ニューヨーク・タイムズは「データが示すところでは、リコールの対象になっていないカムリにも問題があった」という記事の中で、トヨタ車に対する衝突に関わるクレームは他のメーカーの車に対するクレームより多いという調査報告を発表していた。
タイムズの日米の記者が調査したところでは次のようなことが明らかになっている。
・タイムズが過去10年間の米国幹線道路安全局に提出されたスピード・コントロールに関する12,700件のクレームを分析したところ、フォードが一番多く約3,500件だった。トヨタへのクレームは3,000件で二番目である。しかし事故につながるクレームでは、トヨタが1,000件と一番多く、フォードは450件だった。
・まとめると2000年から2009年の間、トヨタは米国で販売した車20,454車につき、1件の割合で速度制御に関する事故クレームがあったことになる。フォードは64,679車に1件、ホンダは70,112車に1件、GMは179,821車に1件の割合である。
・タイムズが日本でのクレームについて調査したところ、同様の傾向が見られた。2001年以降の報告を見ると、トヨタ車の「突然の加速」に関するクレームは、他のメーカー車より多い。2001年以降国土交通省に持ち込まれた車の機能不全に関するクレームをタイムズが調査したところでは、トヨタが3,700件でホンダが2,400件だった。その内「突然の加速」に関するものは、トヨタが99件でホンダは18件だった。販売台数から見るとトヨタは15万台に1件の割合で急加速問題があり、ホンダは30万台に1件の割合で同じ問題があったことになる。
交通安全環境研究所の谷口哲夫主任調査員は「トヨタ車のアクセルペダルやフロアマットが日本の急加速問題の原因でないとすると、トヨタは何が問題なのか調査すべき時期である」と述べている。
トヨタは「リコール対象となった車はアクセルかフロアマットに問題があったが、2007年以前に米国で販売されたカムリと日本で販売された車の大部分は、異なるデザインのペダルとフロアマットを使っているので、リコールの必要はない」と説明してきた。
だがタイムズがこのようなデータ分析に基く問題を提起するとトヨタも苦しくなるだろう。それにしてもこのようなデータを見ると「トヨタの安全神話」は昔の話だったのか?という気がしてくる。あるいは日米当局にファイルされたクレームを別の切り口から見ると、トヨタは他よりも安全という結論も引出せるのだろうか?・・・・・それは分からないが。
それにしても、トヨタにとって結構重たい記事が出たものである。