今日(18日)胡錦濤主席が訪米する予定だ。前回彼が訪米したのは2006年。この時米国は胡錦濤主席の訪問を公式訪問(official visit)として取り扱ったが、今回は国賓としての訪問(state visit)として取り扱う。Official visitとState viitで待遇がどれ程違うのか知らないが、金融危機以降米国にとって中国の重要性が大きく増したことの表れであることは間違いない。
Pew Researchが胡錦濤主席の訪米を前にして、米国人が中国をどのように見ているかを調査していた。日本の重要なパートナーがどのような考え方をしているか、理解しておくことは大事なことだと思うので、幾つかのポイントを紹介したい。
【アメリカ人の半分は中国に好意的だ】
2010年Pew Researchが行なった調査によると、アメリカ人の49%は中国に好意的で、36%が非好意的である。この調査によると中国に対して最も非好意的な国は日本で69%の人が非好意的で、好意を持っている人は26%に過ぎない。因みに中国に対し非好意的な主な国は次の通りだ。韓国(非好意の割合56%)、ドイツ・トルコ(共に61%が非好意)、フランス(同59%)、インド(同52%)。
一方好感が非好感を上回っている国はケニヤ(好感の割合86%)、パキスタン(同85%)、ロシア(同60%)、インドネシア(同58%)。欧州では英国(同46%)やスペイン(同47%)では好感する人の方が多い。
【中国は世界一の経済パワー】
アメリカ人の47%は中国を世界一の経済パワー国だと見ている。2番目は米国で31%の人が自国を世界一と見る。3番目は日本。9%のアメリカ人は日本を世界一の経済パワー国だと見ている。そしてEUは4番目。
一方軍事力については、自国が世界一だと思うアメリカ人の割合は67%で、中国だと思う人は16%に過ぎない。3番目はロシアで5%だ。
【中国を脅威と考える人は2割】
中国はアメリカにとって一番脅威国だと考える人は20%で、北朝鮮(18%)、イラン(12%)、アフガニスタン(10%)を上回る。ところで脅威国調査で面白いのは、米国自身を最大の脅威国と考える人が4%もいるということだ。4%という数字はパキスタンと同じで、日本を脅威国と考える人(1%)の4倍である。
Pew Researchによると過去アメリカ人が中国に最も脅威を感じたのは2001年で、31%の人が中国を最大の脅威国に上げている。この年の4月に米中軍用機の接触事件があり緊張が高まった結果である。
ところでPewの過去の調査を見ると、1992年には日本が米国の最大の脅威国だった。31%の人が日本を1位に上げていた。この年の2番目はロシアで13%。ロシアが米国の最大の脅威だったのはソ連が崩壊した1990年(それ以前の調査は不明)で、32%の人が第1位に上げていた。
【中国は容易ならない問題だが、敵対視する人は2割】
現在中国を敵対視する人の割合は22%で、シリアスな問題だが敵対視はしないという人が43%で、シリアスな問題ではないとする人が27%だ。この数字は若干の変動はあるものの、比較的安定している。
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中国に対するアメリカ人の見方は、その時々の経済・政治・軍事イベントで変化している。だが基調として日本の中国に対する見方よりかなり好意的であることは十分留意しておくべきだろう。
軍事力については、Pew Researchの調査時点では、中国の地対艦ミサイルDF-21の脅威が広く知られていなかったのではないだろうか?もっとも現在でも広く知られているかどうか不明だが。
この地対艦ミサイルは中国本土から太平洋上の米空母を攻撃することができる弾道ミサイルで、イージス艦の防空網をかいくぐる能力があると推測されている。つまり圧倒的な米国の軍事力にとって最大級の脅威なのだがまだそれ程知られていないのだろう。
それはさておき「アメリカの世論が中国をどう見ているか?」ということを念頭に置きながら、米中首脳の外交劇を眺めてみたいと思っている。