金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
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ウエッブでウオール・ストリートを読む意味

2006年07月05日 | デジタル・インターネット

今日(7月5日)の日経新聞朝刊にウオール・ストリート・ジャーナル紙などを傘下に持つダウ・ジョーンズのCEOの記事が出ていた。同CEOは「ウオール・ストリート・ジャーナルの電子版が有料なのは、ネット企業に比べ閲覧者数が少なく、十分な広告収入を得られないからだ。競争に勝つ方法はほかでは手に入らず読者が絶対に必要と感じる価値の高いニュースを提供することだ」と述べていた。

たまたま今日未明北朝鮮が数発のミサイルをテスト発射したが、ウオール・ストリート・ジャーナル紙がその記事をどう扱っているか読んでみた。事実の解説等は他の新聞のネット版と大同小異なのだが、米国のミサイル国防について専門家のQ&Aを載せているところが一歩進んだところなのだろう。記事のポイントだけ紹介しておこう。回答者は以前国防省の高官を務めた人物である。

Q:米国は何回ミサイル迎撃テストを実施し、その成功度合いはどうなのか?

A:国防省は10回のテストを行なっている。しかし失敗した最近の2回を数に入れることを彼等は好まないので、8回という時もある。その内5回は成功した。つまり模型の標的を打ち落としたのである。しかし米国はここ4年間迎撃テストで成功していない。また米軍は敵が迎撃ミサイル対抗作戦やデコイ(おとりのミサイル)を使う場合、打ち落とす能力がない。

Q:北朝鮮または他の国が米国をミサイル攻撃した場合、迎撃ミサイルが機能するのにどれ位時間がかかるのか?

A:ミサイルが米国に到達するのに20-30分かかる。迎撃に要する時間はどれだけ初期の段階でミサイルを発見するかどれでけ上手く追跡できるかにかかわる。一つの問題は米軍が迎撃ルールを開発していないことだ。たとえば一つのミサイルに一つの迎撃ミサイルを発射するのか?一度に迎撃ミサイルを発射するのか?といった問題だ。

Q:ミサイルを開発するのにどれ位時間を要するか?

A:どれ位時間を要するかは様々である。米国でもっとも早くかつ成功した例は30年ほど前に完成したポラリス・ミサイルである。これは海軍が4,5年で開発した。米国が開発した他のミサイルにはもっと時間を要している。

ざっとこの様な具合である。私はウオール・ストリート・ジャーナル紙のネット購読に年間数千円支払っているが、提供しているデータの豊富さとタイミングの良さは評価している。

ところで北朝鮮のミサイルの件だが、CNNによれば米国の軍事専門家は「北朝鮮のミサイル技術は10年遅れで脅威にならない」ということだ。因みに米国本土の11の迎撃ミサイル基地は実戦モードに入っていたということだ。

今回北朝鮮のミサイル発射実験は、同国の技術的未熟さを露呈しただけで得るものはなかった。少なくとも米国を脅かせる様なものではなかったということが明らかになったという効果しかなかったというのが私の直感的判断だ。

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