金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

外交は内政の延長~安倍首相の真珠湾訪問

2016年12月08日 | ニュース

今月27日に安倍首相がオバマ大統領と真珠湾を訪問する。訪問の目的はホワイトハウスの声明によると「4年間(オバマ大統領の任期)の日米関係の強化に関する双方の努力を再評価し」「オバマ大統領が安倍首相の慰霊訪問に同行する」というものだ。

声明ではhonor those killed(死者の慰霊)となっている。また幾つかのクオリティペーパーを見るとPay tribute(追悼する、敬意を表する)という表現が多く、謝罪に言及しているものはなかった。

WSJは真珠湾攻撃で戦火にさらされた一部の退役軍人の今なお日本軍の残忍さを忘れることができないとの声を紹介しながらも、全体としては安倍首相の慰霊訪問が日米関係を一層強固にするだろうと好意的な論調だ。

ワシントンポストやシカゴトリビューンも概ね同様の論調である。

安倍首相の真珠湾訪問は素直に評価してよいと思う。

少し前の韓国や中国を見るとよく分かるのだが、国というものは、内政が不安定であると、国民の不満を外に向けようとして、必要以上に攻撃的な外交姿勢を取る傾向がある。

太平洋戦争の原因を一つ二つに絞ることは難しいが、敢えて日本側の一つの原因を上げると国内の不満を外に向けてきたことにある。

経済力を上回る軍備支出を続け、国民に耐乏生活を強いてきた結果、政府や軍部は「冷静に考えると米国と戦っても勝ち目はない」という当たり前の判断を国民に示すことができなくなったということだろう(開戦の経緯についてはアメリカの陰謀に嵌った等色々な意見があり、傾聴に値すると思うが省略する)。

私が言いたいことは外交は内政を安定させるものであるとともに、安定した内政があって初めて実効性の高い外交ができるということである。

という意味では安倍首相が首相として初めて真珠湾に慰霊訪問を行うことは~それがオバマ大統領の広島訪問のお返しであれ~日米関係と日本の内政が安定している結果である。

マスコミによると真珠湾慰霊訪問で安倍内閣の支持率は高まり、支持率の高さを利用して総選挙が行われる可能性があるそうだ。

ただ支持率の高さを現政権の総ての政策を国民が支持していると考えると将来を見誤る可能性がある。

財政問題、所得格差拡大問題など我が国が抱える大きな問題について、国民一人一人が自分の問題として考える土壌を作っていかないと過ちを繰り返す可能性があるのではないか?と私は危惧している。

 

 

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カジノ法案、衆院可決雑感

2016年12月07日 | ニュース

昨日(12月6日)いわいるカジノ法案が衆院で可決された。法案の正式名称はIR(統合型リゾート)推進法。第3条で「適切な国の監視及び管理の下で運営される健全なカジノ施設の収益が社会に還元されることを基本として行われるものとする。」と述べられている。

個人的には「カジノは日本でも解禁されて良い」と考えているのだが、カジノに関する個人的な経験などを含めて雑感を述べてみたい。

カジノ法案の衆院通過はWSJでも取り上げられていた。記事の中で注目したのは下記のグラフだ。

プライスウォーターハウスクーパースの資料をもとにしたグラフによると全世界のカジノ売り上げは1,750億ドル前後で米国とアジア太平洋が市場を二分し、欧州その他の市場は小さい。成長性では米国市場が成熟期に入っているのに較べてアジア太平洋は急成長している。

日本のカジノ解禁を支援してきたのは、MGMリゾートインターナショナルなど世界的なカジノ運営会社で、彼らが日本を残された最大の市場として注目していることは間違いない。

私が気になったのは欧州のカジノ市場が小さいことだった。欧州では英国、フランス、ドイツなどほとんどの国がカジノを解禁しているが、市場規模は小さい。私がロンドンでカジノを楽しんだのは今から四半世紀前の話なので、参考になるかどうかは分からないが、当時行ったカジノ(もちろん合法の)は、遊び場が2フロアに分かれていて、上の階は大金を賭けるアラブの金持ち用、下の階は我々一般旅行客や市民が立ち寄るちょっとした遊び用だった。

