金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

ロシアには特に気を許すべからず

2016年12月18日 | ライフプランニングファイル

外交はすべて駆引きであり、駆引きを左右するのはレバレッジ(交渉材料)有無・強弱・使い方の巧拙である。

相手国の善意や誠実さなどには過度の期待を抱かない方がよい。

特に相手がロシアの場合はそうだ。ロシアは北方領土問題の交渉の起点を1956年の日ソ共同宣言に置くとしている。そして共同宣言では平和条約締結後歯舞・色丹島は日本に引き渡すが主権を引き渡すとは書いていないというのがプーチン大統領の主張だということが今回明らかになった。

冒頭外交は駆引きであり、誠実さに過度の期待を抱いてはいけないと書いたが特に相手がロシアの場合はそうだ。

北方問題の根幹は1945年8月太平洋戦争の最終段階でソ連がその時点で有効だった日ソ不可侵条約を一方的に侵犯して日本に侵攻したことにある。太平洋戦争は重層的な戦争なので、その責任の所在を一元的に述べることはできないが、こと日ソの問題に関する限り「平和に対する罪」を犯したのはロシアであり、北方領土に対するロシアの主権主張には正当性は全くない。

もっとも外交の世界は力をベースにした交渉の世界であり、正当性の有無が決め手になるとは限らない。しかし交渉を後押しするのは、国民の政府に対する理解と信任である。プーチン相手に70年前の話(ソ連の一方的な不可侵条約破棄)を持ち出すことが得策かどうかは知らないが、ロシアという国は平気で約束を破る国だということは理解しておくべきである。政府のそのような理解を持っていると国民が確信すると国の力が高まるのだが。

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「ひかり」人間になる

2016年12月17日 | うんちく・小ネタ

親の療養看護で京都を往復する機会が増えている。

旅行回数が増えると運賃もかさむので最近は予定が許す限り新幹線は「ひかり」を使うようにしている。

ひかりは大人の休日倶楽部ジパング会員の割引サービスを使うと指定席特急券が3割引きになるからだ。のぞみにはこのサービスはない。

つまりのぞみだとジパング会員のメリットは乗車券の3割引きだけである。

のぞみとひかりの時間差は東京・京都で25分程度だ。のぞみの特急料金は5,700円だがひかりの特急料金は5,390円の7掛けの3,770円になる。

つまりひかりを利用して25分長く新幹線に乗ると2千円弱のコストセーブになる訳だ。なおひかりはのぞみより自由席が多いので、時間帯によっては自由席を使う方法も検討してみようと思う。

もっともひかりは30分に1本程度と本数が少ない。極端にいうとコストセーブにために待ち時間を合わせてひかりより1時間近く遅くなる場合がありそうだ。1時間も空き時間が増えるとお酒を飲むことになるだろうから、トータルではコストセーブにはならないだろう。悩ましい問題である。

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「老後資金、細く長く使い続けるための処方箋」を読んで

2016年12月15日 | ライフプランニングファイル

日経新聞をネット購読しているので、時々色々な記事の案内がメールで届く。

今日届いたのはマネー研究所の「老後資金、細く長く使い続けるための処方箋」という記事(著者はファイナンシャルプランナーの風呂内亜矢さん)。

処方箋の骨子は「少しでも長く働く」「生活費を抑える」「貯蓄を取り崩すタイミングを計画する」というごく当たり前のものだ。いわば健康のためには適度な運動が良いというアドバイスのようなものである。

恐ら健康と運動に関するく多くの人の悩みは「健康のために運動が良いことは分かっているが長続きしない」というものではないだろうか?このことはスポーツクラブの会員のターンオーバーが非常に多いことからも推測される。

運動に関する処方箋は「どうすれば長続きする運動を行えるか?」ということが本筋であり、老後資金に関する処方箋の本筋は「どうすれば長く働くことができるか?」と「老後資金の貯蓄をどう考えるか?」という点にある。ただしこれらの点について万人向けの処方箋は実は役に立たない。

