今日はちょっと足を伸ばして鎌倉文学館まで行ってきました。日曜(7日)までやっている特別展「生誕100年 生き放題、死に放題 山崎方代の歌」を観たくて。
山崎方代さんは1985年に70歳で亡くなられた現代歌人。晩年は鎌倉の一間きりの小屋のような家に独り住まいし、街をふらつきながら歌を詠んでおられたようです。
- 手の平に豆腐をのせていそいそといつもの角を曲りて帰る
伝統的和歌とは離れたところで、嘘だか本当だかわからない個人の述懐を短歌にしました。
生き方も、歌の詠み方も、個人の感覚に基づく自由なもの。ふわふわとしているようでいて、心の底にずしんと来るものがあります。
- 茶ぶ台の上の土瓶に心中をうちあけてより楽になりたり
草稿がたくさん並べられていましたが、基本的に、コクヨのいちばん安い400字詰め原稿用紙であるところが方代さんらしい(1枚だけ神楽坂の有名店の原稿用紙がありましたが、どうしたんだろう?)。
ピースの又吉直樹さんが方代讃を寄せていて、びっくりしました。又吉さん、方代さんが好きだったんだ。
あとの展示品は色紙、短冊、歌集、会津八一さんからの葉書など。湯川晃敏さん撮影の写真があったのも嬉しい。たいがいは徳利と一緒に写ってますね。
鎌倉文学館に行ったのは初めて。前田公爵家の別邸だった敷地と建物で、国の登録有形文化財だとか。すばらしい立地のすばらしい建物でした。
波打つガラス窓から眺めると、丘の裾には海が近く望め、絶景。庭には広い芝生とバラ園。ちょっと信じられないほどの邸宅であります。
芝生の端にスダジイの大木があり、地面に実がたくさん落ちていました。少し拾って帰ったので、炒って食べようと思っています。