一般市民にはあまりカジノに出入りする習慣がなく、下の階で遊んでいたのは旅行者が多かったと記憶している。一般にロンドンっ子は日頃の生活はつつましく、酒を飲むにしてもパブでなまぬるいビールをチビチビ飲み、会話を楽しむというのが一般的だった。

賭け事というのは、公営であれ民営であれ、胴元が儲かるに決まっているので、馬鹿馬鹿しいとうのがロンドンっ子の考え方だったと思うし、そのような考え方が欧州人に共通するものであれば、カジノ市場は拡大しないと思う。

WSJ等欧米のマスコミの論調は「これまで日本はカジノは禁止しているが、他の形での賭け事は許可している」というものだ。他の形のギャンブルとは宝くじ・競馬等の公営賭博とパチンコである。

読売新聞が日曜日に発表した世論調査結果によるとカジノ法案反対は57%で賛成は34%だった。男女別では賛成は男性が46%、女性は24%。反対は男性が49%、女性は24%だった。

特に女性の間に「ギャンブルは身を亡ぼす」というイメージが浸透しているのだろう。

また日本では「賭博は悪いことだけれど収益金が公的に使われるなら可とする」という歴史的背景も見逃せないだろう。時代劇にでてくる丁半ばくちはご法度で、江戸時代でも幕府公認の賭博は「富くじ」だけだった。富くじを正式に公認したのは、八代将軍吉宗で、吉宗は京都の仁和寺が改修費用を富くじで調達することを公認した。

富くじは現在の宝くじの先祖で、日本ではギャンブルは悪いことだけれど胴元が収益金を公的目的に使用する場合は許されるという考え方はここから生まれたようだ。

一方カジノは元々欧州の貴族の社交場に源を発するようでカジノに対する社会的認識が日本とは全く異なるようだ。

しかし欧米人がギャンブル好きで日本人がギャンブル好きではないか?というと私は全く違うと考えている。

日本では大都市の一等地にパチンコ店が店を構えていることが多いが、このような風景は世界中を見回しても日本にしかない(一時台北でパチンコ屋を見かけたことがあったが)。アメリカのカジノ都市として有名なラスベガスにしろアトランティックシティにしろロスアンジェルスやニューヨークからかなり離れた場所にある。私はニューヨーク郊外に住んでいた時アトランティックシティに2,3度遊びに行ったことがあるが、片道2時間以上のドライブだったと記憶している。会社の帰りに立ち寄るなどという訳にはいかない。

このように考えると欧米ではギャンブルは日常生活とは切り離されたものであり、日本ではパチンコに代表されるように日常生活の中にあるものと言えるのだろう。

誤解を恐れずにいうと株や為替取引もギャンブルという側面を持っている。「投機はギャンブル的だが投資はギャンブルではない」という反論もありそうだが、それは程度の違いである。完全にギャンブル性のない投資はあり得ない。

そして敷衍すればすべての事業は程度の差こそあれ賭けの要素があり、我々の人生そのものも賭けの要素がある。

話が拡散してきたのでこの辺りで打ち切るが、要は適正に運営されるカジノで身の丈にあった遊びができる人々がいる社会であればカジノは解禁されて良いと思っている。そしてできることなら街の繁華街を占めるパチンコ店を少し減らして欲しいと思う。

さて仮に日本にカジノが解禁された場合遊びに行くか?と問われると一度くらいは話のタネに出かけるかもしれないが、それで終わりだろう。

ギャンブルが儲からないことは身をもって知っているからである。そして賭け事そのものが嫌いな訳ではないが、人生には他に賭けなければいけないものがあると考えているからだ。

 

 

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書斎からでも星の巡りを撮ることはできた

2016年12月06日 | 写真

昨日(12月5日)招待券を貰ったので出かけた「宇宙と芸術展」(森美術館)。

その感動が残っていたのか急に星の巡りを写真に撮りたくなった。人里離れたところまでいかなくても、比較明合成を使うと自宅の書斎からでも星を撮ることはできるはずだ!と思い、書斎の窓辺に三脚を広げて挑戦。

