6日付のファイナンシャル・タイムズによると、中国の政府系シンクタンク中国国務院発展研究センターのBa Shusong 巴曙松・金融研究所副所長が「中国は人民元の一日の値幅制限を拡大し、緩やかな人民元の上昇を認める可能性がある」と会見で述べた。
またFTは政府高官の個人的意見として「為替レート調整政策に関する提案が閣議の了承を得るため提出されている」と示唆した。
私はこのブログで「胡錦濤国家主席の4月中旬の訪米が決まった時点で、人民元問題に関する米中間のある程度の合意がなされた可能性が高い」とコメントを述べた。FTによるとスタンダード・チャータード上海のステファン・グリーン氏も「米中間である大きな取引grand bargainが行われつつあるように見える」と述べている。
インドを訪問中のガイトナー財務長官はインドのテレビで「人民元を切り上げるかどうかは中国の選択である。中国がよりフレキシブルな為替政策を取ることは中国の利益になると確信している」と述べた。
ゴールドマンザックスは「中国は早い時期に、現在の値幅制限上下各0.5%を上下1%に拡大するだろう。そして象徴的な意味で小幅な人民元の切り上げが行われる可能性はあるが、大きな切り上げの可能性はほとんどない」という見解を示している。
FTは中国政府は人民元は過小評価されていないという主張をしばしば繰り返しているが、大部分の中国人エコノミストと経済官僚は人民元は長期的には強くなる可能性が高いことを認めていると結んでいる。
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米中首脳・高官の間で何が交渉され合意されていくのか?推測に希望的観測を交えると「リバランスへのプロセス」ということになる。具体的にいうと軌道に乗りつつある米国経済の回復、より正確にいうと新しい経済モデルへの移行をサポートするとともに、中国の経済成長速度を巡航速度に調整するというものだ。
米国の一つの懸念は長期金利の上昇、これについては財政赤字の削減に向けて具体策を示すことで市場の不安をなだめる。米政府が発表した「核体制の見直し」などは軍事費の削減につながるので、債券市場から見ると好材料だろう。米国経済の復調やドルの安定は中国政府にとって大きなメリット。
しかしお互いに「弱腰」と見られると国内のタカ派の反発を招く。壮大でそして微妙な駆け引きの世界である。