「昨日(1月31日)富士フイルムが米国のゼロックスを買収すると発表した」記事は朝刊の紙面を賑わしている。
日経新聞の記事のポイントを抜き出してみよう。
- ペーパーレス化が進み需要減に苦しむ1906年創業の名門米ゼロックスを、かって技術支援を受けた富士フイルムHDが主導して再建する構図だ。
- (プロセスは省略して)富士フイルムがゼロックスに50.1%出資する
- 富士フイルムとゼロックスの売上を単純合算すると3.3兆円に達するが、その内コピー機や印刷機の販売が3分の2を占める
- ペーパーレスが進む先進国では需要減に直面する
WSJは次のように書いていた。
- 富士フイルムの小森CEOは「コピー機市場は成熟した市場で売上高は毎年2%減少している。しかし成長市場はある。それは中国とインドだ」と述べた。
- だが投資家は懐疑的である。昨日富士フイルムの正式発表前に同社の株価は8.3%下落した。昨日の朝WSJが買収話を報じたからだ。
- 東海東京調査センターの石野アナリストは「私は成長する方法はあると思うが、同社がそれを見出せるかどうかは定かではないと思う。これは食糧不足の中で恐竜を大きくするようなもだ」と述べた。
石野アナリストのコメントの後半は原文ではIt's like dinosaurs getting bigger when food is scarece.
Dinosaur恐竜には「巨大で扱い難い時代遅れなもの」という意味がある。
中国やインドが経済成長を続けることは間違いないが、それに比例して紙の使用量が増えるとは考えない方が良いだろう。
日本ではファックスはビジネスの第一線でも使われているが、アメリカでは「ファックス機が見たければスミソニアン博物館に行け」という言葉があるそうだ。
コピー機や印刷機がファックス機のように博物館行になるとは思わないが、ビジネスの世界では「如何に紙への出力を減らすか?」ということに頭を使っている。ビジネスプロセスの改善は「少紙化」を推し進める。
直観的にはクエスチョンマークがつく買収話ではないか?と思う。