金融庁が保険会社の悪質な保険金不払い問題に鉄槌を下したことは耳目に新しい。私はこれに続いて金融庁が銀行等金融機関の投信販売について一層厳しい検査を行なうのではないか?という推測を行なっている。特段金融庁の人から聞いた訳でもなく、あくまで推測であるがそのベースには金融庁のことを話題にしたエコノミスト誌の記事がある。ポイントは以下のとおりだ。
- 日本の金融業界にとって顧客にフェア(公明正大)に振舞わないことのペナルティはどんどん厳しくなっている。新しい法律(訳注:金融商品取引法)の下では、詐欺による懲役刑は最長10年と現行の2倍になり、罰金の上限も7億円に引き上げられた。
- 新しい法律は金融庁に更なる力を与え権限を拡大している。金融庁は最近三井住友海上火災に医療保険~飽和した金融業界の中でまれな成長分野~の販売に関して期限のない取扱禁止を命じた。
- 五味長官は何故金融庁がより厳格になっているかを説明している。1990年代後半の金融危機の時期、保険会社と銀行は生き残ることに苦戦していた。このため管理者は利益を上げることに注力して、内部統制は成り行きに任せていた。監督官庁は限られた資源を銀行と保険会社が立ち直ることに集中させなければならなかった。今や環境は変化してきている。特に銀行においては、不良債権は合理的な水準まで切り落とされている。五味長官は「金融庁は1998年の設立以来初めて、消費者を保護し、金融サービス市場へのアクセスを高めるという本当の業務を行なうことができる」と言う。
- 金融商品取引法の効果はまだ明らかではない。それは外銀の預金や変額年金を含む大部分の「投資商品」をカバーするに違いない。そして金融庁が商品提供者をより詳細に監視し、より厳しいペナルティを課すことを可能にするだろう。しかしこの法律は単純な保険証券や預金商品など「貯蓄商品」はカバーしない。五味長官は次のステップは法を拡大してこのギャップを埋めることだと言う。五味長官は「金融機関自身のために内部統制と法令順守を改善する必要がある」と述べている。
以上のような文脈の中で私は金融機関の個人向け投資信託や変額年金保険の販売姿勢がより厳しい検査の対象になるのではないか?と考えている。例えば「説明責任」に関して販売業者は「自社の利益を得るため消費者が不利になるにも係らず、手数料が高い商品に誘導している」ようなことがないかどうか?を本気でチェックするとかなり疑わしい取引がでるのではないか?と私は直感している。
例えばパッシブ型の投資商品を顧客が希望する時に、販売業者はパッシブ型の投資信託と上場型投資信託の2つの商品があることをちゃんと説明した上でパッシブ型投信を販売しているのだろうか?それとも伝統的なパッシブ投信の方が報酬が大きいからそれを勧めているのだろうか?
金融庁がどれだけ消費者の保護のために働くかどうかここは一つの見ものである。