本日(12月17日)の夕刊によると厚労省は9月に実施した「ブラック企業」取り締まりのための調査結果を今日発表した。それによると、調査対象5,111社の内、82%にあたる4,189社で賃金不払いや違法な時間外労働という違法行為が確認された。8割以上の会社が法令違反を犯しているというのは、法治国家として異常ではないだろうか?
法令違反といえば、車を運転する人の大部分の人恐らく8割近い人(勝手な推測だが)が一度は法令違反を犯していると私が推測するのが、道路交通法(施行令)で定める制限速度オーバーだ。
もっとも速度制限というのは、私の経験した限りでは多くの国でガチガチには守られていないようだ。例えば制限速度時速40kmの道を45kmで走ったからといって、まず捕まることはない。日本でもアメリカでも。5km程度はノリシロとどこの警察も思っているのである(と我々は思っている)。
その裏には現在の速度制限が少し実態に合わない・・・という思いもあるのかもしれない。
さて自分の会社生活経験を踏まえて言うと、恐らくかなりのサラリーマン、つまり上司も部下も今の労働基準法が少し実態にそぐわない・・・と考えていて若干のスピードオーバーを起こしているところがあるのではないかと私は感じている。無論私は違法な時間外労働の強制など悪質な法令違反を擁護するつもりは毛頭ない。それは交通法規に例えるならば、信号無視などの危険行為そのものだからだ。
だが「労働時間と成果が連動しない業務」において、長く働いたものが残業代の形で多く賃金を貰う制度に固執すると変なことが起きる。たとえば勉強熱心なAさんは休日に自宅でパソコンの勉強をして、タイピングやスプレッドシートの取扱いが早くなり、与えられた仕事を勤務時間内に終了させることができるようになった。ところがBさんはそのような努力をしなかったので、勤務時間内に仕事を終了させることができず、残業が恒常化した。その結果Bさんの所得の方がAさんより多くなった。これでAさんとBさんを公平に取り扱ったといえるのだろうか?
「職場における労働時間と産出物は比例する」という古い工場労働者モデルをベースにものを考えるとこのような誤りを起こす。
ザックというと私は8割以上の会社が法令違反をしている、という中には本当に悪質な法令違反を行っている会社もあるが、法律が時代遅れになっているという面もあると感じている。
とはいえ8割以上の会社が法令違反をしていて「ああそうですか」というのでは、青少年に対して「法律を守りなさい」と胸を張って言える大人がほとんどいないことになってしまう。その時々が求めるfairnessを機敏に判断して、皆が守ろうと思う法律を作り、そして作った法律はキチンと守るというのが法治国家のあるべき姿だとすれば、現状はお寒い限りである。