金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

菅首相、原発計画で180度態度転換

2011年05月11日 | ニュース

昨夜(5月10日)菅首相が原発プランを白紙に戻し一から検討すると述べたことは、WSJやニューヨーク・タイムズでも取り上げられていた。

タイムズは「菅首相のabout-face(180度回転)は、恐らく一部は福島原発事故以降高まっている(原発反対の)国民の意見に引っ張られている」と解説している。About-faceは軍隊用語で180度方向転換すること、日本では「回れ右」に相当する。

菅内閣は昨年「2030年までに14の原子炉を建設して、原発依存度を現在の30%から50%に引き上げる」というプランを発表していたから、まさに180度の方針転換だ。タイムズは「通常果てしない議論を繰り返し、メディアからその情報が漏れ、国民の合意が形成されていくという日本の意思決定プロセスから見ると異常だが、菅首相は内閣は福島原発問題に関してスローで優柔不断だという批判に対して、強いリーダーシップを示したのだろう」と分析している。

もしこれが本当ならば、菅首相のやり方は相当無茶苦茶だ。ギリシアに起源を持つ民主主義は「合意形成と緊急時における執政官への権限委譲」という二つのメカニズムで、民主主義の欠陥である意思決定の遅れを克服している。古代ローマでは、外敵の侵入や疫病の流行に際して、一人のディクタトル独裁官に半年に限り強力な権限を与えていた。

福島原発事故が起きた時はまさに緊急事態であり、総理が独裁的権限を振るうべきケースであった。

ところが今後原発を作るか止めるかという話にはそれ程の緊急性はない。エネルギー問題、災害対策等の専門家が英知を集めて議論するべき問題である。少なくとも首相が人気取りのためにアタフタと意思決定するべき問題ではない。

日本の原発開発ストップは、原発プラントの輸出にも決定的な悪影響を及ぼす。菅首相の場当たり的な行動は企業活動の上では「先が読めない」というリスクを高めている。About-faceに悪意がこめられているかどうかは知らないが、180度態度転換ということが海外で喧伝されると誰も信じなくなるのではないだろうか?

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東電の損害賠償額は2兆円~4兆円(FTより)

2011年05月11日 | ニュース

今日(5月11日)の朝刊トップは「東電の公的管理」。骨子は電力9社が新設する機構を経由して、国が公的資金を融資するというものだ。ところでこの手の記事について日本の新聞とFTなど一流紙の最大の違いは「公的資金」とTaxpayer's moneyという言い方の違い。「公的資金」という言い方は如何にも上から目線。つまり将軍・大名などがお手元金を投入するというイメージが伴うが、GDPの2倍に及ぶ借金を抱える日本にそのようなカネがあるはずはない。それは総て我々納税者のカネである。「公的資金」を「納税者の資金」と言い換えて欲しいものである。言葉には言霊という力があるからまず表現を変えることで国民の意識が変わっていくのではないだろうか?

さてFTは東電の損害賠償額について「JPモルガンは2兆円、朝日新聞は4兆円と推定」と報じていた(日経には金額は出ていなかったと思う)。

東電は福島第一原発事故の直ぐ後、メガバンクを中心に2兆円の資金調達を行なったが、これは福島第一の閉鎖や原発に代替する天然ガス、オイル等の購入に費消される見込みだ。

「今月や来月の資金繰りの懸念はない。しかし半年後や1年後には資金繰りの問題が発生するだろう」と東銀の幹部は述べている。

新機構の設立には特別立法が必要だが国会で可決されると、東電は破綻の危機は免れるし、東電株式が無価値になることはない(もっとも長期間にわたって配当は期待しにくいが)。一方東電社債の保有者はかなり安全度が高まる(社債債権の方が損害賠償請求権よりも優先するので)。

ところで我々消費者にとって大きな関心事は、今後電力料金がどれ位上昇するか?という問題。FTは「政府高官は16%の電力料金の値上げを認めると私的に話している」と報じている。この話が表にでると、国民や産業界からの猛反発がでて、東電に更なるリストラを求めることは必至だ。

だが社員の人件費を絞ったところで精々百億円単位の話(現在のプランでは540億円の経費削減)。無論経費の一層の削減を求めるとしても、数兆円にのぼる損害賠償額に較べると焼け石に水だ。

