を失って以来の最悪の批判にさらされている。しかし福田政権が小泉改革路線を変更することはない。
- 福田氏は社会的格差を是正し、自由過ぎる市場を引き締める必要性を論じている。しかし当面の政策方針について彼が後戻りしないことは明らかである。「世界は変わりつつある。我々が変わらないと我々は取り残される」と福田氏は言う。
- 総裁選挙において小泉改革以前に戻ることを主張する総裁候補が出なかったことは自民党の基本路線が変わっていないということだ。
日本の公的債務はGDPの1.5倍の規模まで拡大しているので、政府が大盤振る舞いをすることは極めて困難である。ただ福田新首相は「高齢者医療における患者の自己負担を1割に据え置く」といったことは主張している。これは一見小泉改革に対する反動に見えるが、財政上の負担はそれ程大きくない。
福田首相はなけなしの財源を使って「自民党の人気回復」に努めることになるだろう。しかしながら小泉内閣で官房長官を務めた福田氏が90年代のバラマキ行政に戻ることはないというのがFTの見方だ。
今後個別政策では改革の行過ぎを是正し、人気回復に努めることはあるが、全体としては改革路線を守ると私も見ているが、この判断が正しいかどうかは確信に到るにはもう少し時間がかかりそうだ。