金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

グーグルの自動翻訳、どれ位使える?

2010年03月09日 | うんちく・小ネタ

ニューヨーク・タイムズにグーグルの自動翻訳機能Google 翻訳をほめる記事が出ていた。グーグルの機械翻訳チームを率いる主任科学者のOch氏は「翻訳技術は言語の壁を取り払う」と述べている。またカーネギー大学のAlon Lavie助教授はGoogle 翻訳に最新技術を見ると賞賛している。

そこで実際にGoogle 翻訳を使ってみた。上で引用した助教授の言葉をGoogle 翻訳に入れると次の日本文が出てきた。

(英語)What you see on Google Translate is state of the art.

(グーグルの日本語訳)Googleの翻訳には何を参照してください芸術の状態です。

(直訳)あなたがグーグル翻訳に見るものは先端技術です。

State of artは直訳すると「芸術の域」だが、(芸術の域に達するほどの)先端技術という意味で使われる。一例をもってグーグル翻訳の悪口をいう訳ではないが、英語・日本語の翻訳についてはまだ「そのまま使える」状態ではないようだ。

この点はタイムズも指摘していて「自動翻訳システムは完璧というには程遠く、グーグルといえども近い将来翻訳者の仕事を奪うことはない」と述べている。そしてそれでもグーグルの翻訳機能でニュースの見出しのエッセンスを取り出すことはできるから、数百万人の人が素早い翻訳の情報源として使っていると述べている。

そこでFTの記事で試してみた。最初はChina says it will keep buying US debtだ。グーグル翻訳(パソコンのツールバーに翻訳機能をダウンロードしておき、「翻訳」ボタンを押すと瞬時にホームページをまるごと翻訳してくれる)を使うと「中国は米国債を買い続けるという」と表示された。これなら使える。

使えない例をあげると「北朝鮮現金でタバコを描く」これはNorth Korea draws on tobacco for cash.の訳だけれどdrawを「描く」と訳したのでつまづいた。ここはdraw onで「利用する」と訳するべきだった。「北朝鮮は現金のためにタバコを利用している」というのが正しい訳だ。制裁を受けて現金不足に悩む北朝鮮はシンガポールから輸入したタバコをベトナムやフィリピンに再輸出しているという話のタイトルだ。

グーグル翻訳が変な訳を出すと「先端技術のグーグルでもまだこんなものか」とみょうな優越感を持ってしまう。人間の頭脳とは優れたものである・・・・・

コメント (2)
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Throw one's weight behind(イディオム・シリーズ)

2010年03月09日 | 英語

Throw one's weight behindは「自分の地位を利用してまで~を支援する」(アルクの英辞郎)というイディオムだ。またThrow -weightと名詞にするとミサイルの爆発力という意味だ。

FTに次の文章が出ていた。Throwing her weight behind the proposals from Wolfgang Schaeuble, her finance minister , Ms Merkel admitted the European Union had lacked the tools to deal with the Greek debt crisis.

「(ドイツの)メルケル首相は、彼女の内閣のショイブレ財務大臣を支援して、欧州連合はギリシアの債務危機に対応する手段を欠いていることを認めた」

ギリシアなど欧州連合内の弱小国を支援するために、IMFの欧州版EMF(European Monetary Fund)を創設しようという動きが出てきている(この件についてはHIKOさんから大変参考になるコメントを頂いたので是非ご一読を!)。

メルケル首相はEMFのような機構の必要性を認めながらも、このような機構を作るには欧州連合の総ての国の合意が必要だと釘を刺している。メルケル首相はマーストリヒト条約はユーロ地域内での救済を禁止しているので、条約の変更が必要だと主張する。

しかしユーロ圏の条約変更には時間がかかる。2007年12月に調印されたリスボン条約(欧州連合の基本条約を修正する条約)は、アイルランドの国民投票による反対などから発効が遅れてようやく昨年12月に発効した ことは記憶に新しい。

IMFの欧州版を作るより、厳しい財政規律を守る監視機構を作るべきだという意見も強い。EMFへの道のりは長くて厳しいといわざるを得ない。

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