金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

「ありのままに受容する」~聞き上手のポイント

2016年12月22日 | 相続

昨日「聞き上手の法則を知ろう」というブログを書きました。

その時点ではまた澤村直樹さんの「<聞き上手>の法則 人間関係を良くする15のコツ」(NHK出版生活人新書700円)を読んでいなかったのですが、

今日ざっと本を読みましたので、ちょっと感想を述べましょう。

15のコツの中で澤村さんは7番目の「相手の意見をありのままに受容する」ことがもっとも大切なことの一つだと述べています。

「ありのまま」というと「アナと雪の女王」Let it go~ありのままのを思い出す人も多いと思います。

そこでは「ありのままの自分になるの」♭と歌われますが、聞き上手になるにはまず「相手の価値観や物事の捉え方が、どんなに自分の中にあるものと違っていても、それを歪めずありのままに理解しようとすることが重要だと澤村さんは述べています。

でもこれは「言うは易く行うは難し」ではないか?と私は思います。特に私を含めて長くサラリーマンを勤め管理職を経験した人間にはかなり難しいことではないか?と思います。

部下と面接する場合、何時間でも話すほど時間に余裕があれば、相手の言うことをじっくり聞いて「ありのままに受容する」ことも不可能ではないかもしれませんが、現実にはそれほど時間はありません(時間がないと考えること自体が問題なのかもしれませんが)。

そこでついつい相手の話を途中で遮り「あなたの言うこともわかるけれど、世の中の仕組みや会社の仕組みはそうではない」と自分の考え方を押し付けてしまいます。

ビジネス経験を積み、内外で立場の異なる色々な人と交渉を重ね、プレゼンテーションの経験を積んでくると「話す力」というのは自ずと強化されてきます。

しかし「話す力」が身に付き、自分なりのフレームワークが固まってくると相手を論破することが可能なので、相手の話を十分聞く前に自分の意見を押し付けていたことがあると今になって反省しています。

私の場合の救いは仕事・ボランティア・遊びで海外に出かける機会が多かったことで多少なりとも「違った価値観を持つ人をそのまま受け入れる」素地はできていたと思います。ただ問題は違った文化・習慣・法律制度の中で育ち、暮らしている人の多様な価値観は受容できるが、同じ文化・習慣で育った人に対する寛容性は低かったのではないか?と思っています。

私の職場のOBの中には地裁や家裁の調停委員を務めている人が何人かいますが、私はその道は歩みませんでした。その理由は自分で「傾聴力が弱い」「ありのままに相手の話を受け入れるほど気長でない」という自分の欠点を知っていたからです。

とはいうものの、「話上手だけれど聞き上手ではない」と開き直って生きていくには人生はまだ長過ぎるかもしれません。

1月のオープンセミナーでは澤村さんのお話を傾聴してまずありのままに受容してみたいと考えています。

 

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あなたは話し過ぎていませんか?~聞き上手の法則を知ろう

2016年12月21日 | 相続

一般社団法人 日本相続学会は来年1月26日にオープンセミナーを開催します。

テーマは①「税理士の社会的責任」(平川忠雄氏 税理士会の泰斗です)

    ②「聞き上手の法則」(澤村直樹氏 アクティヴリッスン代表) です。

平川さんのお話は税理士の方(および税理士をよく使われる方)向けの話だと思いますが、澤村さんのお話は相続関係者以外の方にも役に立つ

と思います。

一般にコンサルタントやセールスパーソンの方は「話し過ぎる」ことが多い傾向があると私は考えています。

話をして成果を出さないといけないことは分かりますが、クライアントは相談する相手の話が多すぎると疲れてしまいます。

澤村さんがどのようなお話をするのか分かりませんが~今著書をアマゾンで注文中です~話を聞くことで解決することは多いと思います。

つまりクライアントの方は自分で既に答を持っている場合が多いのではないでしょうか?

