金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

おじさんの電子本出版体験記(1)~電子本は売れるか?

2014年07月20日 | デジタル・インターネット

私は今月9日(2014年7月9日)に最初の電子本をアマゾンから発売した。そしてまもなく2つ目の電子本をアマゾンから販売する予定である。

電子本の出版に際して1回目は代行業者を使った。これは早く電子本の出版に漕ぎ付けたかったからだ。なぜ早く電子本を出版したいと思ったかということについては後程説明する。

第2回目は自分でSigil(シジル)という無料ソフトを使って、wordで作成した文章をアマゾンが受け付けるフォーマットに転換して、画像入りの表紙までつけて自分で作成した。なぜ代行業者を使わなかったか?というと、電子出版で想定される売上高は代行費用を賄うには余りも少ないと予想されたからである。

第1回目の電子本も第2回目の電子本も写真や図表のないシンプルなものだったので、作成は技術面では簡単だったと思う。

第1回目の電子本も第2回目の電子本も中身contentsはこのブログ(金融そして時々山)に掲載したものを中心にまとめたものである。

第3回目の出版の具体的スケジュールは決めていないが次は「オジサンがはまった電子本出版」(仮題)を出版しようと考えている。ただしこちらは写真が入るのでハードルが少し高そうだ。

なお8月上旬にアマゾンが主催する「電子本出版初心者向けセミナー」に出席することが決まっている(抽選にあった)。

以上のような状況を踏まえて、私は中年のおじさんによる電子本出版体験を同時進行的にブログに掲載していきたいと思っている。もし同年代の方で電子出版をしたいと考えている方などの参考になれば望外の幸せである。そしてこれは「オジサンがはまった電子本出版」の原稿でもある訳だ。

まず最初に私の状況について説明しておこう。

年齢64歳。パソコン歴は長いが、体系的に勉強したことはない。典型的文系人間。ブログ歴は約8年しかしHTML(ウェブに文字を書く言語)についてはまったくの素人。英語についてはコンピュータ関係のマニュアルを必要なところは辞書を引きながら読むことができるレベル(このことはSigilを使うことができるかどうかの判定ポイントになると思う)

電子本の出版実績・予定

出版済:英語の慣用表現集

7月21日頃出版予定:人生という山坂の登り方・降り方

以上のような前提を踏まえながら、まず次の点を考えてみよう。

「なぜ電子本を出版するのか?」「電子本はどれ位売れると考えるべきなのか?」

電子本の自己出版については幾つかの本が「電子本」で出ている。私も「Kindle 自己出版」(蓮見あつき著)と「Kindle 電子出版マニュアル」(朝倉徹也著)の2冊を読んだ。重複するところが多いのでこのあたりの「自己出版マュニュアル」はとりあえず一冊読めば良いだろう(また最低一冊は読むべきである)。

私が読んだ2冊のマニュアルは「どのようにしてアマゾンにアカウントを開くか」「米国の30%を課税をどう回避するか」「ワードで作成した文章をどのようないアマゾンの出版サイトにアップロードするか」ということが主な論点になっている。

しかし私はそれらのことはコンピュータに詳しい専門家にお任せして、もっと基本的な問題について現時点で私に分ることと私が感じることを述べていきたい。

まず第一は

【電子出版になぜアマゾンを使うか】という点である。事実上現在日本では電子書籍の自己出版=アマゾンのKDP(Kindle Direct Publishing)となっているが、それは何故なのだろうか?

答は簡単だ。アマゾンが日本で電子出版市場の9割を押さえているかからである。アマゾンはde facto standardなのである。アマゾンは最大で売上高の70%を出版者に還元するという仕組みを提供している。アマゾンは独占販売権を取得する代わりに7割の印税を払うという仕組みだ。

次のポイントは

【なぜ電子本を出版するのか?】ということだ。

この問題は2つに分けて考えた方が良い。「なぜ本を出したいと思うのか」と「なぜそれを電子本で出版するか」だ。

「本を出したい」と思う理由には、「本を出して印税を稼ぎたい」という金銭的動機と「自分を表現したい」という心理的な動機があると思う。マズローの欲求5段階説に従うと第4段階の「尊厳欲求」と第5段階の「自己実現欲求」に該当する。その他に団体などが会報を電子本で配布したいと考える場合があるかもしれないがまだニーズは少なそうなので省略する。

金銭的動機の高いプロの著述家は別として、我々一般人は皆多少なりとも「自分の書いた文章が活字になる」ことを憧れていると私は考えている。だから「自分史」の出版などが行われるのだ。しかし紙の出版物は制作コストが高い。これに較べて電子本は、多少のIT知識と時間があれば、ほぼゼロコストで出版することができる。だから「自分で本を出版したいけれど、大きな出版費用は払いたくない」という人は電子出版を選択すると考えている。

