月曜日(2月5日)に史上最大の下落を経験した米国株は昨日(2月6日)最終的に大きく上昇した。
ダウは567ポイント、2.3%上昇した。だが昨日の取引は日中に1,200ポイント近い値幅の中で29回も上下したというから、投資家・投機家の思惑が交差するせわしない相場だったようだ。
WSJはこれまで買い場のなかった株価急落を絶好の買いのチャンスとして個人投資家がオーダーを出したなどというエピソードを報じている。だがまだ相場は下落すると思い、買い控えている人もいるだろうから、底入れしたと判断するのは早過ぎるだろう。
ところでWSJは「米株急落の背景に低ボラティリティに賭けた取引があった」という見方を示していた。株価の変動幅が下がると先物市場のボラティリティ価格は低下する。将来価格が下がると予想する投機家は、今売って安くなった時に買い戻して利益を上げようとする。
株価ボラティリティについては更に低下することを期待する投機家が売り建てていたが、先週後半から株価が急落する中でボラティリティが急上昇し、損失拡大を恐れた投機家が争ってボラティリティの買いに走ったため、相場の振幅を拡大した可能性があるというのがWSJの解釈だった。
野村証券は一昨日ボラティリティと逆連動する上場投資証券を早期償還すると発表している。この商品は株価変動幅が大きくなり、ボラティリティ価格が上昇すると価格が下落する。価格が大幅下落した場合、早期償還することがあるという規定に基づき、早期償還が決められた訳だが、償還額は前日の時価総額の僅か4%にとどまるらしい。
このことは瞬時にして価値が大きく損なわれるデリバティブ商品の恐ろしさを改めて教えてくれる。
一方儲けは大きくないが、現物株の投資を続けている投資家にとって今回の相場はそれほど慌てる必要はないと私は考えている。
それは先週来の株価急落が早過ぎた相場上昇の反動であり、世界経済や米国のファンダメンタルは底堅いからだ。
そのシナリオを信じるならタイミングを見て、インデックス投資であれば米国株に投資するのが本筋だ。なぜなら米国株式相場を見て振幅を繰り返す(時には増幅して)日本株というのはある意味で米国株の派生商品(デリバティブ)とみなすことができるからだ。
もし個別銘柄を物色するなら世界的な競争力を持った企業を買ってみたいと私は考えている。株価の一時的な下落がそのチャンスを提供してくれるならそれは歓迎するべきことなのである。