10分間の撮影でできたのが上の写真だ。斜め線は電線ではなく、飛行機の灯りの後。右の明るい部分は田無タワーのてっぺんである。

写真を撮って星の多さにびっくりした。こんなに沢山の星が夜空を回っている(実は地球が回っているのだが)のだ。

肉眼では見ることができない星の動きをとらえるカメラの眼の確かさ。そして夜空を飛ぶ飛行機が多いのにも少し驚いた。

比較明合成の詳しい仕組みは分からないが、私のオリンパスにはライフコンポジットというモードがあり、それを使うと光が動いた分だけ上書きしてくれるので、こんな写真ができるのだ。

都会の夜空もまた感動に満ちている。書斎の窓やマンションのベランダからカメラを構える(三脚は絶対必要だが)と星の動きを撮ることができる!と確認できただけで随分豊かになった気がした。

 

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望遠レンズを持って初冬の神代植物園へ

2016年12月06日 | 写真

今日(12月6日)は風が少しあるけれど暖かい日でした。しばらく用事が続いて自転車に乗る機会がなかったのですが、今日は少し前に買った望遠レンズ1本を持って自転車で神代植物園に出かけました。

新しく買った望遠レンズはオリンパス75-300mm。F4.8-6.7と明るいレンズではありませんが、軽いのと値段が望遠レンズにしては手頃なので購入したのです。実はオリンパスの古い望遠レンズ50-200mmというのを持っているのですが、マイクロフォーサーズに対応していないことと重たいので乗り換えました。

この時期屋外では花はほとんど咲いていないので、まず温室でランを撮影。

続いてサボテン。

大きなサボテンですが、望遠レンズで撮ると更に大きくなります。

スイレンも鮮やかに浮かび上がります。

多重露出機能を使ってスイレンの花を重ね撮りしてみました。

ズームを使って遠方のスイレンと手前のスイレンを重ねると現実にはない光景が浮かび上がりました。写真遊びとしては面白いと思います。

写真は日本語では「真を(または「に」)写す」ですが、英語のPhotograph のphotoの語源は光ですから英語では「光で描く」のが写真ということになります。英語的には許される遊びでしょう。

温室の外でセキレイの写真を撮りました。何枚かバシバシ撮って良さそうなのをピックアップ。

紅葉も望遠で大写しです。

 

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やっぱりアマゾン株はMust have銘柄

2016年12月06日 | 投資

週明けの昨日(12月5日)米国株3市場はそろって上昇。中でもトランプラリーで出遅れていたナスダックが53.24ポイント(1.01%)上昇と値を上げた。

トランプラリーでは、製造業の国内回帰期待などで、小型株・銀行株などの上昇が目立ち、アマゾンなどハイテクに分類される株が売られていた。しかしここにきてハイテク銘柄もまた注目されてきたようだ。ハイテク銘柄もまた経済成長の恩恵を受けるからだ。

昨日アマゾン株は19.02ドル(2.57%)急伸した。その理由の一つはアマゾンが実験的に手掛けているAmazon Goというレジなしに買い物を済ますことができる小型の食品スーパーに関する記事がWSJなどのメディアで取り上げられたこともあるだろう。

Amazon Goというのは、1,800sf=167㎡というコンビニ程度の食品スーパーで、買い物客は店に入る時、スマートフォンのAmazon Goというアプリを立ち上げておくと、商品が棚から取り出された(あるいはその後戻された)ことを各種センサーが認識し、レジを通すことなく課金されるというシステムだ。

現在この実験店(シアトルのオフィスの地下にある)で買い物ができるのは、アマゾンの従業員に限られているが、来年には一般消費者向けの店舗を展開していくとアマゾンは発表している。

アマゾンは、グーグル(アルファベット)やアップルと並ぶハイテクの代表銘柄なのだが、小売業という顔も持つので、アマゾンの全貌をとらえることは難しい。

今のところ食品のオンライン売上は業界全体の1%と微々たるものだが、実店舗+ハイテクの組み合わせで、顧客利便性が高まると成長余地は大きいだろう。

資産形成の一環として株式を組み入れるならば、米国株はmust haveであり、米国株を組み入れるならばやはりアマゾンはmust have銘柄の一つなのだろう。

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