だが電子本はあくまで電子本。紙の本に較べると文字通り重みがない。きれいな装丁の本を出版し、多くの人に読んでもらいたいと希望する人は多いと思うから紙の自費出版がなくなることはおろか、電子本に大きく浸食されることもないと私は考えている。少なくとも暫くの間はである。

第三のポイントは「素人が作った電子本は売れるのか?」という点である。

電子本の出版代行業者のウェッブ広告などを見ると「電子本を出版してブログやフェイスブックで宣伝すると本が売れて印税が入ります」というキャッチフレーズに出会う。

本当に電子本は売れるのだろうか?電子本を出版しても、それが自動的にアマゾンのサイトで紹介される訳ではない(売上ランクが上位にくれば別だが)。何らかの宣伝をしないと誰も「その本が出版されたこと」に気が付かないのだ。

出版した電子本の宣伝はブログやフェイスブックで行うことになるが、自分の経験では「出版した電子本はあまり売れない」ものなのである(正直なところ発刊日から10日間で1日平均1冊程度)。

無論電子本が売れるかどうかは「内容」(読者が読みたいものかどうか)「タイトル」(キャッチフレーズ)「値段」など多くの要素が絡んでいる。

しかしブログによる宣伝についていうと、私のブログは素人ブログとしては、アクセス数が多い方だと思っているが、それがプラットフォームになって電子本がトントンと売れることはあまりないようだ。その理由については次のエントリーで考えてみたい。

Blog

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電子書籍「英語の慣用表現集」 http://www.amazon.co.jp/ebook/dp/B00LMU9SQE

 

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やがて銀行店舗の9割は消滅。米銀トップの予想

2014年07月20日 | 金融

少し前(7月7日)のWSJにモルガンスタンレーのジェームス・ゴーマンCEOが金融機関の将来の姿について予想を述べていた。

ポイントを紹介しよう。

  • 今後も銀行は「信用仲介」と「資金決済」という重要な役割を担うので存在する。
  • しかし「情報技術の発達」「グローバリゼーション」「人口動態の変化」により銀行業界の姿は大きく変わる。特に情報技術の発達により競争とディスインターミディエーション(銀行離れ)が加速する。
  • 米国にある約9万7千の銀行の支店は1万店までに減少する。そして残る1万店舗は、貯蓄や投資についての教育と討論の場所やハイエンドの商品やサービスに出会う場所になる。
  • 一方世界規模で企業や国家に資金を供給する大手銀行には引き続き大きなビジネスチャンスが存在するだろう。
  • 金融セクターの中では資産運用業務が単体では一番大きな業務になるだろう。

将来生体認証などの方法で本人確認の安全性が高まると、個人がそれぞれの電子端末で支払を行うようになるので、やがて通貨は「貨幣記念館」行きになる・・・というのがゴーマン氏の予想だ。

以上の話に時間軸はない。いつアメリカの銀行店舗の9割が消えるかは予想されていない。

過去を振り返ると将来のことを「いつ起きるか」まで予測することは難しいが、「いつか起きる」と多くの人が考えたことはやはりいつか起きている。

20年ほど前ニューヨークにいた時、バーンズアンドノーブルという巨大書店チェーンが私の住んでいた街の近くに店舗を出店し、街の数件の本屋さんが閉店に追い込まれたことがあった。そのバーンズアンドノーブルもアマゾンの無店舗販売の前に苦戦している。そして本の販売の世界では電子本がシェアを伸ばしつつある。

このようなことを20年前に正確に予想できた人はどれ位いただろうか?

そのように考えていくと、やがては街角にある銀行の店舗は激減するのだろう。

ところでこの数字を日本に当てはめて考えてみよう。

日本の銀行の国内店舗数は全国銀行13,325、信用金庫7,451。これにゆうちょ銀行(含む郵便局窓口)の24,215を加えると44,991だ。他に農林系金融機関等もあるから、ざっと5万店舗である。

日本の総人口はアメリカの4割だ。これをアメリカの銀行店舗数の9万7千にかけると、38,800である。

つまり計算上は現在でも日本の銀行店舗数はアメリカ基準で考えると1万店舗以上多いのである。また昔は銀行の窓口に出向かないとできなかった支払の多くはコンビニの窓口でできることを考えると日本の銀行窓口が相当過剰なことは間違いない。

米国では余剰人員の解雇や店舗閉鎖などが比較的簡単なので、銀行店舗の閉鎖がトレンドになると一気に進む可能性がある。これに較べて日本ではそれほど速く進むかどうかは不明だ。

だがネットバンキングと電子マネーの発展が日本でも大規模な銀行店舗閉鎖を引き起こす可能性は高いだろう。何時かはわからないが。

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