金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

地球温暖化で高所登山がより危険になった

2011年12月26日 | 

ニューヨーク・タイムズに「地球温暖化で氷河が後退し、一部の高所で登山がより危険になった」という記事が出ていた。

ちょっと考えると「寒い山が暖かくなると登り易いのではないか?」という気がしないでもないが、温暖化で氷河や永久凍土層が融けると、ザクザクで手の付けられない岩屑の塊が残される。

ザクザクのガレ場がしっかした雪の斜面よりはるかに危険で扱いにくいことは少し登山の経験がある方ならば容易に想像が着くだろう。

ニューヨーク・タイムズによるとアルピニスト・マガジンの編集長マイケル・ケネディ氏は「温暖化による変化のスピードは速く多くの登山者を慌てさせている。大部分の登山ルートはより困難になっている。特に登山者を悩ませるのは、ヒマラヤ山脈、ヨーロッパ・アルプス、カナディアン・ロッキー、ペルー山塊だ」と言っている。

ヒマラヤ登山では氷河上のクレバスやアイスフォールにジュラルミンのハシゴを固定することが多いが、固定するためのアイスハーケンが5月には氷が解けて緩むという。またベースキャンプいたるキャラバンルートでも土砂崩れが起きて、馬による荷揚げが不可能になる場合もあるという。

☆   ☆   ☆

氷河のない日本(立山の御前谷などで氷河が発見されたという話題はあったが・・・・)では、温暖化が登山の危険性を高める可能性がないか?というと必ずしもそうではない。

一つの危険性は冬の雪崩の発生状況が変わっているということだ。冬の降雪期に思わぬ暖かさから雨が降り、雪に浸み込んだ雨水が凍り、その上に再び雪が積もると非常に不安定になり、雪崩が発生しやすくなる。

過去何十年と雪崩が起きていないような場所でもある日突然雪崩が起きる危険性がある訳だ。

山で経験や過去のデータは重要だが、それに頼りすぎることも危険である。地球温暖化は日本の雪山登山にも新しいリスクをもたらす可能性がある。

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Railways、終着駅は始発駅

2011年12月26日 | 映画

12月の初旬に封切りされたRailways~愛を伝えられない大人たちへ~をようやく観た。

舞台は富山地鉄。立山連峰の雪景色がきれいだ。三浦友和演じる地鉄の運転手はまもなく60歳の定年を迎える。余貴美子演じる妻は、若い時の経験を活かし再び看護師になろうとする。しかし夫の反対にあう。やがて妻は家を出て一人で働き始める。だがある出来事から夫は妻の仕事に理解を示すようになり、一度離婚届を出した二人は夫の定年退職日に再び結婚する。そして夫は再雇用で運転手を続けるという話だ。

ここには定年退職を前にして揺れ動く男の心、自分の生きがいを実現させたい妻、自宅で尊厳のある終末を迎えることに拘る高齢者(吉行和子)など今日的なテーマが一杯詰まっている。

共通点は誰しもが「自分で納得できる人生を送りたい」と考えていること。夫はその妻の気持ちを理解する必要があり、医師は高齢者のその気持に沿う医療サービスを提供する必要がある・・・・ということを改めて教えてくれる映画だ。

60歳の定年は昔は終着駅であった。だが今は一つの中継点に過ぎない。むしろ新たな人生の出発駅である。夫の仕事が金科玉条で妻の生活を縛っていた時代は終わるのである。

このことを踏まえて私はむしろ比較的早い時期から、奥さんが外で働きたいあるいはボランティア活動をしたいというのであれば、夫は協力するべきだろうと考えている(私の場合、少なくとも邪魔はしていない)。

夫婦の程良い距離、程よい自立が長続きのコツだと私は考えている。でもそれでは映画にならない。映画を盛り上げるにはクラッシュと再生が必要だが、実生活では小競り合い程度でガス抜きを図り、夫婦が譲り合いを持ってお互いそこそこ納得して生きるのがコツというものだろう。

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