もちろんその答は明確になっていない場合は多いのですが、優れたコンサルタントやセールスパーソンと対話をする中で自分の答を明確にしていく場合が多いと思います。

そのためには相手の話を聞く聞き上手になることが大切でしょう。

 

オープンセミナーのお申込みは一般社団法人 日本相続学会ホームページからお願いします。

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イエレン連銀議長、大学教育の必要性を強調

2016年12月20日 | うんちく・小ネタ

WSJによるとイエレン連銀議長は昨日(12月19日)バルティモア大学の卒業式でスピーチを行った。話の骨子は「グローバリゼーションと技術革新が進展する中で、経済がどの程度の速度で加速するのか?どのような新しい技術が登場するのか?雇用がどのような速度で持続的に拡大するのか?は分からない。よりはっきりしていることは成功は引き続き教育と結びついているということだ。教育は変化する経済への適応力を高めるからだ」ということだった。

米国では大学での教育コストがウナギ登り(原文はskyroketsing)で、奨学金ローンの残高は1兆28百億ドルに達し、自動車ローンやクレジットカード債務残高を上回っている(ニューヨーク連銀)。

そんなに高い学費を払って大学を卒業する必要があるのか?という声も聞かれるが、ニューヨーク連銀のレポートによると経済面で大卒のメリットは大きい。

過去40年間の傾向として大卒者の生涯賃金は高卒者より56%高い。また失業率でみると11月の大卒者の失業率は2.3%で高卒は4.9%だった。

またイエレン議長は大卒の無形資産価値として「より幸せでより健康でより長生きできる」ことに言及した。

教育水準と長生きの関係について少しネットで調べてみるとシラキュース大学の助教授のレポートが見つかった。http://www.populationassociation.org/wp-content/uploads/Dr.-Jennifer-Montez.pdf

それによると30歳時点における大卒レベルの余命は50歳弱で中卒レベルの余命より6.7年長い(高卒者はその間)。さらに健康寿命(余命)という点では大卒レベルが中卒レベルより10.8年長いことがグラフで示されていた。

イエレン議長のスピーチとは離れるが、なぜ高等教育を受けた人の方がそれ以外の人より余命特に健康余命が長いか?ということを推測してみた。

主な要因は「大卒者の方が稼ぎが多く、医療や健康にお金を使う余地が大きい」「健康や医療に関する情報が豊富でより健康志向が高い」「社会的なネットワークが大きく、生き甲斐などライフワークを見つけやすい」などということだろう。

イエレン議長は大学教育の重要性を指摘する一方、大学教育を受けていない人間がグローバリゼーションにどのように対応していくのかということについて懸念を示した。議長は「初等・中等教育の改善で大学への進学機会を高める」とともに「大学教育を受けていない総てのアメリカ人に経済的機会を広げる方法を見出さなければならない」と述べた。

日本では住民税非課税世帯を対象に月2~4万円の給付型奨学金(つまり返済なし)を交付する制度が来年度から先行実施される(2018年度から本格実施)というニュースが流れていた。

社会保障費が拡大する中で予算捻出は大変だが、私はこのような制度は充実させるべきだと考えている。

少子化で労働力の減少が確実な日本で経済力を維持し将来の税収や社会保障費負担を確保していくには、より生産性の高い仕事に労働力をシフトする仕組みが必要だからだ。その仕組みの根幹は高等教育にある。小林虎三郎の米百俵の話を思い出してみてはどうだろうか?

 

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預貯金も遺産分割の対象に~最高裁大法廷判断

2016年12月20日 | ライフプランニングファイル

昨日(12月19日)最高裁大法廷は「遺産分割の対象に預貯金は含まない」としてきた従来の判決を変更し、「預貯金は遺産分割の対象に含む」という判断を初めて示した。

「預貯金を遺産分割の対象に含めるかどうか」は法制審議会が今年6月にまとめた「民法(相続関係)等の改正に関する中間試案」でも大きな論点の一つになっていたが、最高裁の判断が法改正に大きな影響を与えることは間違いない。

中間試案では甲案・乙案が併記されていて、甲案は「預貯金は遺産分割の対象となるとしながらも、各相続人は法定相続分に応じた債権の行使(預金の払い出し)は行いうる。法定相続と異なる遺産配分が行われた時は後で調整する」というものである。乙案は「遺産分割が終了するまで預金債権の払い戻しはできない」とするものだった。

