FTによると景気減速懸念から中国のCDS(クレジットデフォルトスワップ)の残高が拡大して83億ドルに達している。残高規模では信用リスクが懸念されるポルトガルやバンカメを超えて世界で10番目になった。
野村のマーケットリサーチャーWyman氏によると「中国がハードランディングするというのは、野村のベースシナリオではないが、過去に較べて懸念は高まっている」と述べている。
市場が警戒しているのは特に2008年から10年にかけて膨れ上がった不動産バブルが破裂するリスクだ。中国当局は住宅ローン借入時の自己資金比率を引き上げたり、銀行の不動産業者向け融資を絞ることでバブルの拡大を抑制しているが、中国の輸出先である欧州の景気後退とともに、中国経済の景気減速材料と判断されている。
中国のCDSのコストは足元で187bp。つまり5年ものの中国クレジット10百万ドルの年間保険料は187千ドルということだ。
因みに日本のCDSは157bp、韓国は216bp。米国は50bpでドイツは108bpであるから中国の信用保険料が特に高いという訳ではない。各国のCDS価格が欧州債務危機の影響を受けて急騰しているのだ。因み昨年の今頃の日本のCDSは60bp程度だった。どこもかしこもリスクが高まった状態だ。
もっとも世の中には目敏い人がいてCDSに投資して大もうけをしているEclectia Credit Fundのようなヘッジファンドもある。「人の行く裏に道あり花の山」というところだろうか。