金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

2013年米ドルは堅調という予想

2013年01月24日 | 金融

先日瞬間的に1ドル90円にタッチした円は若干買い戻されて今日は88円台半ばで取引されている。90円に手が届きそうになった時は、欧州の中央銀行筋から通貨安戦争を引き起こすのか?というブーイングの声があがり、国内の経済閣僚からは行き過ぎた円安は日本経済に好ましくないというコメントがあった。これらの政治的な動きと早すぎる円安に投資家が懸念を示した結果円安にブレーキがかかった、というところだろう。

さてこの先ドル円為替がどうなるのか?というのは気になるところだが、円の為替レートについては政治的要因によりかなりボラタイルになるだろうと市場は見ているし、私もそう考えている。

FTにUBSの外国為替戦略部門の責任者Mohi-uddin氏がDollar to emerge stornger in new policy eraという寄稿を寄せていた。

それによると現在は主要国の中央銀行の基本政策の転換点にあるという。方向転換の先駆けとなったのはカナダとスイスの中央銀行だった。09-09年の金融危機の後、カナダの中央銀行は特定の経済目標と政策金設定を関連付けたし、スイスの中央銀行はスイスフラン高を抑制することをメインターゲットとした。

次に欧州中銀はコンバーティビリティ・リスク(通貨転換リスク)を避けるため、ユーロ圏内の問題国の国債を購入すると宣言し、米連銀は失業率が6.5%に低下するまで超低金利政策を続けると述べ、バンクオブイングランドの次の総裁予定者は消費者物価だけをターゲットにするのではなく、名目GDPもターゲットにするべきだと述べている。

Mohi-uddin氏は世界の中央銀行はオーストラリアやスウェーデンの中銀のように伝統的なインフレターゲットをマンデートとする中銀と米連銀、日銀などそれ以外の政策目標を掲げる中銀に分かれてきた。

このことは為替相場に次のような影響を与える。一つは米国であれば失業率、英国であれば名目GDP、ユーロ圏であれば国債の利回り格差などが、中央銀行の政策決定に強い影響を与える。

次にスイス中銀の経験からみると、最初は中銀の緩和政策で通貨安が起きるが、時間の経過とともに、経済成長が回復する結果、資本流入が起こり再び通貨高になる。

最後は金融政策の不確実さは為替のボラティリティを高める、とMohi-uddin氏は述べ、わけても円は金融政策の変化の影響を受けやすいが、米ドルは相対的に堅調だ。なぜなら景気回復とシェールガスの開発により、連銀の量的緩和政策はそれほど長続きしないと述べていた。

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