ファイナンシャル・タイムズによると、三菱UFJファイナンシャルグループ(MUFG)の畔柳社長が同紙に「英米および欧州の金融当局が銀行の自己資本比率の大幅な引き上げを求めていることに対して、銀行が融資を抑制するリスクがあると懸念を示した」ということだ。
畔柳社長の論点は以下のとおりだ。「自己資本比率が過度に高められると、銀行は安全資産にシフトするので、中小企業は融資を受けることが困難になるだろう」「資金調達面で安定したリテイル資金を持っている銀行と資金調達を資本市場に依存している銀行では万一の場合の流動性リスクが違う」「世界が未だリセッションの最中にいることを考えると自己資本比率強化のタイミングとして今が良いか時期かどうか疑問」
ファイナンシャル・タイムズは「自己資本比率を高めると銀行はROAを高めるために、複合的な大きなリスクを取ることになり、意図するところと違う結果をもたらす」という佐藤隆文前金融庁長官の懸念も紹介している。
私は二人の意見は正論だと思うが、英米欧連合は銀行の自己資本特に普通株自己資本比率の強化に動くだろうと私は見ている。金融にしろスポーツにしろ日本人が強くなってくると「競技のルール」を自分達に有利に変えるというのが彼等の常套手段だからだ。
だが繰言を言っていても仕方がない。日本人も色々な分野で「ルール」を作る側に回るべきであろう。簡単なことではないが、大手行にはがんばって欲しいものである。