米国の投資銀行等大手金融機関の貪欲さに抗議する草の根的な運動・Occupy Wall Street(OWS)を見ていると、失業等諸般の経済問題についてアメリカ人は巨大金融資本だけを非難しているような錯覚に陥りがちだ。だがギャラップが行なった世論調査によると、金融機関より連邦政府に対する風当たりの方が2倍も強い。
「あなたが米国が直面している経済的問題について、一つを選ぶとするとウォールストリート(金融機関)と連邦政府のどちらの方がより責任があると思いますか?」(10月15-16日)というのがギャラップの質問だ。回答は政府が64%で金融機関が30%(わからないが5%)だった。
同時期にUSA Todayとギャラップが行なった別の調査の質問は「現在米国が直面している経済的問題について、連邦政府と金融機関はどの程度責任があると思いますか?」というものだった。
回答は「政府に大きな責任がある」が56%で「金融機関に大きな責任がある」が45%。「政府にかなり責任がある」が31%で金融機関のそれは33%。この調査でも政府の責任を問う声の方が高い。
当然のことながらOWSの支持者は金融機関の責任を問う比率が高く、54%の人が金融機関の方を政府より責任があると考えている(政府という人は44%)。一方ティーパーティ運動の支持者は圧倒的に政府に責任があると考えている。実に82%の人が政府の責任が金融機関より大きいと言い、金融機関の方が大きいという人は17%に過ぎない。
金融機関と連邦政府という二つの大きな組織・機構をターゲットしたOccupay Wall Streetとティーパーティ運動という二つのうねりは来年の大統領選挙に向けて更に高まるのだろうか?
☆ ☆ ☆
ところで東京でも先週末にはごく小規模のOWSがあったと聞く。一方ティーパーティ運動のうねりはないようだ(寡聞にして)。
それは何故だろうか?
1.日本はアメリカのような高い失業率(日本の失業率は半分)や、所得格差という経済的問題を抱えていないので金融機関や大企業を非難する動きも財政赤字を拡大する大きな政府に対する批判運動も起きない。
2.国民が経済的問題に無関心で、運動を起こして何かを変えようとする気力もない。
3.日本の抱える経済的問題が複雑過ぎてどこに責任があるか明確にならない。
以上思いつくままに3つの選択肢をあげてみましたがあなたならどれを選びますか?あるいは別の答を選択しますか?