金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

うさぎは跳ねる、とりあえず好調そうなスタートだが。

2011年01月04日 | 株式

相場の格言では「兎年は跳ねる」そうだ。戦後5回の兎年の日経平均株価の平均上昇率は24.9%で子(ね)年の39.0%に次ぐ。もっとも最近の日本の株価は外国人投資家の影響を強く受けるし、日本経済は米国経済のみならず中国・インド等アジアの新興国経済の影響を強く受けている。干支(えと)文化圏以外の人々がどれほど「兎年は跳ねる」という格言に注意を払っているかどうかは分からない。

干支の格言はさておき、新年の世界の株価は好調なスタートを切った。株価を牽引したのは全米供給管理協会が発表したISM製造業景気指数など製造業の好調さを示すデータだ。

12月のISM製造業景気指数は17ヶ月連続して上昇し57ポイントに達した。FTはウエルスファーゴのエコノミストSilvia氏の「2011年の経済成長はコンセンサスの2.6%より早い可能性が高い」という言葉を紹介している。

アジアでは韓国と台湾の製造業指数が好調。FTによるとHSBCとMarkitによるPMI指数は韓国が53.9(11月は50.2)、台湾が54.7(11月は51.7)である。欧州でもドイツ、フランス、オランダが牽引して製造業指数は好調だ。

世界的に好調な製造業の影響と米国の寒波、オーストラリアの大洪水の影響で原油や石炭の値段が上昇している。JPモルガン調査部門のEagles氏によると「1バレル100ドル」の時代が不気味に近づいている。

新興アジアではインフレが加速している。インドネシアでは12月の物価上昇率は11月を0.3ポイント上回る6.9%となった。中国では11月の物価上昇率が過去28ヶ月で一番高い5.1%になったことを受けてクリスマスの日に人民銀行が金利を引き上げた。だが野村(香港)のエコノミストはエネルギーと食糧価格の上昇を政府がコントロールすることは困難なので中国でインフレが直ぐに沈静する見込みは低いと述べている(FTより)。

兎年に跳ねるのは株価だけではなく物価も跳ねる・・・ただし除く日本、ということになるかもしれない。順調な経済成長と株価の上昇は中国を中心としたアジア諸国の政府の舵取りにかかっているというのが今年前半のポイントのようだ。

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