金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

忍び寄る金利の影

2018年01月11日 | 投資

昨日(1月10日)から対ドルで円が強含んでいる。日銀が国債買い入れ額の減額を通知したためだ。昨日欧州のトレーダーが日銀の金融政策が転換すると判断して、円高に賭けたことが主な要因のようだ。

日銀は2016年9月から年間800億円ペースで国債を購入してきていたが、600億円ペースに鈍化するという見方がアナリスト達にあるようだ。

米国の先物トレーディングデータでは、1月2日時点では円安に賭ける投資家・投機家が昨年11月以降最高水準に達していたが、日銀の国債買い入れ減額で市場の一部が動揺したようだ。

もっとも日銀が金利引き上げに向けて舵切を始めたと判断するのはまだ少し早いというのが冷静な見方だろうと思うが。

米国でも国債金利はじり高である。一つは米国債の最大投資家である中国が米国債の購入を減額あるいは中止する可能性があると報じられたことだ。既にもう一つの大口投資家である連銀は米国債購入の減額を決めているから、米国債に金利上昇圧力がかかることはほぼ間違いないだろう。

問題は国債に対する短期的な需給だけではない。米国の大幅減税は短期的には景気浮揚効果が大きいと判断されるが、長期的には財政赤字を拡大し、国債の発行額が増えると考えられる。これも金利押上げ要因だ。

ひたひたと忍び寄る物価上昇の影も金利押上げ要因だ。

金利押上げの影に敏感な投資家・投機家は中央銀行の一挙一動に過敏に反応する可能性がある。株式相場は順調なスタートを切ったが、長期金利の上昇懸念という攪乱要因を内包した新年入りとなった。

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資産寿命を計算する

2018年01月10日 | ライフプランニングファイル

今朝の読売新聞に「資産寿命」に関する全面広告がでていた。長寿命化の時代だから資産も運用して寿命を延ばさないと老後資金が不足します、という話である。資産寿命という言葉は半年くらい前からマスコミで目にするようになったが改めて検証してみた。

まずエクセルを使った関数計算で資産寿命を計算してみよう(面倒くさい人はすっ飛ばして後段に行ってください)。

前提は次のとおりとした。

・退職金等でリスク運用できる資産が1,000万円あるとする。

・毎月10万円(年間120万円)使って生活資金に回す

・運用利回り毎に資産がゼロになる年数を計算する

計算方法は組込関数のFVを使うことにする。エクセルに下記のような表を作り「最終元本」(すなわちFV:Future Value)にFV関数を入れる。ツールバーのWhat-If分析から「ゴールシーカー」をクリックして、最終元本がゼロになる「資産寿命」を計算させる。

その結果をグラフ化したのが次のグラフだ。

グラフは次のことを示している。

・毎月10万円づづ使うと預貯金など実質ゼロ金利の資産は1,000万円は8.33年でゼロになる。

・3%で運用すると1,000万円は9.4年でゼロになる。

・6%で運用すると1,000万円は10.9年でゼロになる。

このことから「10年で元本取崩を行う場合運用利回りが1%上昇すると資産寿命が0.3年~0.6年程延びる」(運用利回りが高くなるほど寿命の延び率が高くなる)

次に毎月5万円を使うことにして資産寿命を計算した。

・利回りゼロの場合の資産寿命は16.67年

・利回り3%で運用する場合は22.48年

・6%で運用する場合は49.28年

3%で資産運用すると資産寿命は5.81年延び、6%で資産運用すると資産寿命は32.61年延びることになる。運用利回りが高ければ高いほど複利効果で資産寿命は急速に伸びるのである。

もっとも現在のような低成長環境で毎年6%の運用成果を上げることはできないだろう。幅広く海外株式投資を行ったとしても、世界経済成長率の3%程度が目標利回りになるだろう。

それでも資産の寿命を6年近く伸ばすことができる可能性があるのだ。

私は寿命の尺度には「健康寿命」「資産寿命」「生きがい寿命」があると考えている。仮に健康で資産があっても生き甲斐のない寿命は本当の命ではない。生き甲斐を満たすにはお金がかかる。お金を使って生き甲斐を満たしながら、資産寿命を延ばすことが大切なのだ。そうすれば自ずから健康寿命はついてくる。生きがい寿命と健康寿命を決める一つの要素が資産寿命であることは間違いない。

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S&P500、半世紀ぶりの好スタート・・・

2018年01月10日 | 投資

昨日(1月9日)の米国株は好調で3市場とも高値を更新した。市場全体をカバーするS&P500は年初来6日間続投で、これは1964年以来のことだとWSJは報じている。

何十年ぶりについては、最近何十年ぶりの豪雨だとか寒波だとかあまりありがたくない話が多いが、このような話は歓迎である。もっとも余り早く走り過ぎると息切れするので、オーバーペースも困りそうだが。

走るペースについて世界経済を見ると、ほぼ現在のペースは能力一杯一杯のところに近づいてきた。

世銀はGlobal Ecomomic Prospects レポートで「今年は2008年のリーマンショック以降初めて、世界的な需給ギャップが埋まる年になるだろう」と述べている。

