金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

「消費税増税・法人税減税」を応援しよう。条件付だが。

2010年03月15日 | 政治

今日(3月15日)の日経新聞朝刊に「国税、消費頼み鮮明」という記事が出ていた。景気低迷で法人税の税収が激減し、間接税への依存率が48%まで高まっているという内容だ。記事は「おぼろげながら、今後の税制見直しで『消費税増税と法人税減税』をパッケージにするシナリオが浮かび上がりつつある。」と述べ、「ただ、日本では『企業には減税、個人には増税』とのイメージに結びつけられがちで、『政治的には受けが悪い』とする声がなお根強い」と結んでいる。

だが今こそ有識者や政治家がポピュリズムを排除して、「法人税の減税と消費税の増税」の必要性を真剣に主張する時期だと私は考えている。鳩山首相は参院予算委員会で法人税の引き下げに意欲を示したと聞く。私は民主党政権を支持するものではないが、この発言については大いに評価したい(願わくばコロコロ発言を変えないで欲しい)。

企業が活力と国際的な競争力を回復し、ある程度の経済成長をもたらさない限り、今日の日本が抱える深刻な需要不足や若年層の雇用不足問題は解決しないのである。

ただし法人税の減税については条件がある。それは企業に労働者への配分を高める政策と新規採用に関する制度的な見直しを求める政策を同時に実施することだと私は考えている。

労働者への配分を高める方法は具体的にいうと「同一労働同一賃金」の考え方を徹底することである。価値観や人口構成の変化により、人々の働き方や雇用契約は多様化する。

日本の終身雇用制は労働力不足の時代に、熟練労働者を企業が囲い込む手段として発達したものだ。また金融等サービス業でも「辞令一本でどこにでも転勤させることができる総合職」を確保しておく手段であった。この場合企業は総合職に現在のパフォーマンスを超える給料を払っている場合がある。この超過分=プレミアムは一種のオプション料だ。従業員は「会社の辞令でどこにでも転勤する」というオプションを会社に売り、プレミアムを受け取っていたのだ。

だが時代は変わっている。人材の流動化を促進するとともに、多様な労働力を活用する方法を生み出さないといけない。そのキーワードは「同一労働同一賃金」だ。また「残業代」の割増率を欧州並みに引き上げることも必要だ。割増率を高めると「高い残業代を払うよりは人を雇おう」と企業は考えるようになる。

新卒問題についていうと、制度的に「総ての新卒採用者は一定期間仮採用である」という仕組みを作ることだ。こうすると企業は採用についてもっと弾力的に対応できるのではないだろうか?また新卒者は志望外の分野の企業にでも「とりあえず」就職することができるだろう。

私は新卒者にとって「実務教育」を受けることが大事だと考えている。実務教育を受けることなく、2,3年も経つと就職の機会は極端に少なくなるようだ。

このようなパッケージを作り、企業の活力を高めながら、雇用を増やす政策が必要だろうと私は考えている。

コメント (2)
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