惑星ダルの日常(goo版)

(森下一仁の近況です。タイトルをはじめ、ほとんどの写真は交差法で立体視できます)

「尾辻克彦×赤瀬川原平」展

2014-10-26 21:17:32 | アート・文化

 今日は町田市民文学館「ことばらんど」へ出かけ、「尾辻克彦×赤瀬川原平」展を見てきました。

 

 いうまでもなく、尾辻さんと赤瀬川さんは同一人物。芥川賞作家としての尾辻さんと、美術家・エッセイストとしての赤瀬川さん、両方の活動を紹介する「文学と美術の多面体展」です。

 

 私が赤瀬川さんの仕事に触れたのは、〈朝日ジャーナル〉の「櫻画報」でだったでしょうか。大学生の頃。でも、その時、初めてだとは感じなかったように思うので、それまでに何らかの形でこの人のことを知っていたのかもしれません。
 以後、雑誌〈終末から〉での活動、尾辻さんとしての小説、「老人力」なる言葉の発明、『新解さんの謎』での辞書作家発掘……など、ずっと興味の範囲内にいる人なのです。

 

 今回の展示は、まず、ご当地在住のよしみからか、藤森照信さん設計の赤瀬川邸「ニラハウス」の紹介がドーンとあります。
 それから、千円札事件、「櫻画報」、美学校、小説、カメラ、超芸術トマソンなど、こだわりを示しながらも軽やかに新しい局面を切り拓きつづけた赤瀬川さんの活動を、コンパクトかつ明快に報告してくれています。

 

 私がもっとも強く惹かれるのは、尾辻克彦さんの小説。言葉がオブジェのように扱われて、ひどく新鮮。それでいて親しみやすい。素晴らしい文章です。宮沢賢治や深沢七郎などに連なる異能作家として日本文学史に輝く存在だと思います。

 

 芥川賞受賞挨拶の原稿には「あのぅ」とか、言葉に詰まる部分まできっちり書かれているのが可笑しかった。
 「原稿執筆記録ノート」――ジャポニカ学習帳が使われていました――には、執筆依頼、締切、枚数、などがきちんと書かれ、原稿を渡すごとに赤線で終了の印がつけられているのに、びっくり。どこまでも律儀な人なんだと感心しました。12月21日まで。


太陽黒点

2014-10-25 21:39:43 | サイエンス

 太陽に大規模な黒点が発生していると友人に教えられました。
 日食グラスを使えば肉眼でも見えるほど大きいということで、皆既日食の時に買った日食グラスを取り出しました。
 で、見てみましたが、太陽の円盤が輝くだけで、よくわかりません(目が悪いんです)。

 

 ならば、ということで、デジカメのレンズに日食グラスを被せ、望遠で撮ったのがこの写真。

 

 

 あまり上手く撮れてませんが、大きな斑点はわかります。

 

 〈ナショナルジオグラフィック〉のニュースによれば、ここ何年もの間で最大のもので、最大規模(Xクラス)の太陽フレアが大規模な太陽嵐を引き起こすおそれもあり、そうなれば地球にも大きな影響がでるとか。

 

 おりしも、「宇宙天気情報センター」(という機関があるのですね)によると、「今日、X3.1の大規模フレアが発生しました」とのことで、ちょっと心配ですね。
 なお、同センターの宇宙天気ニュースには、詳細な観測画像が掲載されています。


2014-10-24 20:44:36 | 草花

 締切をひとつこなして、今月はこれでおしまい。ひと息つけます。

 

 ということで、午後はたまっていた庭仕事を片付けました。
 まず、ユリとヒヤシンスの球根の植え付け。深めの鉢2つずつに植えました。来年の春から初夏にかけてのお楽しみ。

 

 次にスナップエンドウの種蒔き。
 ポットを4つ用意してみましたが、果たして何本育てられるものか。冬を越す苗作りは初めてです。

 

 それから、夏の間に使った鉢やプランターの片付け。土をどけて、庭の隅に積み重ねました。
 地面がかなり広がりました。一時は、小道を通り抜けるような感じになっていたものなあ。

 

 