世界的に見ると資源輸出国では依然として需給ギャップはマイナスだが、先進国の一部では既に持続的な生産能力を上回る勢いの需要が発生し始めている。

生産能力が需要を上回っている時は物価上昇圧力がほとんど発生しないから、デフレ・ギャップという。逆に需要が生産能力を上回る状況が続くと物価上昇圧力が高まるので、インフレ・ギャップという。この言葉も10年ぶりに現役復帰する日が近そうだ。

需給ギャップを改善してきたのは世界の経済成長率の改善だ。世界銀行は、世界経済の成長率は2016年の2.4%から昨年の3%へ改善し、来年の成長率は3.1%と予想している。

一方走るペースに体力がついて行っていないリスクも高まっている。それは各国で進む高齢化であり、先進技術や技術習得に対する投資不足であり、財政赤字の拡大である。日本の場合は「日銀のETF購入」という強力なペースメーカーの存在もリスクの一つだ。

インフレの足音が聞こえると中央銀行は金融政策の引き締め転換速度を速める。これは株式市場の強気相場の幕引きとなるだろう。

とはいうものの当面目立った悪材料はなさそうだから、株価はしばらく高値を追いかけそうだ。

北朝鮮問題は懸念材料の一つだったが「南北対話」が北朝鮮のピョンチャン・オリンピック参加の方向で動いているから3月頃までは軍事的緊張が高まるリスクは低そうだ。

だがオリンピック・パラリンピックが終わった後、北朝鮮は時間稼ぎの「良いとこどり」をしただけということが明らかになり、米国と北朝鮮の緊張が再び高まるのではないかと私は感じている。

以上のようなことを考えると物価リスクと地政学的なリスクが顕在化しそうな3月上旬頃に相場に大きな動きがでるかもしれない。そしてもし多くの人がそう感じてリスクヘッジの動きをとると、転換点は前倒しになるとも私は感じている。

 

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スキー場電子チケット、安かったけど使い方に工夫が必要

2018年01月09日 | デジタル・インターネット

先日かぐらスキー場に行く前にドコモのdトラベルから来た案内に従い「半額リフト券」を買っていきました。支払はドコモのクレジット払い・チケット売り場でスマートフォンを見せてリフト券と引き換えるという仕組みです。

安いので2枚(2日分)買っていきましたが、これがちょっとした問題を引き起こしました。

どういう問題か?というと「かぐらスキー場」のチケット売り場は駐車場横の「みつまたロープウェイ」乗り場にしかありません。私たちはスキー場の中の和田小屋に泊まるので、2日分のチケットをまとめ買いしておく必要があるのです。

とことがチケット売り場では「電子チケットは当日分しか交換できない」と言われました。つまり2枚交換を依頼すると当日券が2枚来る訳です。もちろんそのチケットを仲間に譲ることは可能でしたが、仲間は既にチケットを買ってしまったようでした。

ということで私のスマートフォンには、「かぐらスキー場」のリフト券がまだ1枚残っています。5月下旬まで有効ですからまだ使う機会はあると思いますが・・・

和田小屋の宿泊人数は50名程度で「かぐらスキー場」の来客数に較べれば微々たるもので、私のようなケースは稀でしょうが、スキー場の電子チケットご利用にはご注意を(笑)。

なお最近は「かぐらスキー場」でも「白馬八方尾根スキー場」でも最初のロープウェイやゴンドラでリフト券を確認するだけで、個々のリフトではリフト券を確認することがなくなりました。リフト券がロープウェイ込みの全日券ですから、個別チェックはいらないという判断でしょう。効率的ですからね。それに人手の確保も大変でしょうから。

もう少し進むとスマートフォンを最初にかざすだけであとは何もいらない、という仕組みができるでしょうね。

もっともその頃には私は滑っていることはありませんが。(笑)

 

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実感するサービス価格の上昇

2018年01月09日 | うんちく・小ネタ

総務相が発表している消費者物価指数統計によると、昨年10月のコアCPIは前月比0.1%上昇し、前年比では0.8%上昇したそうです。まだまだ日銀のターゲットとするインフレ率2%には届きません。

しかし身の回りを見るとサービス価格の上昇が目に付いてくるようになりました。

昨日スキーに行った時仲間の話ではスキー板を送る宅配便の価格が往復で1千円ほど高くなったということでした。

今日私はスポーツクラブでマッサージを受けたのですが、こちらも25分のマッサージ料が5百円ほど値上がりしていました。係の人に聞くと「先月から値上げしました」ということです。値上げ率でいうと約2割です。

スポーツクラブでは少し前からタオル貸出料金が値上げになっていました。

身の回りではサービス料金がじわりと上がり始めていると感じました。サービスを支えるのは人手ですから、人手不足が賃金を押し上げ、それがサービス料金の値上げにつながり始めているのでしょうね。

今年はどこかでデフレ終了宣言が出る、と私は感じています。

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