金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

イエスは「目的と手段の混同」に怒った~聖イグナチオ教会のミサに参加して~

2023年09月12日 | うんちく・小ネタ
 私はキリスト教徒ではありませんので、ミサに参加することはほとんどありません。しかし昨日は麹町の聖イグナチオ教会のミサに参加しました。
 昨日9月11日はアメリカで同時多発テロが起きた日です。
 21年前のこの日私がかってニューヨーク支店で一緒に働いていた仲間を含め5名の仲間の銀行員がワールドトレードセンターの爆発で亡くなりました。 
 仲間の発案で、9月11日に昔ニューヨーク支店で働いていた仲間が、聖イグナチオ教会に集まり、テロで亡くなった人の冥福を祈ることが続いています。
 
 私は特定の宗教にコミットしていることはありませんが、教会やモスクあるいは座禅道場といった神聖な場所で瞑想のひと時を過ごすのは好きです。
 心が鎮まるからです。
 その中でキリスト教のミサが良い点はお祈りやお説教の中身が分かるという点です。
 昨日神父は「ルカによる福音書」の中の「手の萎えた人をいやす」という一節についてお話をされました。私はキリスト教徒ではなく、聖書もパラパラと流し読みした程度なので、お話の趣旨を聞き違えているかもしれません。
 でも感じたことを書きましょう。
 聖書には次のようなことが書かれています。「律法学者たちやファリサイ派(古代ユダヤ教原理主義者)の人々は、訴える口実を見つけようとしてイエスが安息日に病気を癒されるかどうか、注目していた。イエスは彼らの考え方を見抜いて、手の萎えた人に『立って、真ん中にでなさい』と言われた」
 イエスは(律法学者やファリサイ派の人々に)「あなたたちに尋ねたい。安息日に律法で許されているのは、善を行うことか、悪を行うことか。命を救うことか、滅ぼすことか。」と言い、(手の萎えた人に)「手を伸ばしなさい」と言われた。その人の手は元通りになったけれど、律法学者たちは怒り狂ってイエスを何とかしようと話し合った。
 この後神父は「安息日は人のために定められた。人が安息日のためにあるのではない」と言われました。
 このお話を敷衍して考えると律法学者たちは、律法の文字を機械的に解釈し、それが定められた目的を忘れてしまったのですね。それに対してイエスは「人の病気を治すことは律法で定められた安息日にはなにもしないという定めに優先する」と主張したのです。
 あえて私見を述べると「萎えた手を治す」のは安息日でなくてもよい(緊急性は乏しい)と思いますので、ある意味イエスの行動は挑発的だったとも思います。こんなことをいうと教会の方からお叱りをうけるかもしれませんが。
 しかし総ての宗教は己の信じるところを強く打ち出し、間違っていると思う人との摩擦を恐れない面があります。
 イエスは律法学者たちの形式主義にがまんならかったのだと思います。
 「人が安息日のためにあるのではない」の安息日を「規則」などに置き換えると我々の身の回りにも、規則に縛られて人間らしい生き方ができない事例は色々ありますね。
 
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日銀の政策変更は米国市場にどのような影響を及ぼすか?

2023年09月12日 | 投資
  昨日日銀の植田総裁は、読売新聞の単独インタビューで、マイナス金利政策を柱とした大規模な金融緩和の解除に向けて、年内にも判断できる材料が出そろう可能性があるとの認識を示した。賃金上昇を伴う持続的な物価上昇が確信できる段階になることが金融緩和解除の条件ということだ。
 これを受けて昨日のドル円相場は146円台半ばまで円高にふれた。
 WSJに日本に関する記事がでることはあまりないが、金融政策の転換の可能性については記事にした。
 というのは日銀の政策転換が、米国国債の利回りや株式市場に影響を与えるからだ。当たり前のことだが、米国人の関心は米国債と米国株にある。
 そして米国債、米国株、為替が大きく動くとそれは日本の経済と金融市場に跳ね返ってくる。
 日銀の政策転換の短期的な影響は大きいかもしれない。
 WSJの記事How the Bank of Japan's shift could play out in U.S.marketsのポイントは次のとおり
  • 日銀は7月に10年債の金利キャップ0.5%は、厳密な上限値ではなく、示唆であり、新しい上限値は1%になったと言った。そして最近植田総裁は「もし賃金と物価が持続的に上昇することに確信が持てるなら、短期金利がプラスに転じることを考えるだろう」と述べた。
  • 世界の主要中央銀行がインフレ抑制のため政策金利を引き上げている中で日銀は例外で、世界の投資家は国債金利をコントロールするという非伝統的な政策に注目していた。
  • 日本の投資家は1兆ドル以上(米国国債の発行残高は32兆ドル)の米国債を保有しており、日本の国債金利の上昇により日本人投資家が米国債を売却して日本国債を買い増す可能性がある。
  • その結果米国国債の価格の下落(=利回り上昇)が起きると、リスクアセットへの投資意欲が減退し、株価低落を招く可能性がある。
  • 日本の超低金利政策は「円を借りてドルを買う」というキャリートレードを増やしてきた。しかしヘッジファンドは既にこのポジションの解消を始めている。キャリートレードの終焉はドルに対する円の反発を招くだろう。
  • 外国人投資家は、日銀の経済成長支援型の政策を歓迎し、今年積極的に日本株を買ってきた。しかし日本の金利が上昇すると企業の資金調達コストが上昇するので、将来の利益評価を押し下げる可能性がある。
WSJは最後に「米国債の利回りは最初は日銀の政策変更ニュースで上昇したが、アナリストの中には時が経つにつれて米国債の利回りは低下するだろう。なぜなら政策金利の引き上げは、世界的に経済成長の鈍化を招き、国債のような安全資産の魅力が増すからだ」と結んでいる。
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