所有者不明土地問題に関する記事を新聞で目にすることが多くなった。
今日(2月25日)の日経新聞朝刊には「登記が阻む日本の成長」という記事が出ていた。
記事は「『迷子の土地』がここまで増えた原因は今の登記制度にある」と指摘し、自民党幹部の「長男による家督相続を戦後に均等相続に見直した時登記を義務化し、使い勝手をよくするべきだった」というコメントを紹介していた。
従って記事の主張は「登記の義務化」にあると思えるのだが、ではどうすれば「登記を義務化できるのか?」という点まで踏み込んでいない(記事のスペースの問題もある)。
登記の義務化を推進する一番良い方法は「登記に公信力を持たせる」ことである。現在に日本の登記制度には「推定力はあるが公信力はなく、第三者に対する対抗要件を有するに過ぎない」と規定されている。
なお不動産の譲渡のような意思表示による物権(不動産の所有権の移転など)の承継は登記が第三者対抗要件として必要だが、相続については一般的に「登記しなくても第三者に対抗できる」と解されている。
それ故相続不動産は登記されないことがあり、相続人が死亡した後、所有権がその相続人の子ども・孫に拡散し、所有者不明土地問題の大きな原因になっていると言われている。
この問題を根本的に解決するには私は日本の民法を大改正してドイツのように「登記に公信力を持たせる」ことと「一定期間を経過した所有者不明土地については国または自治体が収容する」ということが必要なのではないか?と考え始めている。
ただし現在の所有者不明土地の多くは「価値のない不動産」で固定資産税の支払い負担だけが目立つものが多いので、これ幸いと所有権を放棄する人が増えるかもしれないという懸念は残る。
土地の価格は上がるという土地神話の時代であれば、「登記の義務化」は進めやすかったかもしれないが、多くの不動産が負動産になってしまった現在ハードルは上がっている。
しかしこの先日本の人口減少は続くから、負動産の状況は改善しないだろう。今やるしかない問題の一つであることは間違いない。