金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
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長島防衛大臣政務官、武器輸出三原則緩和を求める

2010年04月20日 | 政治

19日付のFTは長島防衛大臣政務官が、同紙に「内閣に武器輸出三原則の緩和を求めていく」と告げたと報じている。

武器輸出三原則とは1967年の佐藤首相の国会答弁により確立された「共産圏向け」「国連決議で武器輸出が禁止されている国向け」「紛争の当事国または恐れのある国向け」の武器輸出を禁じる原則だ。その後76年の三木内閣により、三原則地域以外にも武器輸出を「慎む」ことになっている。ただしこのことを規定した法律はなく、経済産業大臣が輸出の許認可権でコントロールしている。

長島政務官の発言はこのコントロールを緩めることを求めるもので、その背景には、日本の防衛産業(三菱重工業など)の国際競争力を高めるとともに、米国以外の外国との武器の共同開発を促進し、日本の国防費の削減を図るという意図がある。

武器輸出三原則の緩和要請については、1月に北沢防衛大臣も発言しており→ http://www.asahi.com/politics/update/0112/TKY201001120219.html

特段目新しい話ではない。ただし「普天間基地の移転先は当面沖縄周辺になる結論に至りつつある」と述べる同政務官の発言だけに、鳩山内閣の新たな火種になるかもしれない。

それにしてもこの所の鳩山内閣では、閣僚達が実に自由闊達に色々な意見を述べるものだ。

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機会に困難を見出すか?困難に機会を見出すか?(その2)

2010年04月20日 | 社会・経済

先週のエコノミスト誌にThe world turned upside downという記事が出ていた。「世界は上下転倒した」という意味で、記事の主旨は「低コスト労働力の提供者と思われていた発展途上国が実は世界の破壊的革新の源泉になるだろう」というものだ。

記事は80年代の日本が開発した「リーン生産方式」から説きはじめる。土地と資源が不足していた日本の自動車産業は「無駄のない生産方式」で米国のビッグ3を圧倒するまで成長した。弱みを強みに変えた訳だ。

エコノミスト誌は同じようなことが、今中国、インドなど発展途上国で起こりつつあると述べる。これらの国は貧困層が多いとか、インフラの弱さだとか、著作権が保護されないとか多くの問題がある。だが問題は同時に成功する機会の源泉でもある。中国やインドでは数億人の人が向こう数十年の間に中産階級入りすると予想される。年金や医療保険など「レガシーコスト」と呼ばれる負担を背負う会社はほとんどいない。また優秀な頭脳を持った新しい労働力がどんどん生まれてくる。

だがエコノミスト誌が一番着目したのは、発展途上国の楽天主義である。「あなたの国の経済状態は良いですか?悪いですか?」という質問に9割近い中国人が良いと答え、7割以上のインド人が良いと答えている。そこまで行かないまでも、経済状態は良いという人はインドネシアやブラジルで4割を超える。英米仏など先進国で良いと答える人は2割以下だ。中でも一番低いのは日本で約1割程度だ。またインド人の94%、ブラジル人の87%、中国人の85%が自分の生活に満足していると答えている。

発展途上国の企業の中には、インドの鉄鋼メーカー アルセロール・ミタルやメキシコのセメントメーカー セメックスのように先進国企業のシェアを食いあさる強い企業がどんどん出てきている。

エコノミスト誌は「発展途上国はチャーチルの機会の中に困難を見出すよりはむしろ困難の中に機会を見出すという言葉に呼応している」と結んでいる。

少しの勇気と時代の変化を受け入れる柔らかな感性を持って、発展途上国を見る時、困難の中に投資機会が見えると私は思っている。

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