何故ならシニアライフは現役時代よりもはるかに多様だからだ。どうのように多様か?ということを少し考えてみよう。

まず健康状態が違う。働き盛りの頃は少数の例外を除いて皆それぞれ元気であまり体の不調を感じることは少ないだろう。だが年とともにそれぞれの持病のようなものが顕在化してくる。持病の内ある部分は遺伝的なものであり、恐らく個人の努力で避けることができないと私は考えている。

次に人生の目標や価値観が違う。

シニアになって働き続けるということについていうと、スキルや人脈が違う。スキルというとパソコン・語学・専門分野における特殊技能が頭に浮かぶと思うが私は一番大事なものは、コミュニケーションスキルのようなヒューマンスキルではないか?と考えている。平たくいうと新しい職場などで誰とでも付き合っていけるという気安さのようなものが長く働く上でのポイントになるだろうと私は考えている。

貯蓄を取り崩すタイミングについては、サラリーマンの場合を退職金を一時金で受け取るか?年金で受け取るか?という分岐点における選択が大きい(選択制度がある場合の話だが)。

また子どもと同居するかしないかなどという家族構成の問題や持ち家の築年数、終の棲家に対する思い入れなどによっても変わってくる。

また資産運用力の違いも大きい。

サラリーマン時代というのは、かなりの人のベクトルが同じ方向を向ていただろう。無論極端な会社人間や趣味人間もいたと思うが、概ね会社・家族・趣味などのバランスにおいてそれぞれの会社や組織には共通するフレームワークがあったはずだ。共通のフレームワークがあるから組織は回っていったのだ。

だがシニアになるとそのようなフレームワークはない。フレームワークとまり人生の目標や価値観は自分で見出していかなければならないのだ。

しっかりしたフレームワークなしに老後資金を細く長く使うことを第一の目標にすることについて私は「馬の前に馬車をつなぐ」ような違和感を感じる。

無論目標や価値観は資金的な裏付けなしに実現できるものではない。夢は資金と健康という現実に拘束されているのだ。その制約要因を考慮しながら、自分の価値観を大事にして、価値観から外れるものを切り捨てていくというのがあるべき姿ではないだろうか?

以上のように考えてくるとライフプランは自分自身で作成するしかないのである。

この問題について私は以前電子本(アマゾン)で「インフレ時代の人生設計術~自立する人生の持続のために」という本を出版した。

本を書いた時はアベノミクスがスタートした時で物価上昇の兆しがあった。物価が上昇する中で年金の給付額がマクロ経済スライド制により抑制されることにシニア世代はどう対応するべきか?ということが大きな論点だが、その手法として自分でかなり細かい生涯収支予想を作成する具体的手法について論究した。

ただしその後日本ではインフレの兆しは消えたので全くアピール力のないタイトルになってしまったが(笑)。

 

 

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連銀金利引き上げは米銀株買いの好機

2016年12月15日 | 投資

昨日(12月14日)米連銀は政策金利の0.25%引き上げを決定した。これは既定路線上の話なので驚くには値しないが、来年3回の追加利上げが見込まれるという情報は想定外で株式相場・為替相場とも機敏に反応した。

ダウは118.68ポイント(-0.6%)、ナスダックは27.16ポイント(-0.50%)下落し、ドル円為替は117円台までドル高が進んだ。

連邦準備制度理事会の向こう3年間の金利予想の中央値を見ると2017年末が1.4%、2018年末が2.1%、2019年末が2.9%になっている。先のことは甚だ不確定だがもしこの予想が正しいとすれば、連銀は今後3年間政策金利を毎年3回づつ引き上げていくことになる。

政策金利の引き上げは企業や家計の借り入れコストを上昇させ、投資や消費が減速するだろうが、それが連銀の狙いである訳だ。

景気が減速するので金利引き上げは一般的に株式投資に逆風と考えられる。

しかし政策金利の引き上げでメリットを受ける業種もある。

その代表は銀行だ。何故銀行が政策金利引き上げのメリットを受けるかというと、政策金利が引き上げられると銀行は企業や家計に対する貸出金利は直ちに引き上げるが、預金金利は中々引き上げないので、利ざやが拡大するのである。

