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山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

ジェロントロジ―(老年学)の箴言集⑩~なぜ、わがままな人は長寿なのか?

2023年09月06日 | ライフプランニングファイル
 来月ある学会でジェロントロジーに関するシンポジュウムにパネラーとして参加する予定なので、図書館で関連しそうな本に目を通しています。
 その中に「ご老人は謎だらけ~老年行動学が解き明かす」(佐藤眞一著 光文社新書)という本がありました。著者は医学博士で老年行動学会の会長です。
 さてこの本の中に「なぜ、わがままな人は長寿なのか?」という項目がありました。
 著者は「百歳老人(百歳以上の長寿者)にはある程度共通した性格がある。それは生活がきちんとしていて自分を曲げないということだ」「自分を曲げない、というのは言い換えるとわがままだが、わがままと自分勝手は少し違う」「わがままとは、自分で決めたことを自分の思うようにできる、ということだ。それは言い換えると自律できている、ということだ」と述べています。
 そして「なぜ、わがままな人は長寿なのか、という問いにはっきり答えることはできないけれど、自律を保つことで幸福感が高く保たれ、それが心身によい影響を及ぼし、ひいては長寿につながる、と考えてもさほど見当違いではない」と述べています。
 「じりつ」とかな入力し、転換キーを押すと「自立」と「自律」が出てきますね。「自立」は他人の手を借りないで生きるという意味で、「自律」は自分の意思に従って生きるという意味です。年をとり体が不自由になり「自立」できなくなっても「自律」することはある程度可能です。
 一方「経済的に自立していない」と自分で決めたことを思うとおりできないことが多いと思います。この場合は「自立」していないと「自律」できないといえるでしょう。
 ところで以前何かの調査報告の中で「社長は社員よりも長生きをする」という話を読んだことがあります。社長は「自分できめたことを自分の思うようにできる」という高い自律性を持っているのに対し、社員は「決められたことをやるだけ」だから幸福感が社長より低く、ひいては社長より寿命が短くなる傾向が強いという仮説が成り立つかもしれませんね。
 しかしこのような会社は社員のエンゲージメントが低く、おそらく生産性が低いでしょう。「社員にもできるだけ裁量権を与え自律性を感じさせることでエンゲージメントを高める」というのが、活力のある会社の姿でしょうね。
 シニア期というのは、会社などの勤め先の桎梏から離れ、「わがままに生きる」権利を取り戻した時期です。だが権利はあってもそれを行使するには、健康、家族や友人との円満な人間関係、経済的な基盤が必要です。これらのものを手に入れるには、がまんや努力が必要ですよね。それは自分を律するということですから、「わがままな人が長寿だ」という言葉は「自分を律することができる人は長寿だ」という意味のレトリックと考えた方が良いかもしれませんね。
 
コメント
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