ニューヨーク・タイムズはムーディズが大学に対して行った調査結果のサマリーを報じていた。それによると「数年にわたる家族の収入と純資産の減少、最近の大学卒業生の就職見通しの悪さなどの複合効果で、今年はかなりの大学で新入生の減少と授業料収入の減少が予想されている。
2008年の金融危機以前では大学はほとんど努力することなく、授業料を値上げすることができた。だが状況は変わり、ムーディーズの調査によると、半分近い大学が全日制大学生の減少を予想し、私立学校の18%、公立学校の15%が授業料収入の減少を予想している。
ムーディーズのアナリストは、これらの問題は「規模が小さい」「授業料への依存度が高い」「格付けの低い」大学にとって特に痛みが激しいと述べている。
大学の格付けとは、マスコミなどが行なっている大学の評価だ。
参考までにU.S.Newのビジネススクールのランキングを見ると、1位ハーバードで年間授業料は51,200ドルだ。以下スタンフォード55,200ドル、ペンシルバニア53,926ドル・・・と5万ドルを超える授業料を取る大学が続いている。
25番目位になって日本の大学並の授業料の大学が出てきた。公立の名門ウイスコンシン大学で11,752ドル(ただし州内の学生に限りで、州外は2.5万ドル)である。
アメリカの大学の授業料は改めて高いなぁ、と思う。高いけれども名門大学を卒業すれば、払った授業料に見合う収入を得ることができたから、借金をしてでも格付けの高い大学を学生は希望していた訳だ。その学生の借金が溜まりに溜まって1兆ドルを超えるという。連邦政府によると学生ローンを抱える人の6人に1人近くがデフォルトしているという。
就職難になると、格付けが低い学校の卒業生にとっては就職チャンスが一層減る。だから大学へ進学する人が減るとともに、格付けの低い大学への進学者は一層減る。それ故格付けの低い大学ではインフレ率に見合う程度にも、授業料を値上げすることができない。収入が減るから新しい教育プログラムを開発することもできず格付けは悪化する・・・という悪循環だろうか?