金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

バイデン氏勝率アップで米株堅調

2020年10月10日 | 投資
 先週(10月9日で終わる週)の米国株は非常に堅調で週間上昇率は7月以降で最高になった。S&P500 の年初来上昇率は7.6%に達し、ハイテク銘柄が多いナスダックの年初来上昇率は29%に達している。
 株価が堅調になった最大の要因は米国大統領選挙でバイデン氏が勝利する見通しが高まったことによる。

トランプ大統領がコロナウイルスで入院したことがバイデン氏の支持率向上につながった。大統領選挙の見通しが不透明だった時期は、株式・為替相場でボラティリティが高まっていたが、現在はボラティリティは低下傾向にある。
 バイデン氏率いる民主党は大企業減税を停止する見通しが高いなど必ずしも株式相場に有利な政策を取る訳ではない。それでも相場がバイデン氏の勝率アップを好感するのは、政治の安定が見込まれるからである。
 コロナ対策についてはトランプ政権は、これまで提示していた1.6兆ドルの新型コロナ対策を1.8兆ドルに増額して野党民主党に再提案した。
 ただし民主党は2.2兆ドルの対策を求めており大統領選挙前の決着は難しいという見方が広がっている。
 昨日株価を牽引したのはマイクロソフトとセールスフォースだった。マイクロソフトは先週従業員に50%以下の範囲で在宅勤務を認めると従業員にアナウンスした。また上長の承認があればそれ以上の在宅勤務や転居も可能としている。コロナウイルスについてはかなりの長丁場が見込まれるがマイクロソフトの対応は現実的なものだと私は考えている。そもそもTeamsなどリモートワークをサポートするというかリモートワークがビジネスに直結する同社の場合、リモートワークのお手本を示す必要があるのだろう。
 株価の面では絶好調の8月の後に最悪の9月が来て10月はまた好調になる見込みが高まってきたようだ。
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資産形成の目的は自主・独立を維持すること~「お金の心理学」を読んで(4)

2020年10月08日 | ライフプランニングファイル
 仮題「お金の心理学」The Psychology of Moneyも漸く終わりに近づいてきた。この本を読んでいる間に、高値更新を続けていたGAFAが下落したり、菅政権の発足でドコモ株が急落するなどと私のポートフォリオにも色々なことがあった。また急落したドコモ株はNTTがドコモにTOBをかけたことで4割アップするという思わぬ利益を生んだ。
 この短期間の経験からだけでも、我々は資産運用はかなり運に左右されるということを学ぶことができる。成功体験は概ね後講釈と考えておいた方がよい。
 そもそも「資産運用を商売にする」ことは割の良いビジネスかもしれないが、資産運用そのもので金持ちになるのは容易なことではない。もし「他人をお金を運用して手数料を頂く」よりも「自分のお金を運用してキャピタルゲインを稼ぐ」方が確実に儲かるのであれば、多くの金融パーソンをそちらの道を選ぶはずだが、実際は違う。多くの金融機関は「不確実なキャピタルゲイン」を狙うより「確実に利益が上がる手数料」ビジネスを志向するのである。
 では我々が資産運用~より正確にはその結果としての資産形成~を行う目的は何か?
 著者はそれは「資産形成によって自主・独立を維持することだ」と断言する。誰にも、そう子どもや親せきあるいは国家にも口を挟まれずに、自分らしい生き方を生きるという自主・独立性を生涯保持するのが資産形成の目的なのだ。
 同じ趣旨の話は昔私が資産運用ビジネスに従事していた時、米国の大手信託銀行ステートストリートの社長から聞いたことがある。その社長は「退職者の尊厳性を維持するために、年金ビジネスを通じて我々は社会に貢献している」と言っていた。
 もちろん自分らしい生き方を持続するには、資産や収入という金銭面の裏付けに加えて、身心の健康・家族や友人とのつながり・生きがいというものが重要だ。だが孟子が述べたように「恒産無き者は恒心無し」なのである。安定した収入や資産なくしては、定まった心を持てないというのは古今東西を貫く真理である。
 恒心、言い換えるならば誰に対しても卑屈にならず、また驕ることもなく、自分の主張を貫き、自分らしく生きるために資産形成を心掛けるというのが「お金の心理学」を読んで再確認したことである。
 
