昨日オープンした世界経済フォーラム(ダボス会議)で、議論の中心となったのは世界経済の回復スピードだ。昨年の経済成長が予想を超える強さだったため、2007年以降一番楽観論が高まっている。
FTによると悲観論で有名なルービニ教授はA glass half-fullという言葉でアップサイドリスクとダウンサイドリスクが拮抗していると述べた。A glass half-fullというのは、コップの中に水が半分入っているということだが「まだ半分入っている」とことから楽観視を意味する。一方コップに水が半分入っていることを半分空になったということに着目するとhalf-emptyとなる。これは悲観の比喩だ。事実は一つなのだが、見方により楽観的にもなるし悲観的にもなるということだ。
IMFの特別顧問朱民氏(元中国人民銀行副総裁)はThree-speed recoveryという言葉で、今年の世界経済の回復見通しを説明した。一番速度の速いレーンは新興国で6%以上の成長見通しで、二番目に早いレーンは米国で3%、一番遅いレーンを走るのはユーロ圏で2%だ。FTを読む限り日本への言及はないが、一番遅い走行車線を走るのではないだろうか?(私見)
朱民氏は「米国の驚く程の消費力の成長が新興国を「古い標準」old normalの輸出依存体質に引き戻し、内需主導型経済を発展させない」危険性があると指摘している。
コロンビア大学のスティングリッツ教授は財政刺激策の終りは良い前兆ではないと懸念を示したが、フォーラムの多くの参加者は三車線型の景気回復論を支持した。
昨日ニューヨーク・ダウはザラ場で2年半ぶりに12,000ポイントを回復(引けでは割った)した。
最速レーンは脱線リスクも高い。一番遅いレーンでは株価上昇期待が低い。今年は真ん中のレーンを走ろうと考える人が増えているのだろうか?