金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

金利上昇と大企業は益々リッチになる

2023年09月16日 | 投資
 連銀など世界の主な中央銀行は、インフレ抑制のために政策金利を連続的に引き上げてきました。金利を引き上げることで、企業の資金調達コストを高め、設備投資や在庫投資意欲を抑えることを狙っているのです。
 ところが皮肉なことに、政策金利の引き上げで、かえって利益が出て、投資余力が増える会社があるのです。
 それはどんな会社というと負債よりも現金、短期有価証券など流動資産を多く持っている会社です。
 このような会社は長期の固定金利社債で資金調達していることが多いので、金利上昇は支払金利の増加にはつながりません。一方運用している短期資産からの収入はその場で増えていきます。
 WSJはRising Rates makes big companies even richierという記事の中で、このような企業の代表例として、マイクロソフトを紹介しています。
 記事によるとマイクロソフトは、直前四半期に492百万ドルの金利を支払っていますは、これは昨年同期とまったく同額です。一方受取金利は昨年同期の552百万ドルから905百万ドルに増加しています。
 トリプルAの格付を持ち、時価総額でアップルについてで世界第2位のマイクロソフトの場合は少なくとも短期的には金利上昇は利益押し上げ要因です。
 もっとも高金利が続くと、社債の借り換え時期に高い金利を支払うことになりますので、収支は悪化するでしょうが。
 この記事によると、S&P1500の中の10%に入る大企業の最近の実効金利は3.5%弱ですが、50%以下の規模の小さい企業では、実効金利は6%まで上昇しています。
 過去の低金利時代に固定利付債で資金調達ができた企業と銀行から変動金利で資金調達していた企業の差がでているようですね。
 個人投資家として考えるべきことは、高金利時代は資金調達コストの低い大企業が有利ということでしょうか?あくまでも財務面の話だけですが。
 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする