金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

ボランティア活動におけるセレンディピティ

2022年10月16日 | うんちく・小ネタ
 セレンディピティSerendipityとは「ある分野のものを探している時、偶然別の素晴らしいもを発見する」ことで、研究分野など見られる現象です。
 今日はあるボランティア活動でそのセランディピティを経験することができました。その舞台は私が住んでいる西東京市の外国人によるスピーチコンテストでした。
 そのコンテストに一番バッターで登場したのが、二ラウラ・ミナさんというネパールの女学生でした。スピーチのタイトルは「私の”幸せ”」。ネパールの田舎(後で本人に聞いたのですがエベレスト街道に近い村だそうです)に育った彼女の村に外国人の援助で小学校が建ったことが子ども時代の大きな喜びでした。
 ある時小学校建設を支援している人から二ラウラさんは「あなたたちが新しい学校で幸せを感じるように、私たちはあなたたちを助けることに幸せを感じています」という話を聞きはっとします。そして日本に来てからもネパール人の子どもたちへの援助を続けているということでした。
 彼女は今日のスピーチで優秀賞を受賞しました。
 なぜこれがセレンディピティなのか?というと、私は今月下旬に行くネパールの小学校でのセレモニーにどのような挨拶をしようか?と考えていたからです。
 今回は7年前の地震で破損した校舎の建て替え贈答式で3つの学校を訪問する予定です。同行者の中には大口の寄付者もいますので、その人の気持ちも考えながらどのようなスピーチをしようかな?と考えていました。
 今日その答の一つを若いネパールの女学生から頂いたのです。
 ボランティア活動は受け手を幸せにするだけではありません。手助けをする側も幸せにします。なぜなら人が喜ぶことをすると幸せ物質であるオキシトシンの分泌が増え、自分も気持ちがよくなるからです。
 小学校の児童にそんな難しい話をしても面白くないでしょうから、The good you do for others is good you do yourself(なさけはひとのためならず)という言葉があるよ、と話しておこうかと考えています。
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市道山・臼杵山縦走は展望が乏しくタフなトレーニングでした

2022年10月16日 | 
 今年私は山歩きに関して一つのプロジェクトを持っています。それは多摩地方を走っているJR線を結んで山を歩くという企画です。
 多摩地方には北から奥多摩線・武蔵五日市線・中央線という3つの線があり、奥多摩駅・武蔵五日市駅・高尾駅から山奥に向かってバスが走っています。バスを使って登山口まで行き、山を横断して反対側のバス停まで行き、そこからバスに乗ってJR駅に行くという登山方法です。
 たとえば今月初めには武蔵五日市駅からバスで藤原に行き、そこから御前山に登り、青梅街道の境橋に降り、そこからバスで奥多摩駅に戻るというものでした。このルートでは御前山からの眺望を楽しむことができました。
 さて昨日は同じノリで高尾駅から陣馬高原下行のバスに乗り、関場で降りて市道山(795m)と臼杵山(842m)を越えて、檜原街道の元郷バス停に降り、そこからバスで武蔵五日市駅に戻るというものでした。
8時50分高尾駅からバスで関場へ。関場到着は9時15分頃です。
まず宮尾神社に参詣。境内には夕焼小焼の碑がありました。
登山道はこの碑の裏から尾根沿いに続いていますが、標識は一切なく登山道といっても踏み跡程度です。最近はほとんど歩かれていないようなので要注意でしょう。
関場から醍醐川沿いに車道を歩き、やがて現れる林道沿いに稜線まで登る方が良いと思いました。
12時18分市道山到着。湿度の高い日で眺望はありません。
市道山を降り臼杵山に登っていくところには小さな岩場があります。
このコースは稜線上のアップダウンが多く、急斜面の登り降りがあります。
13時43分臼杵山到着。この日の最高到達点です。臼杵山からは東側八王子方面の眺望が開けていました。しかしそれ以外の眺望はありませんでした。
15時バス停到着。すぐにバスが来たので武蔵五日市駅に戻り、駅前の「東京裏山ベース」というレンタサイクル・カフェなどをやっているお店でビールを一杯頂いて電車に乗りました。
さてこのルートで出会った人はトレラン風の人が一人と登山者は3,4名でした。眺望が乏しくかつアップダウンの多いコースなので人気がないのでしょう。
帰宅してからGoogle Earthに歩いたルートを落とし込みながら考えてみると、ランドマーク的なものが何もないところだったのですね。
中央線と五日市線の間を歩くという意味ではプロジェクトの目標は達成したのですが、眺望や立ち寄りどころを考えると別のルートを選んだ方が良さそうですね。
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インフレデータで大揺れ~9月のCPI発表を受けて

