金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

グーグル・ボイス また一つの通信革命

2009年03月13日 | うんちく・小ネタ

少し前から「日本の携帯電話の特殊性」に関心を持ち、地域金融機関向けの雑誌・ニューファイナンスに「携帯電話からみる日本の情報技術投資の問題」という小文を書いた。詳しい内容は省略するが「日本の携帯電話は通信本来の機能で勝負せず、付属品(カメラ)や端末の見た目などで勝負している」「若年層を中心に娯楽的な利用を助長しているが、ビジネスの生産性向上のためのサポートが乏しい」という主旨だ。

携帯電話について特別の知見もないので汗顔ものだが、岡目八目という言葉もあるので記事を書いた次第だ。ただそれ以来携帯電話に関心が高くなり、関連記事は目を通すことにしている。

さて本題であるが、昨日(3月12日)米国でグーグルが「グーグル・ボイス」という新しいサービスを明らかにした。ニューヨーク・タイムズによると、この機能は「携帯電話・会社の電話・自宅の電話などを一つの電話番号uni-numberで結びつけ、この番号に電話がかかると総ての電話が鳴り、どこからでも通話できる」というのが基本機能だ。

この機能自体は2005年にグーグルが買収したグランドセントラルという会社が提供していた。買収後グーグルはこのサービスを新規に提供してこなかったが、今回サービスを見直し大々的に提供していこうという試みのようだ。

グーグル・ボイスには単一電話番号以外に幾つかの機能がある。「伝言メッセージのテキスト化」というのがその一つだ。ソフトウエアが音声をメッセージ化する。音声メッセージ化ソフトは完璧ではない(たとえば句読点を感知できない)。だが一般的に数字(電話番号・到着時間など)は正確に記録できるという。

まったくの余談だが英語の発音の苦手な日本人(私を含めて!)の声をメッセージ化するとどうなるのか興味のあるところだ。例えば「お前を解雇する」つもりでfireといったつもりがhire(採用する)になったり、「愛している」loveが「こする」rubになったりするのだろうか?

話を本題に戻すとメッセージ化された音声は、生の音声と違い順番に聞く必要はないので、重要なものをピックアップすることが容易だ。

他にも幾つかの機能がある。例えば「電話会議機能」「激安の海外電話機能~アメリカからフランスに1分2円!~」など。

グーグルはこれらの機能を無料(海外電話は有料)で提供する。音声のテキストメッセージ化を有料で行っている会社(Phonetagなど)は青くなっているだろう。

グーグル・ボイスのようなサービスは、ビジネスにおける生産性を大きく高めるだろう(どこにいても電話でつかまえられると休む閑もないという弊害はあるが)。このようなブレーク・スルーが起きるところが米国の活力のあるところだ。

これに較べると日本の携帯電話は繰り返しになるが、携帯端末を美しくするようなことに力を裂き過ぎている気がする。これは江戸時代という平和な時代に火縄銃に象嵌を施し美術品の域にまで高める努力をしながら、武器としての技術革新はまったくなおざりにしたことと相似形である。

なおグーグル・ボイスの日本語版ができるのかどうか私は知らない。英語が堪能な日本人同士なら英語のグーグル・ボイスを活用する手はあるが、我々英語の発音が苦手な日本人同士では「バベルの塔」になるだけだろう。

コメント (1)
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