今朝(23日)の読売新聞は一面で「民主党が外交方針を現実路線に転換し、自衛隊のインド洋での給油支援を容認する方針とした」と報じていた。
このニュースは昨日のファイナンシャル・タイムズが報じていたので目新しいものではない。FTは鳩山代表の「外交においては継続性が要求される」という言葉を引用している。では民主党が海上自衛隊のインド洋派遣に反対したのは何だったのか?単に反対のための反対と唱えただけなのか?という疑問が起きる。
FTは民主党が外交政策の継続をコミットしたことは、政権交代で半世紀以上にわたって東アジアの安全保障の礎石となってきた日米関係に影響がでることを懸念していた米国政府に心地良く響くだろうと述べている。
しかし本当のところ米国政府が政権交代で日米安全保障関係に変化がでると懸念しているかどうかは疑問だ。ブッシュ政権で東アジア問題の顧問を務めたマイケル・グリーン氏は「中国の国力伸張と北朝鮮のミサイル脅威問題を考えると、米国と無用の争いを起こす政権は長続きすることはできない」と喝破している。つまり米国の事情通から見ると、日本の政権交代が安保問題に影響を与える可能性は低いと読み切っているということだ。
民主党にとっても外交問題を表に出すと、憲法を厳密に解釈して自衛隊の活動を制限しようとする旧社会党系と日本独自の防衛力を強化しようとする旧自民党系の真っ向からのぶつかり合いになって収集がつかないことになる。
FTは民主党が政権を取った場合の外務大臣候補の一人(本人は否定)である寺島実郎・三井物産戦略研究所会長の言葉を紹介して記事を締めくくっていた。
「選挙前に掲げる政策は『浅い』ものだが、選挙後は民主党はクリアなメッセージを送る必要がある」「そのメッセージはもっと独立的・行動的で、中国などアジア近隣諸国とフレンドリーな政策を含み、日米同盟における日本の従属的役割を終わらすものでなくてはならない」
だが党内でに議論を煮詰めていない民主党が仮に政権を取ったとして~恐らく連立政権になるのだろうが~、このようなメッセージを送ることができるのだろうか?