結局のところTapayer's moneyか家計・企業の電力料金で負担するしかないのである。納税者負担ということをしっかり打ち出しながら、東電のリストラと原発問題を考えないといけないのだ。新聞はまず「公的資金」という曖昧な言い方を止めるべし。

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中国のデモグラフィック・ディビデンドは終わった

2011年05月10日 | 社会・経済

デモグラフィック・ディビデンドdemographic dividend(人口動態による配当)とは、労働力人口の比率が上昇することで経済的メリットを得ることで、その状態を人口ボーナスという。日本を始めに、北アジアの諸国は少子化政策を取ったことで、急速な経済成長を達成してきた。

人口ボーナスの反対語が人口オーナスonusで、少子高齢化により、労働人口力比率が低下した状態をさす。

エコノミスト誌はThe most surprising demographic crisis「もっとも驚くべき人口動態の危機」という記事で、最近の中国の国勢調査の結果、中国のデモグラフィック・ディビデンドはほとんど終わったと述べている。

2000年から2010年の10年間の中国本土の人口成長率は0.57%(その前の10年間は1.07%)に低下し、今の合計特殊出生率は1.4と推定される。日本の09年の合計特殊出生率が1.37だったからほぼ同じレベルである。(中国では強力な一人っ子政策を推進しているが、同政策は少数民族には適用されないし、農村部では適用が緩和されているので、出生率が1にはならないのだろう)

中国の60歳以上の人口の比率は13.3%で、14歳以下の子供の比率は10年前の23%から17%に急速に低下している(日本の子供の比率は13.2%で世界最低水準)。

高齢者や社会福祉制度を支える労働力層の減少は、中国の一人っ子政策に対する議論を高めるだろうとエコノミスト誌は予想する。だが仮に政策転換を行なったとしても、新たな労働力を生み出すには時間がかかる。エコノミスト誌のグラフによると、今1.1億人程の65歳以上の高齢者層は15年後には2億人を越えると予想される。

中国は豊かになる前に高齢化に悩む最初の大国になるかもしれない。これは私の勝手な予想だが。

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快適!神楽の春スキー(youtube)

2011年05月09日 | スポーツ

5月5日快晴、山仲間4人で神楽スキー場で今年最後のスキーを楽しんだ。

神楽スキー場の下部の緩斜面でミラーレス一眼NEXの動画機能を使って滑りながら動画を撮ってみた。だが動画をブログに載せるのは静止画を載せるよりかなり手間がかかった。

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YouTube: 神楽スキー場

でも今度専用のビデオを買おうかな?と思うほど、スキーで動画を撮るのは楽しかった。

久しぶりに登場、管理人「北の旅人」です。

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男にはファッション(流行)は要らないと思います。男にはファンクション(機能)があれば良いというのが私の流儀です。ですから野暮ったい

苗場スキー場の筍山が見えます。でもGWにオープンしているスキー場はここ神楽です。

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菅首相は原発推進派

2011年05月09日 | ニュース

連休最中に唐突に中部電力に浜岡原発の停止を求めた菅首相。一部の原発反対派の政治家は、首相の要請にエールを送ったようだが、日曜日に菅首相は「政府はエネルギー問題を再考しない。浜岡原発は54ある日本の原発の唯一の例外で他の原発の停止を求めることはしない」と記者会見で述べた。

このことを取り上げたニューヨーク・タイムズはJapan Reaffirms Nuclear Energy Use「日本は原発エネルギーの利用を再確認した」というタイトルで報じている。

もし浜岡原発停止要請を原発問題再考のシグナルと考えてエールを送った人は慌てているのではないか?

それにしても一国の首相が一民間企業にオペレーションの一部を止めろと要請するのは、法治国家としては違和感のある話。今後大規模な食中毒が出そうになると、首相は〇〇の出荷は止めろなどと要請するのだろうか?

「ルールを定めてそのルールに従ってモノゴトが運ばれる国」を法治国家と呼び、権力の座にいる人の判断でモノゴトが運ばれる国を人治国家という。恐らく日本を法治国家と信じているタイムズの記者としては「政府が既定路線の変更に変わりがないことを周知させるため浜岡原発の安全強化のために停止を要請した」というストーリーしか理解できなかったのだろう。

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