銃保有規制反対を強力に推進する全米ライフル協会が、昨日「全米総ての学校に銃を持ったガードマンを配置する」という提案を行った。先週ニュータウンで起きた27人射殺事件を繰り返さないための提案だ。
ライフル協会の代表は記者会見でThe only thing taht stops a bad guy with a gun is a good guy with a gun.と述べた。「銃を持った悪いやつを止めることができるのは、銃を持った良い奴だけだ」
銃による銃の抑制、このような考え方は事件後オバマ大統領や国会議員による銃の所有を制限しようとする動きと対立するものだ。では世論はどう動いているのだろうか?ということをPew research の調査で見てみた。
ニュータウン乱射事件後のPewの調査を見ると49%のアメリカ人は「銃の所有制限の方が重要」と考え42%のアメリカ人は「銃を所有する権利を保護する方が重要」と考えている。
今年7月にコロラド州オーロラで銃乱射事件があり12名が死亡、58名が負傷するという痛ましい銃撃事件があった。その直前の銃所有に関する世論調査では49%のアメリカ人は「銃を所有する権利の保護の方が重要」と考え45%のアメリカ人は「銃の所有を制限する方が重要」と考えていた。
オーロラ事件後銃規制を支持する意見が増え、ニュータウン事件の前には規制派が所有派を上回っていた。だがPewはニュータウン事件以後でも銃規制に関する世論の変化は緩やかだ、と述べている。
「銃所有に規制をかけないことが、アメリカ社会の危険度を高めている」という点については、実は所有規制反対派の中でも同意する人が多い。
Pewの調査によると65%の人は市民に殺傷力のある武器の所有を認めることがアメリカ社会を危険なものにしていると考え、わずかに21%の人が殺傷力のある武器の所有がアメリカ社会の安全度を高めると考えている。
「市民社会の安全性」だけを考えると、銃規制に動くべきだろうが、何故そうは行かないのか?というところにアメリカ社会のルーツだとか独自性があるのだ。つまりアメリカ人にとって銃を所有して自らの生命財産を守ることは開拓以来の国民の基本的な権利でその権利を国家は奪うことが出来ないという考えが非常に根強いのだ。
「だからといって銃規制に反対するのは合理的じゃないね」と批判することはできるが、彼らが納得するかどうかは別問題。私はこのような考え方を「銃原理主義」と呼んでいる。ここは私にとってアメリカを理解し難い部分だ。アメリカ人はプラグマティックな面と原理主義的な面を併せ持つ、と理解するのみである。