今朝(8月26日)のNHKニュースを見ていると「安倍元首相国葬で、政府は、弔旗の掲揚や黙とうによる弔意の表明を各府省に求めるための閣議了承を見送る方向で調整している」というニュースが流れた。
このニュースに私は違和感を覚えた。何故なら内閣と自民党の「合同葬」など、戦後、国が関わった総理大臣経験者の公式な葬儀の大半で、官庁に弔意表明を求めるために閣議了承が行われてきた。
もし今回「合同葬」よりレベルの高い「国葬」で弔意表明を求める閣議了承を見送るということになれば、きわめて異例な対応と言わざるを得ない。
ニュース解説によると「国葬を行うに当たって国民に安倍氏への政治的評価を強制するものではないことを明確にするねらいがある」と見られるということだ。
岸田首相は国葬を行う理由として「8年8カ月という憲政史上最長の政権」「東日本大震災からの復興」「アベノミクスなどの経済の再生」「外交の展開」などで功績があったことをあげている。
私は安倍元首相の国葬に疑問を感じているが、もし現政権が安倍元首相に大きな功績ありとするならば、堂々と各府庁に弔意表明を求める閣議了承を行うべきだと思う。
本来「国葬」というものは、大きな国難を救った指導者に対し、国民が自発的にその人に対し、全国民レベルで弔意を表したいという大多数の国民の自発的な気持ちの上で行われるべきものだと私は考えている。
戦後国葬になった首相は吉田茂だけだが、彼の場合は戦後の日本の方向付けをしたという功績は多くの国民に評価された。
しかし安倍元首相の経済政策等は中長期的に見れば評価相半ばするものだと私は考えている。確かに大幅な金融緩和や財政政策により経済はある程度活性化した。しかし反面財政赤字は拡大し、財政再建をきわめて困難にした。このことは今後日本に大震災等大きな財政出動が必要な時に機敏に動くことができない状況を作っていることを意味する。
ということで私は岸田首相があげた理由で国葬を行うことに問題を感じているのだが、もし現内閣が安倍元首相の政策が長期的な評価に耐えうると考えるのであれば、堂々と弔意表明を求めればよいと思う。
今の政府の態度は姑息に過ぎると思う。