金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

Loopy鳩山外交の問題点

2010年04月16日 | 国際・政治

13日の終わった核サミットに出席した鳩山首相のことを、ワシントン・ポストはhapless and increasingly loopyと酷評した。Loopyという言葉を私は知らなかったが、Loop(輪)から「輪のように堂々巡りする」という意味かな?と推測していたが、そうではなくて「頭がおかしい」という意味だそうだ(もっとも「輪が多い」という意味もある)。文章全体では「あわれでますます頭がおかしくなっている」という意味だから酷評といわざるをえない。

ここまでの酷評は正直礼を欠くものと思うが、親日的と私が思っているシーラ・スミス女史(全米外交評議会の日本専門家)もニューヨーク・タイムズに「日本は機会を失した」という寄稿を寄せている。何故機会を失したか?というと「唯一の被爆国として核拡散に反対し、国際原子力機関IAEA等でリーダーシップを発揮している日本が普天間問題に足を取られてまったく存在感を示すことができなかった」と同女史はコメントしている。そして民主党はマニフェストの中に「核放棄に向けて国際社会と協力しながら断固たる処置をとる」とかかげながら(この部分は私が補足)、それを実行する機会を失したと補足している。

だが私はより大きな問題は、世界的な政治・外交の課題の中で日本の立ち位置を見ていないという点だろうと私は考えている。

世界経済が景気後退から脱却し始めた現在、オバマ政権は外交・軍事面で幾つかの方向を示し始めた。大きな流れは「核軍縮を含む軍縮」「膠着するイラク・アフガン問題への対応」「新たなテロの脅威への対応」である。中国もイランへの制裁に同意を示すなど一定の協力示し始めている。

この背景を考えてみると、金融危機脱却のため大きな財政負担を背負った米国などは、財政改善のために今後軍備費を削減する必要があり、そのためには世界の大国が歩調を合わせる必要がある訳だ。

次の問題は中東問題への対応だろう。オバマ政権の中で「イラク・アフガンなどでのイスラム過激派との戦闘を緩和するには、イスラエル・パレスチナ間の紛争を解決する必要がある」という認識が高まってきている。つまりアメリカはテロリストには厳しい対応を取るけれども、イスラム圏全体にはもっと友好的だという姿勢を示すことで、穏健・中道派の支持を取り付け、イスラム過激派を孤立させようという戦略だ。

「新たなテロの脅威」とは、テロリストが核兵器を手に入れるリスクだ。

これらの大きな流れの中で「日本は何をするべきだろう」「日本には何ができるのだろう」と考えることが、外交の立ち位置というものだろうと私は考えている。

今のところ日本で身近にテロの脅威を感じることはない。だがそれを持って「私は関心ないものね。それより普天間基地の問題なんとか穏便に済ませませんかねぇ」などという態度を取れば、アメリカ側が「ええ加減にせい」と怒るのは当然だ。「俺たちはあちこちで血を流してテロリストと戦っている。やっと解決した普天間基地問題に関わっている暇はない」というのがアメリカの本音だろう。

それ故手厳しい人からはLoopyと言われ、親日的な人からは「折角点数を稼ぐ機会があったのに残念でしたね」といわれるのである。

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オバマ大統領、中東政策変更を示唆

2010年04月16日 | 国際・政治

14日のニューヨーク・タイムズは、オバマ大統領がニュース・カンファレンスの最後に中東政策の変更を示唆したと報じている。大統領はイスラエル・パレスチナ間の紛争とイラン・アフガニスタンなどでイスラム過激派と戦闘している米軍の安全が明確に関連していると述べた。

大統領の発言は、イラク・アフガンの米軍司令官ペトラウス将軍が、最近行った議会証言と呼応するものだ。将軍は「中東和平交渉が進まないことで、米軍に敵対的な環境が生まれている」と証言した。

ブッシュ政権のライス国務長官は3年前エルサレムで「イスラエルとパレスチナの平和交渉は米国の戦略的利益である。貧困と屈辱が持続すると普通の人々も過激化する」と演説した。ただしこのコメントは当時ほとんど関心を持たれなかったが。そしてブッシュ大統領はイスラエル政府にハードポジションを取ることを避けた。

今オバマ政権の喫緊の課題は、イスラエルとパレスチナの間接的な対話を再開することだと政府高官は述べている。

多くのイスラエル人は2005年のガザからの撤兵などの和平への動きで自国が利益を得たとは感じておらず、和平交渉に幻滅を抱いている中で、オバマ政権は中東和平促進のプライオリティを高めたとことだ。

パレスチナ問題の解決は、イスラム過激派問題を総て解決するものではないが、重要なステップだと私は感じている。

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