外為市場で急速な円高が進み、一時130円台で取引された。もっともその後円安に振れ現在は132円台後半で取引されている。
テレビのニュース解説を見ていると「円高が勢いづいたきっかけの一つはペロシ米下院議長が台北訪問すると伝わったことだ。米中の対立が激しくなることから投機筋がドルの買い持ちを減らし円を買ったからだ」という説明があった。
論理的に考えるとこの説明はおかしい。台湾に有事が発生すれば、日本は深刻な脅威に晒され円の価値は暴落するはずだ。
「有事の円買い」ははるか昔のマントラに過ぎない。
ロシアや中国が引き起こす有事については有事のドル買いしかありえない。
ただし市場参加者は想定外の事態に接するとリスク回避のため、傾けていたポジションを減らす行動を取る。その点からヘッジファンドは大きな円ショートポジションを一部圧縮したと考えられる。
ただしこれは一時的な現象で米国の利上げペース鈍化による水準訂正はあるものの基本的な円安傾向は当面続くと考えるのが論理的だろう。