下のグラフは昨年12月政策金利0.25%引き上げ以降の預金金利の推移を示したものだ。

ウエルスファーゴとJ.P.モルガンは若干預金金利を引き上げているが、バンカメは全く引き上げていない。

バンカメのCEOモイニハン氏は先週の投資家カンファレンスで「今後の連銀の金利引き上げに対して昨年と同じ対応をとる」と述べている。

つまり預金金利は簡単には引き上げないということだ。

それでは機敏な預金者は預金金利の高い銀行に預金を預け替えするのではないか?という懸念もありそうだが、必ずしも総ての米国の消費者が金利に敏感でもなさそうだ。

実際金利の面では銀行預金より短期国債の方が有利だが、多くの消費者は資金を銀行に置いている。これは支店網の多い銀行に預金しておく方が支払面で使い易いからだ。

WSJによると今年の9月までの3年間で米国の国内預金は約19%増加している。

ということで米国の政策金利上昇で大きなメリットを得るのは米銀であることは間違いない。不確かなことが多い中(たとえば連銀が今後どれだけ利上げするかなどは景気と雇用にかかわってる)で、米銀の利ザヤ改善は最も確実視して良いことだろう。

増益銘柄を買うという点で「米銀株は買い」だといえる。大統領選挙以降バンカメの株は既に35%程度上昇しているが、まだなお大きな上昇余地を持っていると私は考えている。因みにバンカメ株は東証に上場しているので、日本の投資家が一番簡単に買える米銀株である。

ただし一部の大手証券会社では同銘柄をネット取引から外している(まったく怪しからん!と思う)が、簡単に買うことができる証券会社もある。

金利引き上げ効果を消費者に転嫁しないのは、せこいが我々消費者にとってできることはそれを逆手にとって銀行株を買うこと位だろう。

 

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靴だけ贅沢

2016年12月14日 | うんちく・小ネタ

贅沢な人間ではない。日頃着る服はLands’endという米国発の通販のものが多い。ユニクロなどよりは少し高いがある種の哲学があるので飽きが来ない。

Lands' endの服は作りがしっかりしている上にファッション性がないので何年も着ている。およそ流行に無頓着な私向きの服である。

かようにおよそ贅沢とは無縁だが、靴だけは他の人より沢山持っていると思う。ビジネス用、日常用、ジョギング用、スポーツクラブ用、登山靴は冬山用・スリーシーズン用・トレッキング用と三種類。更に滅多に履かないけれど沢登り用のフエルト靴がある。他にスキー靴が二種類。スキーといえば雪道を歩く短靴が一足と膝までの長さのヘビーデューティーなゴム靴がある。

会社の入って間もない頃はビジネスシューズを何足もそろえることができず、1,2足を履きまわしていたので、直ぐ駄目になってしまった。山陰地方のお客さんを雪のシーズンに回っていたことも靴を傷めた原因だ。

数足のビジネスシューズを揃え、一足一足を十分休ませることができるようになった頃から外回りが減ってデスクワークが多くなり、靴はほとんど痛まなくなった。

今となってはあまり履く機会が少なくなったビジネスシューズが何足か下駄箱の棚を占拠している。若い頃の恨みを今頃晴らしているのかもしれない。

登山靴の中でも冬山用の靴はほとんど履かなくなった。冬山を歩くことはあるが、今のスリーシーズン靴は高性能なのでほとんどそれで間に合ってしまう。

今山登りで一番よく使っているのは、トレッキング用の底が柔らかいゴアッテクスの靴だ。歩きやすいけれど、実は顔が今一つ気に入らない。

つま先が丸く広がり間が抜けた感じがするからだ。この靴は日本製なので日本人の足には合うのだが、きりっとした感じがしない。

登山中に見るともなく他人の靴を見ると、細身できっりとした顔の靴を見かけることがある。どうも欧州メーカーの靴のようだ。

新年を機会に新しいトレッキングブーツを買おうかな、と考えている。履き心地が許せば、細身で顔の良いきりっとしたブーツを買ってみたいと思う。

「ふらんすはあまりに遠し せめて新しき背広をきてきままなる旅にいでてみん」と詠んだのは朔太郎。

ブーツを新調してもヒマラヤの高峰に登ることはできないが、チベットの香り高いムスタンあたりに旅してみたいなどと考えている。

靴は時として人生にささやかな贅沢をもたらしてくれる。

 

 

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