金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
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インドの10%成長が視野に入ってきた

2010年03月04日 | 株式

インドのムケルジー財務大臣が予算国会で「金融危機とモンスーン危機(雨が少なかった)を乗り越えたインドは成長目標を10%に引き上げたい」と演説したのは2月のこと。

今日のFTはIndia confident of reaching 10% growth targetという記事で、10%成長の可能性を論じていた。

構造改革を推進する国民会議派が主導するインド政府の問題は、連立する与党統一進歩連盟United Progressive Allianceとの歩調がしばしば整わないところにある。しかしムケルジー財務大臣はFTに仮に政府が喫緊の構造改革を推進できないとしても、年率10%の経済成長は可能だと述べた。

エコノミストの中には主に内需と公共投資に支えられた早いスピードの経済成長に対する自信過剰にかねてから警戒を示している人がいる。彼等は教育、健康、インフラの不備を早く改善することを求め続けている。

2月の下旬に発表されたインドの来年度(4月からスタート)の予算は財政赤字をGDPの6.9%から5.5%に削減するというものだった。これは化学肥料と燃料に対する大きな補助金を削減するという「小さな一歩」だが、エコノミスト達に好印象を与えている。

Oxus InvestmentsのBhallaマネージング・ダイレクターは「インドが独立して以来、国民会議派が取った最初の「大衆迎合的でない」予算と評価している。ムケルジー財務大臣は「そこには自信過剰はない。望ましい経済成長率である9-10%の経済成長に向けて長い道のりを歩まねばならない。我々はまだはるかに低いレベルにいることを十分認識している」と述べている。

インド財務省は今年度(3月まで)の経済成長率は7.5%で、来年度は8.75%になるだろうと予測している。

企画委員会のAhluwalia副会長はFTに「インフラに対する内外の投資はより高い経済成長の助けとなる。しかしインドが構造改革のリストを素早く実行に移せると判断するのは間違いだ」と述べている。彼はインド政府は「ある領域~港湾の現代化、鉄道事業への民間資本の参加、炭鉱の再生など~を改善する一方、別の領域の改革を遅らせるという戦略をとるだろう」と述べている。

インドが中国ほどの速度で改革を進めることができない最大の理由は、連立政権であるところだ。同会長はParliamentary battles will always be taking place「議会での闘争は常に起こるだろう」と述べている。

☆   ☆   ☆

インドが金融危機と雨不足を乗り切って、成長軌跡に復帰したことは評価してよいと考えている。投資の観点からもインドに自信を深めた。

私が保有しているインド株投信(PCA インド株)は、昨年66.2%上昇した(販売会社である三井住友銀行の情報)。ロシア(132%)、ブラジル(89%)には及ばないものの、国内株インデックス(35%)をはるかに上回るパフォーマンスだ。また過去3年間でみるとPCAのパフォーマンスは-14.9でまだネガティブ圏にいるものの、国内株インデックス-41%よりはるかに良好だ。

無論過去のパフォーマンスは将来のパフォーマンスを保証するものではない。

だがゴールドマン・ザックスが少し前に行った予想では、15年後の2025年にはインドのGDPはドイツを抜いて世界第4番目になっている。その予想によると米国はまだ世界第1位だが、中国が僅差で迫っている。この両国からはるかはなれて日本が第3位(2006年のドル価ベースで約5兆ドル~つまりほとんど成長していない)、そしてインドが僅差で肉薄している。

10年位の投資期間を考えるとインドは大いに買うべき国だろう。インドの現物株を買うことは困難なので~一部米国預託証券などを買えるが~、一般的には投信かETFを買うことになる。

私が最初にPCA投信を購入した時はETFを考慮しなかった(そもそもなかったかもしれない)が、今ならETFがコスト面から見て賢明な選択肢だと思う。国内上場のインド株ETFもあるが、私は流動性にやや懸念をもっている。むしろ香港上場ETF iShares BSE SENSEX India Index ETFを時間のある時に研究しようと考えている。

一投資家の希望としては、インドの国会が日本の国会のように「政治と金を巡る泥仕合」に終始することなく、前向きに成長政策を討議することである。

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