昨日(7月10日)ダウは取引開始後30分で180ポイン以上下落。その後値を戻したが最終的には70.54ポイント安の16,915.07ポイントで引けた。一度17,000ポイントの高みまで登ったダウだが、橋頭堡を確保するのは容易ではないようだ。
ダウが急落した原因は、ポルトガルの銀行エスピリト・サント銀行とその親会社エスピリト・サント・インターナショナルが、一部の短期債で支払が遅延したことで、同国の銀行に対する懸念が高まったことだ。
エスピリト・サント・インターナショナルは7月29日に債権者に対するリストラ説明会を予定しているが、地元経済紙が伝えるところでは、債権者からの支払い要求に対する保全命令を求めているということだ。これらのことから投資家の間でエスピリトがデフォルトの準備をしているのではないかという疑惑が広がった。
ポルトガルやギリシアなど欧州周辺国では、銀行と国の結びつきが非常に強い。多くの人はこの関係をdoom loop(運命的な連環)と呼んでいる。
だから銀行の信用懸念は、国家に信用不安に繋がりやすい。問題は信用不安がポルトガルなど周辺国にとどまっているかどうかである。多くの市場参加者は、問題は地域限定的なものだといまのところ見ているようだ。
そういう意味では昨日のsell offは米国株の高値に懸念を抱いている投資家に現金化の理由を与えた程度というのが、大方のアナリストの見方である。
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