金融そして時々山

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小澤「第七艦隊」発言の問題点

2009年03月02日 | 社会・経済

民主党の小澤党首が「在日米軍の駐留は第七艦隊だけで十分」と発言したことが議論をよんでいる。私は小澤氏の発言の背景を詳しく知らないので、字面のみから発言の問題点を考えてみよう。

問題の第一はこのような発言は、国防というものに対する国民の意識を誤らせる可能性が高いことだ。国防において大切なことは「直接的あるいは短期手な軍事能力」ではない。国防においては「平時の諜報活動」「訓練」「兵站の維持」等が「戦力の実装」とともに重要である。特に諜報活動の重要性は日本が何故第二次大戦で負けたか?を考えると容易に分かることだ。

諜報活動というのは、スパイ活動だけを指すのではない。むしろスパイ活動は諜報活動のごく一部に過ぎない。諜報活動は日頃からの世界の諸国の政治・経済・ナショナルインフラ・科学技術などに関する分析を集積し、国民や政治家に必要な情報を提供することである(無論機密レベルの問題から、自ずと提供する情報レベルは異なるが)

例をあげると2007年の国防予算を中国は520億ドルと公表しているが、米国国防省は、継続的な分析を踏まえて中国の国防予算を970億ドルから1,390億ドルと推計している。これはごく一例だが、このような分析を踏まえて国防計画は成り立っていく。日本はこのような諜報活動をほぼ全面的に米国に依存している訳で米国の陸海空軍との緊密な情報交換なくして、日本の国防は成り立たないと考えるべきであろう。

問題の第二は自前で諜報活動から兵站維持まで準備すると、大変な予算を要するということだ。

昨年度の米国の国防予算は6,800億ドル(65兆円)で、ほぼGDPの4.7%程度である。中国のGDPについては購買力平価ベースでみるか為替レートベースでみるかによって大きく異なるが前者で7.8兆ドル、後者で4.2兆ドルだ。これを米国国防省が推計する中国の国防予算と較べると、購買力平価ベースで国防予算比率は13%程度、為替レートベースで24%程度になる。

日本の国防予算のGDP比率は0.8%程度約4兆円だ。第七艦隊以外の米軍が駐留をやめて、かつ現在のセキュリティレベルを維持するには、日本は国防予算を現在の数倍に増加させる必要がある。

米国の国防予算はイラク・アフガニスタン問題で史上最高額に達している(朝鮮動乱やベトナム戦争を含めて。ただしインフレ調整がされているかどうかは不明)。国防予算の削減は米国の喫緊の課題だ。日本が駐日米軍の肩代わりをして呉れるという話は米国にとってありがたい話かもしれない。

しかし米国の政府やマスコミが小澤発言に反応したというニュースは今のところ見ていない。ただしその理由が「政治地政学や軍事的観点から、余りに稚拙でコメントにすら価しない」ということなのかどうかまでは私には分からない。

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