私は甲案は中途半端で実務的には問題を惹起する可能性が高いので、不可とし乙案を支持する意見を表明してきた。

新聞記事を見ただけでは今回の最高裁の判断が乙案を支持しているかどうか判然としないが、常識的に考えると「預貯金を遺産分割の対象とするのであれば、遺産分割協議終了まで個別の相続人の債権行使(預金引出し)は認めない」と考えるのが自然である。

最高裁判断に対する識者の見解というのも「この判断は実例に即したもので受け入れやすいが、一方生計費を被相続人の預貯金に頼っていた相続人が必要な現金を引き出せずに困る」というもので概ね乙案を前提とした議論である。

識者は「預貯金を引き出せなくなる人について法整備や家庭裁判所の運用で対処するべきだ」と述べているが、これらは時間と手間がかかる。

一番簡単な方法は被相続人が生計を一にする相続人(典型的には生存配偶者)に対して一定の生計費(具体的には1年分程度~遺産分割協議が整うまで)を事前に渡しておくことである。私はある時突然に渡すというのではなく、生計費の支払口座を2つ持つという感じで時間をかけて配偶者の口座にある程度資金がたまる方法を取ればよいと考えて実践している。

次に「遺言代用信託」という信託商品を利用する方法が考えられる。これは委託者(被相続人)が法定相続人の1人をあらかじめ受取人として指定しておき、相続発生時に受取人が金融機関に資金の交付を請求するという仕組みだ。

以前は信託銀行が独占的に取り扱っていたが今では都銀や地銀の一部でも取り扱っている商品だ。また独自の品ぞろえをしていない金融機関も信託銀行の代理店になるなどの方法で顧客利便性を高めている。

恐らく今日以降色々な金融機関の窓口で遺言代用信託(商品名は銀行によって異なる)に対する照会が増えるだろう。

私は遺言代用信託は良い商品だと思っているが、当然資金が固定してしまう(積極的な運用チャンスがなくなる)といったデメリットもある。自分や遺族のニーズは何か?もっと簡便でコストのかからない方法はないか?などを考え合わせながら、検討するべきだろう。

(図は日経新聞から転載)

 

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また車検を受けてしまった・・・

2016年12月19日 | ライフプランニングファイル

先週マイカーの車検を受けた。冬タイヤへの履き替え(ホイールから組み替えたので1.5万円位かかった)を含めて、15万円ほどかかった。半分は法定費用だが半分は工賃や部品代である。車というものは走行距離にかかわらずコストがかかるものである。

この5年間の走行距離は2万キロメートル強だ。冬のスキーなどの遠出以外車に乗ることは少ない。昔は吉祥寺や新宿に行くのによく車を使っていた。子供たちが同行していたからだと思う。しかし今では近くの街や公園に行くのに車を使うことはなくなった。たいていは自転車で用が足りるからだ。自転車は経済的で健康に良くエコである。

経済合理性だけを考えるとマイカーを持たない方が得だと思う。

車検代・重量税・保険料を月割にすると3万円近くなるのではないだろうか?マイカーをやめて維持費の一部をタクシー代に回してもお釣りがくるはずだなどと思いながら、具体的な行動を取る前に車検期日が到来してしまった次第。

もっとも車を持っていたいという立場からすると幾つか言い分はある。第一に道が空いている時のロングドライブはやはり楽しい。ロングドライブはレンタカーよりも気心の知れたマイカーの方が楽しいことは間違いない。次に雨の日や家族(あるいは自分)が病気になった時に医者に駆けつけやすい。少なくとも駆けつけることだできる車があるという安心感がある。車がなくなって駐車スペースがガランとしてしまうのも、家のたたずまいとして間が抜けた感じがする。近所で積極的に車の所有をやめた家がない・・・

よそ様がどうあれ車を要らないと判断すれば止めれば良いのだが、俗人なので多少世間の眼も気になるというものだ。

ただし次の2年間はもっと真剣にマイカーの保有を続けるかやめるかを考えてみたいと思う。今まで車が止まっていた駐車スペースに少し上等なクロスバイクが止まっている風景(屋外に置いておくと盗難が心配だが)も悪くないと思う。

過去との慣れあいや世間標準との比較を断ち切るという意味では、マイカー問題は私にとって中々深淵な問題である。

 

 

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