金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

ブラジル、今年はIPOが増える見込み

2013年01月09日 | 投資

数年前にBRICs投資という言葉が流行った。より正確にいうと2001年11月にゴールドマンサックスのオニール氏が投資家向けに書いたレポートに出ていたという話だ。その筆頭のブラジルについては2014年のサッカー・ワールドカップや16年のオリンピック開催という話題もあり、投資を増やした人も多かろうと思う(何を隠そう、私もその一人)。しかし株式投資に関しては、ぱっとしない。私が持っているETF(MSCIブラジルインデックス)で見ると、2008年5月99ポイントという高値をつけた後、一進一退を続け現在は56ポイントだ。

そのブラジルにIPOの活発化という新しい風が吹く、と思わせる記事がニューヨーク・タイムズに出ていた。昨年第1~第3四半期のブラジルのGDP成長率はわずかに0.7%。株式市場ではボベスパ指数は7.4%上昇。これは過去の2桁の伸びに較べると低いし、先進国の2桁の伸びに比べても低い。

だが今年は株式市場の活性化が期待できそうだ。世界第7位の規模を誇るブラジル経済だが、株式市場はまだ発展途上だ。現在ブラジルで上場されている企業は365社にすぎないが、関係筋によると、向こう1年から1年半の間に最低でも30企業が上場準備を固めている。

例えばブラジル銀行は保険事業部門をスピンオフすると発表しているし、ブラジル最大のセメント会社ボトランティム・セメントスは60億レアルの調達を目指して今年IPOを行う予定だ。

過去数十年にわたって投資家は短期国債を買うことで二桁のリターンを得てきたが、ブラジルでは金利低下が続いている。現地の投資銀行幹部の見方では、低金利下ブラジルの投資家は株式市場への資産配分を増やそうとするインセンティブがあり、潜在的にはIPOに対する需要が高まっているということだ。

ブラジルで現代的なIPOが初めて行われたのは10年前の2002年のことだ。その後ファイナンスの7割は海外投資家によって賄われている。ブラジルの株式市場が活況を呈した2009年頃の水準まで戻るとは予想しにくいが、昨年の2,3倍のIPOは起きそうだとある投資銀行幹部は予想している。

ブラジルでしこり玉を抱えている人にはもう少し待っても良いだろう、と響く話である。

だが冷たくいうと、自分の過去の投資にこだわらず、これからパフォーマンスが上がりそうなところに投資するのがプロ的感覚というものだ。直感的にいうと、今年は米国の景気回復が世界経済を牽引し、ブラジル経済の回復はもう少し後、と私は見ている。でも何かが起きそうなブラジル。しばらくは情報収集なのかなぁ。

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日本株投資をアメリカ人の目から見ると・・・

2013年01月09日 | 投資

安倍政権のデフレ退治政策を好感して急騰した日本株だが年があけてお休みムードである。通常7割を超えると「買われ過ぎ」と判断されるRSI(相対力指数)が8割を超えているようだから警戒感がでるのも当然である。もっともこれが一休みなのかそれとも、年末の相場が景気浮揚策を既に織り込んだものなのかは考えどころである。日本株の需給を左右する外人投資家が外貨ベースでの日本株投資をどう判断しているか?などというのもチェックポイントだろう。

S&P Capital IQのAlec Young グローバル・エクイティ・ストラテジストは次のように述べている。

  • 昨年日本株は円ベースでみると、21.7%上昇した。しかし円がドルに対して14.4%下落したので、米ドルでの投資家にとって日本株の上昇は7%に過ぎず米国株やその他の株式市場の二桁の上昇より大きく見劣りした。
  • 日本株とドル円為替の日々の相関係数は87%である(ものすごく高い)。これは時価総額の約半分を占めるのが輸出関連企業だということに起因する。
  • 円安になると株価は上昇するが、ドルベースで見ると為替損が発生し、円高になると為替益が出るが日本株は下落する。
  • 日本株は割高である。予想収益ベースのPERは15倍(参考までに昨年11月時点の実績PERは日本が19.7倍、先進国平均は14.4倍だった)で、米欧や新興国市場に較べて顕著に割高である。また日本株の配当利回りは2.1%でこれはS&P500を下回る数少ない外国市場である。

総合的にみてドルベースの投資家にとって、日本株投資は今年も難しい年になりそうだ、とヤング氏は述べている。政策の変わり目などでサヤ取りを狙うすばしっこい投機家にはチャンスはあるかもしれないが、本腰を入れた投資家には余り魅力のない市場ということなのだろう。

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