2022年10月14日 | 投資
 昨日(10月13日)の米国株は、労働省が発表した9月のインフレ率が事前予想より少し高かったことを受けて大幅に売り込まれ、ダウは500ポイント下落した。しかしその後午前11時頃から急反発し、最終的にダウが827ポイント2.8%上昇で引けた。この急反発についてWSJは「相場は短期取引をするトレーダーの影響を強く受けていて、彼等は物価統計を見て売りに回り、売りつくした後買いに入ったので反発したのだろう」という見方を示していた。
 なお9月の物価上昇率が高かったということは、値上げがピークに達したという見方をした人もいた様だ。
 9月のインフレ率は、事前予想8.1%に対し、8.2%だった。ガソリン代の下落などにより8月の8.3%よりは若干低下した。
 ただしより注目を集めたのは、食料・エネルギーを除くコアインフレ率でこちらは8月の6.3%を上回る6.6%だった。
 インフレの高止まりにより連銀が来月のFOMCで0.75%の引き上げを決定することは確実視され、ドル金利高予想から為替相場ではドル高が進んだ。
 連銀の連続的な利上げにも関わらず、物価上昇に歯止めがかからない理由の一つとして、家賃の高止まりを指摘する声もあった。家賃は通常年1回の改定なので統計上上昇トレンドが続くという意見だ。
 以上のような状況を見ると、昨日の株価の反発は底入れというよりも、短期取引筋の動きによる一時的なブレのようなものと考えるのが妥当なようだ。
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リスキリング?学び直し?でも本当に必要なものは好奇心などのメンタリティだ

2022年10月13日 | うんちく・小ネタ
 少し前から「リスキリング」(働く人の学び直し)ということが言われている。最近では岸田首相がリスキリングを「新しい資本主義」の第一の柱にすると強調し、人への投資を5年間で1兆円にすると述べた。
 リスクリングというと新しいスキル~例えばプログラミングなど~の習得をイメージして語られることが多いだろう。
 だが中年以上の人に技術学習に関する教育機会を与えることだけでリスキリングは進むものだろうか?
 この点について私はかなり疑問に感じている。それは学習に対するモチベーションの問題や、好奇心などのメンタリティの問題が非常に重要だと考えるからだ。つまり「何のためにリスキリングするのか?」とか「リスキリングによって得られるものはなにか?」ということが明確でないと学習意欲がわかないし、学習成果も上がらない。
 私が考えるリスキリングの目的は、「技術を磨くことで新しい仕事に出会う可能性を高める」という一点に尽きる。この考え方は「計画的偶発性理論」を唱えたアメリカの社会学者クランボルツ博士の理論に基づいている。クランボルツ博士の理論は次のとおりだ。「キャリア(職業経歴)の8割は偶然に決まる。従ってキャリアを開発しようと思うなら、幸運に出会う機会を増やすとよい」というものだ。そして博士は幸運に出会う機会を増やすには「好奇心」「持続性」「柔軟性」「楽観性」「冒険心(リスクテイク)」が必要だと述べている。
 リスキリングによって新しい技術を身に着けたとしても、それだけで新しい職場で働ける訳ではないし、新しくビジネスを立ち上げることができる訳ではない。新しい環境への適応力を生む柔軟性や楽観性が必要なのだ。
 柔軟性や楽観性は天性の気質による部分もあるが、人生経験を通じて獲得する後天的な部分もあると私は考えている。
 ただ好奇心にしろ、柔軟性にしろこれらのメンタリティを身に着けるには、技術を学ぶよりはるかに長い時間と本気の取り組みが必要だ。
 そしてそれは本の上で学ぶものではなく、スポーツなど心身の活動を伴って学ぶことが多いと思う。
 結論を言おう。もし本当にリスキリングによって働くチャンスを拡大することを考えるなら、まず好奇心・冒険心・持続性などのメンタリティを高めることだ。それは若い時からの総合的な人生経験を経て身についていくものだ。だから若い時からチャレンジする習慣を身に着け、それを評価するような社会を作っていくことが大切なのだ。
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現場に権限のあるウクライナ軍がトップダウン型のロシア軍を翻弄している

2022年10月13日 | ニュース
 WSJに「ウクライナ軍の現場に権限を委ねた指揮命令系統と軽快な動きがトップダウン型で鈍重なロシア軍を翻弄している」という趣旨の記事がでていた。
 記事が注目しているのは、ウクライナの東部戦線と南部戦線の連係プレーだった。ウクライナの反撃を印象付けるのは、先月初めの東部ハリコフ州での領土奪回だった。しかし記事によるとその前にウクライナは南部のヘルソンへの攻撃を電信で伝えていてそれをしったロシア軍は数千名の優秀な部隊を東部から南部に
移動した。そこでウクライナは手薄になったハリコフに奇襲攻撃をかけてロシアに占領されていた領土を大きく取り戻したということだ。
 ロシア軍が大量の砲弾を一面にばら撒くような攻撃を仕掛けるのに対して、ウクライナ軍はハイマースのようなピンポイント攻撃型ミサイルを使って、ロシアの戦略拠点を機動的に攻撃している訳だ。
 機動的な攻撃は、ウクライナ軍が現場の下級将校にその場その場の判断で敵の弱点をつかみ素早く攻撃することを推奨しているから可能になったということができる。
 この話を読むと戊辰戦争の始まりとなった鳥羽伏見の戦いで3倍の兵力を持つ幕府軍が薩長軍に惨敗したことを思い出す。一般に幕府軍は古い火縄銃が多く薩長の新式銃に対抗できなかったという見方多い。しかし幕府軍に最新式の銃やそれを扱う訓練を受けた幕府軍歩兵がいたが指揮官が悪く活用できなかったということも敗北の原因に加えるべきだろう。
 また薩長軍とくに長州軍は、兵学者大村益次郎仕込みの散兵戦に慣れていたことも大きい。散兵戦とは歩兵が密集するのではなく、横に分散して機動的に相手を攻撃する陣形だ。散兵戦を行うには各兵士の高いモラールと判断力が必要となる。
 迅速で機動的な動きが、的確な現場の判断に左右されるとすれば、上意下達型の体制をとっている国や軍隊には難しいということができるのだろう。
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