昨日S&Pが日本国債をワンノッチ引き下げAA-とした。これは中国と同じで、債務問題が噂にのぼるスペインAAよりも下。
ニュースによると菅首相は記者団に「今、初めて聞いた。衆院本会議から出てきたばかりで、そういうことに疎いので改めてにして欲しい」とコメントを避けたそうだ。
一国の首相としてはS&Pの格下は不愉快な話ではあるが、見方によっては財政と社会保障の一体改革を掲げ、野党との対話を求める菅政権にとっては強力な援軍だ。つまり国民がS&Pのダウングレードを危険信号と判断すれば、野党側としても財政健全化に向けて超党派的な対話を回避することが難しくなるからだ。
もっともこれにより、自民党・公明党が解散要求を引っ込める可能性は極めて薄いだろう。というのは本当の財政危機が来るのは少なくとも5年位先だという判断があるからだ。
だがそれで本当に良いの?
国債の格下は民間企業の海外での資金調達にじわじわと影響してくる可能性があるかもしれない(S&Pはソブリンシーリングの考え方は取っていないと思うが)。
また国民の国の将来に対する不安は増大する。政治家は国債格下を重要な警鐘と受け止めて欲しいものである。