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K字回復の「/」を求めるには

2020年10月06日 | ライフプランニングファイル
 昨日(10月5日)の米国株は大きく反発した。コロナウイルス感染で入院したトランプ大統領の病状が予想よりも軽くまもなく退院するという観測が広がったためだ(トランプ大統領は日本時間の6日朝退院)。だが入院から丸三日での退院には懸念や批判もでている。
 株価についてもこれから先しばらくの間は経済指標・コロナウイルスの感染拡大状況・大統領選挙の行方・要人健康問題等でブレ幅の大きな相場が続くことは間違いない。こんな時はブレに一喜一憂するよりも、大きな構造的変化に注目する方が良いだろう。
 大きな構造的変化とは景気や相場のK字型回復ということだ。
 下の写真は先日日経新聞に出ていたグラフに私がKの字を書き込んだもので
コロナウイルス感染拡大を契機に株価動向が二極化していることを示すものだ。
 K字型になっているのは株価だけではなく、株価の元になる企業業績の回復状況もK字型になっている。少し前には「景気はV字型に回復する」とか「もっと緩やかなU字型の回復になる」という意見があったが、今ではK字型の回復、つまり業績が急回復するグループと業績が長期低迷するグループに分かれるという見方主流になっている。
 またK字型構造は企業業績のみならず、その業界に勤務する人々の給与や雇用状況に影響を及ぼし、さらにはK字の上の部分「/」を資産に保有しているかどうかで将来の資産状況に大きな影響を与えるという見方がアメリカでは広がりつつある。
 このような問題はコロナウイルス感染問題勃発以前からもあったが、コロナウイルスがいわば触媒となって一気に問題を顕在化させたと見るのが正確だろう。
 WSJはThe Covid Economy Caves Deep Divide Between Haves and Have-Nots(コロナウイルス経済は持っている人と持たざる人の分断を深めている)という記事でこの問題を取り上げている。
 持っている人・持たざる人という時、持っているもの(あるいは持っていないもの)とは何だろうか?
 一つは職業上の技能だ。コロナウイルスの影響を受け難い仕事は自宅等からリモートで行える仕事であり、デジタル化が可能な仕事である。つまりマネジメント能力を含めて、デジタル化可能な仕事のスキルを持っているかどうかがKの字の上向きの斜め線に乗るかどうかの一つの分岐点だ。
 高等教育の有無も大きな分岐点だ。
 WSJの記事によると9月までに大卒以上の人は春先にコロナ騒動で失った仕事をほとんど取り戻しているが、高卒の人は今年2月較べて11.7%少ないレベルまでしか就業は戻っていない。
 自宅の有無も大きな分岐点だ。コロナ騒動の中でも住宅価格は上昇し、8月の既存住宅価格は前年同月比11.4%上昇している。自宅を保有している人は歴史的な低金利の住宅ローンへの借り換えやホームエクイティローンの活用というメリットを享受している。
 裕福なアメリカ人は2,3月に発生した株式含み損を既に取り戻している。連銀の報告によると第二四半期に米国の家計が保有する純資産額は記録を更新した。
 ★   ★   ★
 以上の話はアメリカの話である。日本にも同じようなストーリーはあるはずだが、日本人はこの手の話を表立ってすることを好まないから一流のマスコミの紙面を賑わしていないのである。
 ただし日本でもコロナが持てる人と持たざる人の差を拡大していることは間違いない。
 仮に同額の金融資産を持っているにしても、それを銀行預金に置いておくか?株式投資をするか?で大きな差が出る時代になった。また株式投資にしてもK字の右上がりに賭けるか右下がりに賭けるかでまったくパフォーマンスが異なる時代になった。
 コロナウイルスを必要以上に避けまわっても得るものはなにもない。
 リスクを見極めながら、コロナがもたらすメリットを取るという貪欲さの有無がK字分岐のポイントなのかもしれない。
 
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実感も統計上も降水量は増えている

2020年10月06日 | ライフプランニングファイル
 最近登山の計画と雨が重なることが多くなっています。今週末も西湖方面でキャンプ+登山を企画しているのですが、台風14号の上陸が懸念されてますね。
 どうも一昔前に較べると雨が多いような気がしたので、気象庁の統計データを調べてみました。
 そうすると2010年以降過去の平均を上回る降水量があることがはっきりしました。過去雨が多かった時期は1920年代前半、1950年代そして2010年代です。
 降水量が増えていることに一つの原因は地球温暖化により、海水の蒸発が増え、大気中の水蒸気が増えていることにあると考えられます。
 登山計画を立てる上で次のようなことを考える必要があると私は考えています。
1.少人数または単独の登山企画を中心として、天候の変化をとらえて迅速に実行・中止・変更が可能な体制を作る。
2.雨に遭遇することを前提として、十分な雨具・着替え・下山後の温泉などを準備する。
というようなことを我々の山の会に提案しようと考えています。
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コロナ感染増加傾向、Googleマップは示す

2020年10月05日 | うんちく・小ネタ
10月に入って東京もGoToキャンペーンの対象になり、旅行者が急増しているようだ。旅行業界の救済や経済の活性化のためには、業界を支援する施策は必要だが、正直なものでコロナ感染は増加傾向を示している。
 写真は最近GoogleがGoogle マップ上で提供を開始した都道府県別の感染者の動向を示した地図だ。数字は10万人あたりの新規感染者数(過去7日平均)を表している。
 またトランプ大統領が感染したように世界的にはコロナ感染は再び増加傾向にある。旅行と感染防止のバランスが難しい時期である。



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