 写真は茶の花。ツバキ科の常緑低木。
 散歩の途中、児童公園の生垣で撮りました。冬に向かうこの時期、地味に咲いています。

 

 確か中国南部が原産とされているはずですが、この木の新芽を煎じて飲むと、美味しいし体にも良いということを、誰が見つけたのでしょうか。単に、新芽を食用にするというのなら、まだわかりやすいように思いますが、水にエキスを浸出させるのはすぐには思いつかないような気がします。
 我々のご先祖さまは、片っ端から、植物の似たような利用法を試していたんでしょうかねえ。


縞蚯蚓

2014-10-23 21:38:54 | 動物

 散歩の途中、釣具屋さんに寄ってミミズを買ってきました。釣り餌用の「熊太郎」というやつ。1箱350円。

 

 ミミズを飼育してみたくなったのです。うまくゆけば生ゴミ処理の一端を担わせられるし、堆肥や肥料も手に入る。

 

 ミミズを飼っている人はたくさんいるみたいですね。ネットで検索すると、ウジャウジャ出てきます。とりあえず、このサイトを参考に、試しに少しだけ飼ってみることにしました。釣具屋さんで餌のミミズを買うことにしたのも、ここで教えてもらったから。
 生ゴミを食べさせようとすると、普通に土の中にいるミミズではダメなんですね。土の中にいるフトミミズは土が餌なので、生ゴミは食べてくれない。シマミミズじゃなくてはダメ。

 

 ちょうど手のひらにのるぐらいの箱の中にはポリ袋が入っていて、その中にほぐした紙粘土のようなものが収まっています。ミミズはそこに潜りこんでいる。店では冷蔵庫に入れ、冬眠させているようです。

 

 1箱に何匹ぐらいいるものか?
 店の人に訊くと、「さあ……」と首をかしげます。
 ネットで調べると、ちゃんと数えた人がいて、約80匹だそうです。

 

 家に帰って、有り合わせのプラスチック容器に移しました。


   

 写真では少しミミズの姿が見えています。しばらくすると、ダイナミックな動きで「紙粘土」の中に潜りこみました。遙かな砂の惑星・アラキスを想像させる光景。

 

 うまく繁殖すれば、来年はもっと大きな容れ物を用意してあげるからね。


「前歴深水」

2014-10-22 21:10:21 | ことば

 一日、冷たい雨。

 

 散歩がてら市の中央図書館へ行って雑誌〈現代農業〉(農文協)のバックナンバーを借りてきました。
 この雑誌は、先日、初めて本屋で11月号を立ち読みをして面白かったので、図書館で10月号を借りてみました。そしたら、これもやはり面白かった。

 

 掲載記事は農業に本格的に取り組んでいる人向けのもので、私にはほとんど関係がないのですが、誌面から立ち昇る熱気が凄い。取材した文章、投稿、技術的な解説など、どれも新しい事実を読者に伝える喜びが溢れています。記者も編集者もそれを楽しんでいる気持ちが伝わってきて、気持ちが良い。雑誌はこうでなくっちゃ。

 

 知らない事実と同時に、知らない言葉も飛び出してきます。
 10月号では「耕盤が抜ける」という表現に出くわしました。「耕盤」って何? それが「抜ける」とはどういうこと?

 

 畑で重い耕作機械を使っていると、地面の一定の深さの部分の土質が緊密化し固くなるそうで、それを「耕盤」というらしい。作物の根が通らず、出来を悪くするようです。
 その耕盤を解消する方法があるらしく、それを「抜ける」といっているみたいです。

 

 今日、借りてきた7月号には「冷夏予報、前歴深水で備える」という記事があります。ここにも初めて見る言葉が出てきました。
 「前歴深水」は水稲の管理方法のひとつで、穂の出る15~25日前に田んぼに水を張って保温するのだそうです。これをやると「花粉のもとになる細胞が増殖するのを助け、花粉量の減少を抑えることで不稔を減らす効果がある」そうです。専門的。一般の者には縁がないのも無理がありません。でも、知れば楽しい。

 その昔、「活着」という言葉を知った時も、似たような喜びを感じました。言葉の世界は深くて、広い。