昨夜(12月10日)のNHKクローズアップ現代のテーマは「団塊パワーを活用せよ~アクティブシニアが地域を変える」http://www2.nhk.or.jp/hensei/program/p.cgi?area=001&date=2013-12-10&ch=21&eid=30922&f=112というものだった。
最初に出てきた人については退職後3年間特に何もせずに家にいて、本人も奥さんも疲れている・・・というエピソードだったと思う。
高年齢者雇用安定法の改正により、65歳まで条件問題を別にすれば、働く機会はできたようにも思うが、「やりがい」や「周囲からのrespect」という問題を考えると「同じ職場で嘱託のような形では雇用延長をしたくない」と判断する人もいるだろう。
この問題は高年齢者(そもそも60歳や65歳を高年齢と呼ぶのは問題なのだが通称に従う)にとって必要なものは何か?ということに関わると私は考えている。ある人は「まず収入」というだろうし、ある人は「やりがい・いきがい」というだろうし、ある人は「安心してコミュニケーションできる仲間」というだろうし、ある人は「周囲の人からのrespect、いやrespectとまでは言わなくても頼りにされること」というだろう。
理想は「まわりの人から頼りにされ、そして多少尊敬され、ある程度の収入がある」仕事をすることなのだろうが、そのようなチャンスは少ないと考えるべきであろう。更にいうとそのような老後を目指すのであれば若い時からのしっかりした助走期間が必要である。たとえば弁護士・司法書士・税理士といった士業について、かつそれなりのclientがいればこの理想を充たすことはできる。我々多くのサラリーマンだった人間にはそのような助走期間はなかったので、この選択肢は殆どない。だがそれを悔やむ必要はない、と私は考えている。企業人には士業の人にはできないような大きな仕事があったのだからそれはtradeoffなのだ。
ところで老後にやることは恐らく「仕事、ボランティア、趣味、家事・自己研鑚、悠々自適(何もしない)」という5つ位のカテゴリーに分かれると私は考えている。
その中の仕事とボランティア活動を比べてみると、その違いはほとんど「無償性」だけではないか?と私は考えている(もっとも最近は有償ボランティアというのも出ているので境界線は曖昧になりつつある)。
仕事と趣味の違いは何か?とう説明で仕事には「依頼」と「期日」があるという話を聞くことがあるが、ボランティア活動にも「依頼」(ないしは求める人のニーズ)と「期日」はある。だからボランティア活動は趣味とは違うのである。
ボランティア活動は団体・組織で行うことが多い。だからコミュニケーションが必要になり、時として仕事よりも高いコミュニケーション能力が求められる。また活動内容によっては高い事務処理能力や交渉力、ときには語学力が必要になる場合もある。
と考えるとボランティア活動というのも、定年後のある時期から急に始めてうまくいくものかどうか私は疑問に感じている。つまりこれまた長い経験を活用する場なのである。
結局退職後に納得の行く活動を行おうと思うとかなり長い助走期間を必要とするのである。
幕末の儒学者佐藤一斎の「壮にして学べば、則ち老いて衰えず」という言葉はこのことを指すのではないだろうか?そして一斎は「老いて学べば則ち死して朽ちず」と結んでいる。