昨日(8月5日)発表された米国7月の雇用統計は事前予想を上回る強いものだった。非農業部門雇用者増はダウ・ジョーンズの事前予想258千人の倍以上の528千人で、失業率は3.5%(事前予想は3.6%)だった。米国はコロナウイルスで一時22百万人の雇用を失ったが2年半かけてそれを取り戻したとWSJは大きく報じていた。また求人数は鈍化しているものの、求職者数を上回っている。このため引き続き、時間給押し上げ圧力は強く、先月の時間給は前年同月比5.2%上昇した。
雇用が堅調なことは、リセッションリスクを低下させるので、一般的には株価にプラス材料だろうが、連銀が政策金利の引き上げピッチを加速するのではないか?という懸念が高まり、S&P500は0.16%、ナスダックは0.5%下落した。ただしダウはプラス0.23%で引けた。3市場とも雇用統計発表後は大きく下落したが午後になってかなり取り戻した。
投資家は週末に強い雇用統計の中身を分析して来週の物価統計を待つ。
コロナは世界中の国の経済や社会に多大な影響を与え、脆弱なところを炙り出した。ゼロコロナ政策を続ける中国では若者の5人に1人は失業しているという。世界の大勢はウイズコロナだから中国もゼロコロナ政策を転換させてもよいのではないか?という意見もあるようだが、ゼロコロナ政策を止めた途端に感染爆発が起きるという予測もある。中国製ワクチンの有効性が低いことや高齢者のワクチン接種率が低いことが原因だと言われている。
世界の国々はそれぞれの問題や悩みを抱えながら、コロナ問題に対処してきた。うまく対処できたかどうかは相対的な話だが、大国の中では今のところ米国が一番うまくいっているのではないだろうか?少なくとも経済と雇用の面では。難しいことは学者先生の解釈に任せるとして投資家としては引き続き米国株に軸足を置く以外に選択肢はないだろう。