ニューヨーク・タイムズにグーグルの自動翻訳機能Google 翻訳をほめる記事が出ていた。グーグルの機械翻訳チームを率いる主任科学者のOch氏は「翻訳技術は言語の壁を取り払う」と述べている。またカーネギー大学のAlon Lavie助教授はGoogle 翻訳に最新技術を見ると賞賛している。
そこで実際にGoogle 翻訳を使ってみた。上で引用した助教授の言葉をGoogle 翻訳に入れると次の日本文が出てきた。
(英語)What you see on Google Translate is state of the art.
(グーグルの日本語訳)Googleの翻訳には何を参照してください芸術の状態です。
(直訳)あなたがグーグル翻訳に見るものは先端技術です。
State of artは直訳すると「芸術の域」だが、(芸術の域に達するほどの)先端技術という意味で使われる。一例をもってグーグル翻訳の悪口をいう訳ではないが、英語・日本語の翻訳についてはまだ「そのまま使える」状態ではないようだ。
この点はタイムズも指摘していて「自動翻訳システムは完璧というには程遠く、グーグルといえども近い将来翻訳者の仕事を奪うことはない」と述べている。そしてそれでもグーグルの翻訳機能でニュースの見出しのエッセンスを取り出すことはできるから、数百万人の人が素早い翻訳の情報源として使っていると述べている。
そこでFTの記事で試してみた。最初はChina says it will keep buying US debtだ。グーグル翻訳(パソコンのツールバーに翻訳機能をダウンロードしておき、「翻訳」ボタンを押すと瞬時にホームページをまるごと翻訳してくれる)を使うと「中国は米国債を買い続けるという」と表示された。これなら使える。
使えない例をあげると「北朝鮮現金でタバコを描く」これはNorth Korea draws on tobacco for cash.の訳だけれどdrawを「描く」と訳したのでつまづいた。ここはdraw onで「利用する」と訳するべきだった。「北朝鮮は現金のためにタバコを利用している」というのが正しい訳だ。制裁を受けて現金不足に悩む北朝鮮はシンガポールから輸入したタバコをベトナムやフィリピンに再輸出しているという話のタイトルだ。
グーグル翻訳が変な訳を出すと「先端技術のグーグルでもまだこんなものか」とみょうな優越感を持ってしまう。人間の頭脳とは優れたものである・・・・・