先週金曜日4月に任命したばかりのウッドフォード社長を突然解任したオリンパスの株価下落が止まらない。金曜日から3日連続で株価は下落、下落幅は1,065円になった。オリンパスの発行済み株式は271百万株だかこの3日で2,889億円相当の時価が消えたことになる。
幸いなことにオリンパスの株式は持っていないが、私はデジタル一眼レフが発売された当時から同社の一眼レフの愛好者だけに会社の行く末は気になるところだ。もっとも最近は重たいE-30は使わず、もっぱらソニーのミラーレスNEX-5を山では愛用しているが。
余談はさておき、ウッドフォード社長の解任劇については同社長がWSJに語ったところでは、解任前の水曜日に同社長が社長・CEOの立場から、菊川会長に対して「ガバナンスに関する重要な懸念」から辞任を求め、金曜日に会談を申し入れていたところ、金曜日に開かれた臨時取締役会で発言を許されることもなく、他の取締役全員の決議で社長を解任された。
ウッドフォード社長と菊川会長等との対立は、FTによると7月に始まっていた。ウッドフォード社長はオリンパスが過去に行なった買収~特に08年に英国の医療機器メーカー・ジャイラスを買収した時に、買収総額22億ドルの3分の1に近い6.9億ドルを仲介業者に払ったことに大きな疑問を感じ、菊川会長に問いただしたが、埒が明かないので、プライスウオーターハウスを雇い独自で調査を行った。
WSJによるとプライスウオーターハウスの30ページに及ぶ調査レポートは先週完成した。レポートでは「(ディールに関して)オリンパスが不正な処理をしたと結論付けることはできないが、この段階でその可能性を否定することのできない」と述べ、「潜在的に犯罪となる不正会計や取締役の義務違反が幾つかある」と指摘している。
ウッドフォード社長はFTに「私は英国の『重大不正監視局』SFO:Serious Fraud Officeに行き、総ての往復書簡やプライスウオーターハウスのレポートを提出した」の述べている。
一方オリンパス側はウッドフォード社長が社長解任後機密情報を外部に公開したことに対して法的処置をとるかもしれないと投資家ミーティングで告げた。
またオリンパスの森副社長は「ジャイラスに支払われた報酬は、ウッドフォード前社長がいう687百万ドルではなく、その半分以下だ」と主張している。
ウッドフォード前社長はお家騒動に対する今後の当局の査察を望むところだと述べている。
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以上が現時点で信頼できるマスコミ筋のニュースだ。気になることが幾つかある。第一に森副社長が言うようにジャイラスに支払われた報酬がウッドフォード前社長が言う数字の半分以下としてもなお15%以上と極めて高い。プライスウォーターハウスのレポートは通常の報酬はディールの1%程度と述べている。オリンパスは何故そのような高い報酬を支払ったか株主に対して説明する義務があるのではないだろうか?
オリンパス側の適切な反論はなく、数字を見る限りウッドフォード前社長の指摘にはかなり理があるように思えるのだが・・・・
次に菊川会長はオリンパスのセールスマンから15年かけて、欧州のトップに登ったウッドフォード氏を社長に任命するという「英断」を見せたが、任命時に彼がこのような内部告発を行なう可能性を考えなかったのだろうか?オリンパスはそれ程人材が枯渇していたのだろうか?
ここまでお家騒動が大きくなると日本の当局も動かざるを得ないだろう。
それにしてもデジタル一眼レフでは、すっかり影が薄くなってしまったオリンパス。ミラーレス一眼で先行したものの、こちらもニコンの進出で苦しくなってきそうだ。
お家騒動に疲弊して、カメラの開発競争でますます立ち遅れるのではないか・・・と長年のオリンパスファンとしてしては寂しい思いである。